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有事法制集会

有事法制にもの申す


  有事法制の国会審議がはじまりました。
  有事法制とは戦時法制。有事の概念がどんどん広げられ、アメリカが戦争をはじめると日本の有事。つまり平時を戦時にしてしまおうという法案です。
  そして戦時には総理大臣に権限が集中し、自衛隊や在日米軍にフリーハンドが与えられる。通信、運輸、医療、銀行、電力、ガスなど広範囲の仕事に従事している国民が徴用され、戦地に送られたり、戦争協力を強制される。価格統制や配給経済まで準備されていて、これはまさに国家総動員法です。
  日本国憲法の精神を踏みにじり、憲法9条を殺してしまう有事法制3法案を絶対に成立させるわけにはいきません。
  国会で力の限りがんばります。一緒に闘いましょう。

福島瑞穂
 

参考資料

有事法制の問題点

 

2002.05.09「有事法制を考える市民と議員の集会」資料
1、 立法の前提となる事実がない。

日本に直接侵略しようとする国の不存在。
直接侵略するには制空権を奪う必要あり。日本の航空自衛隊と米軍の空軍力をあわせたものをさらに上回る空軍力を有する国は世界中どこにもない。

2、 有事=戦時=自衛隊の防衛出動。その枠が大幅に拡大された。(第2条関連)

今までの平時が戦時になる。つまり平時に国民を戦争に狩り出すことが可能になった。
有事の概念に、日本への直接侵略(外部からの武力攻撃事態、武力攻撃の恐れがある事態)に加え、直接侵略が予測される事態が加えられたため。周辺事態法における周辺事態、つまり米軍が戦争を開始したら「有事」と判断する可能性がある。

●第○条というのは「武力攻撃事態法案」のもの。以下同じ。

  3、総理大臣に大幅に権限集中。(第15条関連)

「総合調整」「措置の実施の指示」「直接執行」の三つの役割が総理大臣にある。最初は地方自治体や指定公共機関などの「総合調整」、つぎにこれらへ「措置の実施の指示」出し、そしてこれらが指示を聞かなければ「直接執行」。これは事実上の直接命令権限である。

4、 事実上の国家総動員法である。(第5、6、7、8条関連)

地方自治体と指定公共機関には「必要な措置を実施する責務」が規定される。総理大臣から指示されたら「やらねばならぬ」し、拒否しても「直接執行」が来る。現場で動く職員らは公務員であれば拒否は「職務命令違反」で処分の対象である。指定公共機関には「電気、ガス、輸送、通信その他の公益事業を営む法人」が入る。つまり民間企業である。ここにも総理大臣が直接執行できる。この法案には入っていないが、今後の2年以内に作られる関連法案の中には「隣組」復活も入っている。

5、 米軍が何でもできる「対処措置」。(第2条関連)

「武力攻撃事態対処基本方針」に盛込まれる「対処措置」では、自衛隊はもちろん、在日米軍にまで便宜が与えられる。武力攻撃事態を終結させるためという名目の下に、両者に望みの物資・施設を何でも提供することになる。他の法令上の特例措置と合わせ、両者には事実上のフリーハンドが与えられる。

6、 価格統制や配給経済もあり。(第2条関連)

「対処措置」には「生活関連等の価格安定、配分その他の措置」というのもある。これは一般市民への物資は価格と配分をコントロールされ、配給経済となることを意味している。

以上

  ●このほか自衛隊法103条による徴用や罰則の問題などあり。詳細は下記の海渡雄一氏の資料をご覧ください。


2002年5月3日 憲法擁護県民の集い

平和憲法と有事法制

憲法を破壊する有事立法の危険な本質

 

                                                               海渡 雄一(弁護士)
目次
第1 有事法制・3法案とその枠組み
第2 有事立法・ここが問題だ
第3 いまなぜ有事立法か 対テロ戦争をどう見るのか
第4  なぜ、有事立法に反対するか。われわれはどうやって戦争を止めるのか。
第5 有事法制準備と自衛隊の活動範囲の拡大の歴史
第6 諸外国の有事法制
第7 国際法と有事法制

5月21日院内集会のお知らせ <軍隊を捨てた国・コスタリカの経験から学ぼう> 



第1 有事法制・3法案とその枠組み

1 有事法制とは何か

 戦時法制のことである。
 災害などの緊急事態と戦時を意味する有事とは全く異なる概念である。

2 遂に提案された有事立法

有事法制関連三法案 
1)武力攻撃事態法案
2)自衛隊法改正案 自衛隊の行動の障害を除く
3)安全保障会議設置法改正案

3 審議日程

4月16日 閣議決定
4月23日 衆院特別委員会設置
4月26日 衆議院で審議入り

4 提案された法案の枠組みと未提出の部分

 準備段階の名称               実際の法案
1)  安全保障基本法            武力攻撃事態法案
2)  第一分類 防衛庁所管の法案      自衛隊法改正案
3)  第二分類 他省庁所管の法案      自衛隊法改正案
4)  第三分類 その他            (未提出)

      (現在検討中のもの)
      住民の保護・避難誘導/民間船舶民間航空機の航行の安全/
      電波使用の制限/ジュネーブ条約の国内法化

5) 隠された部分
 実は、これらの検討中のものは通常の有事立法のごく一部である。いま準備中の法案が成立してしまえば、政府の検討リストからは落ちているものの中から、次のようなものが、浮上してくる可能性が高い。
      米軍有事法
       ACSA協定の有事適用
      戒厳令による表現の自由の制限
      通信の全面的な盗聴
      徴兵制

6)全貌を見せないで、外堀から埋めていく、既成事実を作り国会の審議権を制約していく手法が執られている。
 

第2 有事立法・ここが問題だ

1 有事の定義について

 最近の軍事法制はアメリカ軍の軍事行動を中心にこれに日本の自衛隊がどのように支援できるかという角度で制定されている。
 周辺事態法においては、周辺事態とは「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力行使に至るおそれのある事態」(同法第1条)と定義されていた。
 テロ対策特別措置法では「テロ攻撃によってもたらされている脅威の除去に努めることにより国際連合憲章の目的の達成に寄与するアメリカ合衆国その他の外国の軍隊その他これに類する組織(以下「諸外国の軍隊等」という。)の活動に対して我が国が実施する措置、その実施の手続その他の必要な事項」(同法1条1項)について定めるものとされた。
 武力攻撃事態法案のいう武力攻撃事態とは、「武力攻撃が発生した事態」と「事態が緊迫し、武力攻撃が予測される事態」をあわせたものとされている(第2条2号)。
 前者の「武力攻撃」にはもともと「武力攻撃のおそれのある場合」が含まれているから、「予測される事態」とは、「おそれ」のある場合よりも更に前の段階と言うことになる。
 自衛隊法では、前者が防衛出動命令(第76条 発動要件は「武力攻撃のおそれ」)、後者が防衛出動待機命令(第77条 発動要件は「防衛出動命令の予測」だから、こちらは「おそれの予測」が含まれる)に対応しており、防衛出動命令あるいは防衛出動待機命令(および新設される陣地構築命令)によって自衛隊が実戦出動するのと並行して、地方自治体や民間が戦争態勢に突入することになる。
 武力攻撃事態の定義は「おそれ」と「予測」という二つの不確定概念が複合したもので、きわめて不明確なものである。ミサイル攻撃の可能性がある不審船が近海に現れたというだけで、防衛出動待機命令や陣地構築命令が出され、有事法制が発動される可能性がある。

2 手続きの問題点

@ 政府が武力攻撃事態の認定と対処に関する全般的な方針、対処措置に関する重要事項を盛り込んだ「対処基本方針」を定める(武力攻撃事態法案第9条第1、2項)
A 内閣総理大臣が「対処基本方針」を安全保障会議に諮問する(安全保障会議設置法「改正」案 「改正」後の第2条第1項4号)
B 政府が「対処基本方針」を閣議決定し、国会承認を求める(武力攻撃事態法案第9条第5、6項)
 このように、一応有事の認定は国会承認を受けるとされてはいるが、国会への提出は、政府が武力攻撃事態を認定し、安全保障会議での検討を経た後のことであり、事後的補充的なものである。

3 安全保障会議への権限の集中

 安全保障会議設置法改正案では、事態への対処について専門的に調査・分析する「事態対処専門委員会」(委員長 内閣官房長官)を設置することになっている(第8条)。権限・機能が強化されたこの安全保障会議と事態対処専門委員会に外交・軍事の権限が集中することとなろう。
 武力攻撃事態が米軍の行動と関わ閧ネく発生することなど全く想定されてはおらず、それゆえに米軍の行動の円滑のための「物品、施設又は役務の提供その他の措置」が「対処措置」に含まれている(武力攻撃事態法案第2条)。これでは米軍との協議・調整なしに検討・立案することなど法律上も不可能である。

4 何でもありの「対処措置」

 「対処基本方針」に盛り込まれるのは武力攻撃事態の認定、対処に関する全般的な方針、対処措置に関する重要事項とされている(武力攻撃事態法第9条第2項)。
 この「対処措置」とは次のようなものとされている。
イ 武力攻撃事態を終結させるために実施する次の措置
@ 武力攻撃を排除するために必要な自衛隊が実施する武力の行使、部隊等の展開その他の行動
A 自衛隊と在日米軍が「武力攻撃を排除するために必要な行動が円滑かつ効果的に行われるために実施する物品、施設又は役務の提供その他の措置」
B 外交上の措置その他の措置
ロ 武力攻撃から国民の生命、身体及び財産を保護するため、又は、武力攻撃が国民生活及び国民経済に影響を及ぼす場合において当該影響が最小となるようにするために実施する次に掲げる措置
C 警報の発令、避難の指示、被災者の救助、施設及び設備の応急の復旧その他の措置
D 生活関連物資等の価格安定、配分その他の措置(第2条6号)。
 これらの措置は非常に広汎なものとなるだろう。米軍には望みの物資・施設を何でも提供し、市民への物資は価格と配分をコントロールされて配給経済とすることまで可能とされているのである。文字通り、戦争のためには何でもありということなのである。

5 地方自治体と指定公共機関への措置の実施の指示

 「対処措置」には、内閣総理大臣の自治体・指定公共機関に対する「総合調整」「措置の実施の指示」「直接執行」について規定している。
@ 内閣総理大臣は地方自治体や指定公共機関に対処措置に関する「総合調整」を行う(武力攻撃事態に際して設置される対策本部長として 第14条第1項)。
A 国民の生命等の保護などに支障があり、特に必要があると認める場合には、内閣総理大臣は地方自治体や指定公共機関に措置の実施を指示できる(第15条第1項)。
B 上記Aの指示が実施されないとき、または事態に照らして緊急を要すると認められるときは、内閣総理大臣は自ら措置を実施し、あるいは所管大臣に実施させることができる(第15条第2項)。
 「総合調整を経て」とはしているものの、結局は「指示」や「直接執行権」が認められる内閣総理大臣に全権が集中する。地方自治体が国の進める戦争政策に抵抗する余地はほとんどない。

6 国民に戦争遂行への協力・努力義務

 関係各当事者「責務」は以下のとおりである。
@ 国=組織及び機能のすべてを挙げて、武力攻撃事態に対処するとともに、国全体として万全の措置が講じられるようにする責務(第4条)
A 地方自治体=必要な措置を実施する責務(第5条)
B 指定公共機関=その業務について必要な措置を実施する責務(第6条)
C 国民=国・自治体・指定公共機関の対処措置に、必要な協力をするよう努力する責務(第8条)
 地方自治体は必要な被値を実施する責務を負わされることとなる。市営バスは、兵員や自衛官の移動などのために動員される。県立・市立病院、公共の会館、公園など地方自治体の施設も、自衛隊の陣地や野戦病院として使用される。
 また、自衛隊や米軍のために水道を供給することも、自治体の責務となるだろう。これら軍事のための職務命令を拒否した場合には、その職員は免職を含む懲戒処分の対象とされるだろう。国民の一人一人に戦争政策に協力・努力する責任が課される。自治体として、米軍の基地のあり方などについて意見するような活動にも大きな制約が課されるであろう。戦争に反対する諸活動はこのような国民の責任に反するものと言われかねない。新たな「非国民」攻撃に公的な裏付けが与えられるのである。

7 放送、エネルギー、通信、輸送なども国の号令のもとに
 共同実行の責任を分担する指定公共機関とは、
@ 独立行政法人、日本銀行、日本赤十字、NHKその他の公共的機関(政令で指定)
A 電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人(政令で指定)
とされており(第2条5号)政令によってどのようにでも拡大できることになる。これらは放送、エネルギー、通信、輸送など国民生活のネットワークの基幹業務を行っている事業者であり、民間企業も含まれることになることが予測される。

8 自衛隊法改正の危険な中味

 1)有事立法研究第一分類に係わる事項

 それぞれの国民の生活や権利に直接に関わるのが、自衛隊法第103条などによる徴用・徴発であり、これが有事立法研究第一分類とされてきた。
 「改正」前の自衛隊法第103条には、防衛出動命令の段階での、「病院・診療所等の施設の管理」「土地・家屋・物資の使用」「物資の収容」「物資の保管命令」「業務従事命令」の規定がもうけられていた。自衛隊法「改正」では、ほとんど死文化していたこの徴用・徴発条項が現実に発動できるものに改正されようとしている。
 「改正」内容と起こり得る事態を簡単にスケッチする。

@土地を使用する場合に立木等があれば移転できる。(移転が無理なら処分できる 第103条第第3項、第103条の2第2項)
 建物を使用する場合に建物の形状を変更することができる(第103条第4項)。
A 土地・建物・物資の使用や物資の収容等は公用令書を交付して行うことにするが、権利者がわからなければ事後交付でも足りる(第103条第7項)。
B 自衛隊の移動のとき、通行に支障がある場合の迂回のため、空き地や通路を通行できる(第92条の2)。
C 保管命令を受けた業者が、違反すると6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(第125条)。
D 都道府県知事は立入検査や報告要求ができ(第103条第13、14項)立入検査の拒否・妨害・忌避や報告拒否・虚偽報告は20万円以下の罰金(第124条)。

 2)有事立法研究第二分類に係わる事項

 国民を直接徴用・徴発するのが、有事立法研究第一分類であり、第二分類では自衛隊の行動を制約している行政法規の規制の適用を除外することが検討されてきた。この第二分類も、自衛隊法「改正」に加えられた(第115条の2〜21で20の法律の適用が除外されている)。

@ 部隊の移動・輸送のために道路管理者の承認なく道路工事ができ、道路予定地で建築等ができるようにする(道路法・道路交通法)。
A 自衛隊が、海岸・河川・森林・自然公園・漁港区域・港湾区域・都市公園・緑地保全地区・開発区域・首都圏と近畿圏の保全区域で建築等をする時(都市公園は占用する時)は、それぞれの法律による規制や手続を緩和する。
B 自衛隊が応急に建築する建物については、建築基準法や消防法の規制を適用しない。
C 自衛隊の野戦病院には医療法は適用しない。
D 自衛隊員の埋葬・火葬には墓地・埋葬等に関する法律は適用しない。
 これら規制外しは、ほとんどが、防衛出動命令の実行の場合(武力行使あるいはその「おそれのある」段階)だけでなく、陣地設営命令の実行の場合(「おそれ」が「予測される」段階)にも認められている。
 

第3 いまなぜ有事立法か 対テロ戦争をどう見るのか 

1 9.11後の世界と終わりなき戦争の危機

 ブッシュ政権がはじめた反テロ戦争がこれまでの戦争と決定的に異なる点は、戦争の他方当事者にタリバンというアフガニスタンを実効支配していた「政府」だけでなく、より主要なターゲットとして、アルカイダという国際的なテロ組織を名指し、事実上戦争が行われる地理的範囲を無限定にしていることである。
 これまでの戦争には停戦や和平合意というものがあった。しかし、アルカイダという実体の不明なテロ組織を相手にすることにより、この戦争を合意によって終わらせることはできなくなった。テロ組織を根絶やしにし、アメリカ国民が安心して暮らすことができるようになるまでこの戦争は続くとラムズフェルド長官は述べている。しかし、アメリカのグローバリズムに対するイスラム諸国の民衆の反発が続く限り、テロ組織を根絶やしにすることは著しく困難である。このような言明は、この戦争には事実上終わりがないということを示している。

2 アメリカのアフガン攻撃がもたらした直接的な帰結がイスラエルによるパレスチナ自治区への侵攻である。

 イスラエルの攻撃は自爆テロへの報復とされるが、順序が逆である。長年に渡るイスラエルの圧倒的な武力を背景にしたパレスチナ自治区への破壊があり、それへの抵抗手段を奪われたパレスチナ民衆の絶望的な抵抗として、自爆テロは敢行された。確かに、自爆テロも暴力であり、紛争を拡大させる効果しか生まないだろう。すべての紛争を非暴力を基本にして解決していくことが今こそ求められている。
 しかし、ジェニンなどでは戦車とブルドーザーでパレスチナの人々の生活の基盤が徹底して破壊され、大量虐殺が行われたという。戦車やミサイルを使ったイスラエルの侵略行為とパレスチナ民衆の抵抗闘争を同列に論ずることはできない。そして、このような世界戦争の危機をもたらしている根源がブッシュ政権の対テロ戦争政策であることは明らかである。

3 対テロ戦争準備したアメリカ軍事産業

 この対テロ戦争はアルカイダの攻撃によって始まったように見えるが、このような戦争を準備していた者がいる。アメリカの軍事産業である。冷戦後の緊張緩和で不況に見舞われていたアメリカの軍事産業はこの反テロ戦争によって空前の好景気に沸いている。米英が共同開発した次期戦闘機ハイテクを駆使したJSF(joint strike fighter)である。米英軍に3000機、同盟国に3000機最終的には8500機70兆円の発注が見込まれている。受注したのはロッキード社を含むロッキード連合で、ロッキード社の株価は9.11前より4割も値上がりしている。戦争をあおり立て、戦争に駆り立てている者の背後にこのような「死の商人」の影を読みとることは正当な判断だ。
 

第4  なぜ、有事立法に反対するか。われわれはどうやって戦争を止めるのか。

1 憲法の戦争放棄・平和主義の考え方に真っ向から反する。

 日本国憲法にはなぜ有事規定・戒厳令規定がないのだろうか。答えは単純である。憲法9条によって、国際紛争解決の手段として戦争を放棄し、軍隊を持たないこととしたため、軍事法制である有事規定を憲法から排除したためである。戦争を放棄している国に戦時法制はいらないということなのである。世界戦争の危機が訪れている今、戦時法制を整備することは日本を戦争できる国に変え、この世界戦争にアメリカ側に立って参戦することが目的であることは明らかである。
 国際手段を解決する手段として、戦争は使わないと言うことが我々の敗戦の最高の教訓だったはずである。世界中の国に有事法制があるとしても、戦争を放棄した日本がこれに倣わなければならないと言うことにはならないのである。

2 戦争の準備をすることによって、逆に戦争を招き寄せてしまう危険性がある

 日本は戦争の準備をしなかったからこそ、第二次世界大戦の後、一度も侵略も受けなかったし、多くの戦争に参戦もしないですんできた。もちろん、朝鮮戦争やベトナム戦争で日本はアメリカに荷担した。しかし、このとき、日本に憲法9条がなく、有事法制が存在していれば、これらの戦争に参加せざるを得なかったであろう(湾岸・アフガン以降は参戦していないとは言い難いが。)。
 「有事立法を準備するとしても、平時にやるべきで現在は最悪」(野中広務)という意見は保守主義者の健全なバランス感覚を感じさせる。しかし、いま、有事法制を準備している小泉政権と福田官房長官、町村ら取り巻きたちには、このようなバランス感覚も失われている。彼らは真に戦争をやりたがっているのではないか。
 不審船に対して、攻撃して沈めてしまうような対応の仕方に非常に危ういものを感ずる。このような雰囲気の中で、地道な外交的な手段を通じて世界戦争前夜の国際緊張を緩和する方向での努力がないがしろにされている。いままさに、日本は戦争の準備をすることで、周辺アジア諸国の信頼を失い、戦争に突入していく危険性が高いのである。

3 大規模な人権侵害の危険性がある

 いまは、政府は徴兵や報道管制は考えていないという。指定業務機関には民間放送も含まれ、戦争宣伝を日々の放送が流すこととなりかねない。既に提案されている内容でも、財産権の侵害は大規模に起こりうる。また、地方自治体は戦争政策の先兵として働くこととなり、エネルギー、輸送交通機関に働く労働者も真っ先に戦争協力に駆り立てられることが法案によって明らかとなった。
 そして、有事立法は最後は国民総動員、国民総監視、徴兵制、反戦運動の非合法化、報道機関の事前検閲・国家統制まで突き進む危険性が強い。歴史的に存在した戒厳令、戦時体制の多くが戦争に反対する・協力しない個人・団体対して致命的な人権侵害を引き起こしてきたことは冷厳な歴史的事実である。有事法制は、営々として築き上げられてきた人権保障のシステムや人権のスタンダードを一気に無効化してしまう魔力を持っている。有事法制の下では人権保障システムそのものが破壊されてしまう危険性があり、今回の法案はPKO法、周辺事態法、テロ対策特別措置法に引き続いて、そのような戦時法体系の全面化するターニングポイントなのである。

4 現代の戦争の性格からして、戦争には終わりがなく、泥沼化する

 民族独立を侵す戦争は必ず泥沼化することはベトナム戦争の最大の教訓だったはずである。冷戦後の国際紛争の変化によって、古典的な国と国が宣戦布告をして戦争をするというパターンが崩れてきている。民族的・宗教的な少数派とテロリストを明確に区別することは困難である。このことは南アフリカのアパルトヘイトに反対したANCや東チモールのフレテリンが独立・勝利を勝ち取るまではテロリストと呼ばれていたことを想起すれば明らかである。これらの少数派に対する抑圧手段として戦争が使われることとなる。
 結局のところアメリカの反テロ戦争はアメリカと先進国の経済的な権益を守るため、グローバリズムを押し進め、これに反対する宗教的、民族的被抑圧者に対する弾圧手段として機能することとなる。このことは、パレスチナの現状を見ることで明確となる。
 このような構造がなくならない限りは、テロの根源はなくならず、世界全体が終わりのない戦争状態に突入していく可能性がある。有事法制は、日本がアメリカの後を追い、そのような袋小路に迷い込む決定的で引き返し不能のポイントといえるだろう。

5 有事法制を作らない決断から生まれる真剣な平和への努力

 有事法制がないことによって、国民が戦争を避け外交的な努力を通じて世界の平和を守ろうと努力することで安全が保たれる。戦争放棄の国は日本だけではない。中米のコスタリカでは軍隊を持たないと言う選択を実際に実践している。
 日本はいま世界に広がるキリスト教徒イスラム教間の宗教的な不寛容の高まりに対して、宗教的に中立的な立場に立てる位置にいる。また、G8諸国の中で、中東戦争に従軍したことがなく、アラブ諸国と比較的によい関係を保ってきた。これらの外交的な位置を生かして平和外交を繰り広げることが日本の平和を守る第一の手段である。

6 <社民党土井ドクトリン アジアにおける多国間の安全保障システム>の先見性

    @  日本の非核不戦国家宣言
    A 北東アジア総合安全保障機構の創設
    B 北東アジア非核地帯の設置
    C  二国間安保から多国間安保へ
    D  自衛隊の縮小再編
   平和基本法の制定 自衛隊の縮小プログラムの法制度化
   自衛隊は国境警備、国土防衛、災害救助、国際協力の任務別に再編する。
   有事立法や秘密保護法をやめさせる。
   自衛隊内の人権侵害を防止する制度を作る
 

第5 有事法制準備と自衛隊の活動範囲の拡大の歴史

  戦後自民党政権は日本を「戦争のできる国家」とするために、1950年再軍備、1954年自衛隊の発足後その増強と自衛隊の活動範囲の拡大と併せて、有事立法を検討してきた。

1 自衛隊法の仕組みと有事の対応

   1954年
   治安出動
   防衛出動
 個別的自衛権の行使に限定(専守防衛)
 自衛隊法103条 物資の収用規定の存在 この具体化のための政令がない

2 日米安保体制と三矢研究

   日米安保条約改定(1960)
   三矢研究(1963)
 自衛隊内部における秘密研究
   二週間で有事立法を国会通過させるクーデター的な計画

3 福田による有事法制の研究開始

   有事法制の研究(1977)
   栗栖統幕長の超法規発言を受けて
   福田内閣による公式の研究開始
   三原防衛庁長官の指示
   1978年9月
   福田首相「防衛体制の整備」発言=有事法制の整備
   1981年 第一分類中間報告
   1984年 第二分類中間報告 

4 湾岸戦争とPKO

   1991年
   湾岸戦争 自衛隊掃海艇ペルシャ湾派遣
   1992年PKO法成立
   雑則26条 民間の協力規定 これが有事立法の基礎
   カンボジアPKO自衛隊派遣

5 安保再定義と周辺事態法

   1996年
   日米安保再定義始まる
   1997年
   日米新ガイドライン
   1999年
   周辺事態法
   日本が直接攻撃されなくても地理的な近接性を要件に米軍に協力していく体制を作り上げた
   法8、9条に行政機関による対応と国以外の者の協力規定あり

6 有事法制へ踏み込む

   2000年3月
   自自公安全保障プロジェクト
   有事法制とPKF参加解除目指すことを確認
   2000年4月
   森首相  有事法制の法制化を目指す
   2000年11月
   船舶検査活動法成立 不審船問題きっかけ
 
7 小泉有事体制へ

   2001年6月
   小泉首相 有事法制の早期整備を指示
   2001年9月
   9.11同時テロ発生
   2001年10月
   テロ対策特別措置法成立/米軍の軍事行動に参加
   自衛隊法の抜け駆け改正 国家秘密保護法の実質化
   2001年12月
   PKO協力法の改正 PKF解除
   2002年1月
   政府は「安全保障基本法」と防衛出動時の自衛隊の円滑な行動のための関連法案を一括提出する方針を固める。
 

第6 諸外国の有事法制

1 イギリス

成文憲法なし ただし、ヨーロッパ人権条約を国内法化した人権法が制定されている
明文の有事法制なし
コモンローに基づく戒厳令(マーシャル・ロー)の制度が認められている。

2 アメリカ

国家緊急事態法 戦争の宣言は議会の権限
            (反テロ戦争にバーバラ・リー議員が反対)
            大統領は陸海軍民兵の最高司令官

3 フランス

国民役務法の改正 (徴兵制の廃止)
憲法16条 大統領の非常事態権限 状況のよる必要な措置
宣戦は国会の許可が必要

4 ドイツ

基本法 1968年緊急事態憲法 防衛事態の認定
      連邦政府の申し立て
      連邦参議院の同意
      連邦議会の投票の3分の2 
      他に緊急事態、同意事態、同盟事態
緊急事態に関する法律が各分野ごとに整備されている。
      交通・用水・労働・食糧・民間防護団・保護建築
 このようにドイツでは個別法まで、整備されているが政府だけによる緊急命令の発布は認めず、緊急時の政府の行動を立法府と司法が厳しく監視することを規定している。このような個別法の徹底した整備はドイツを占領した米英仏三国の占領政策、とりわけ、緊急事態に対応した法の整備がなされ、駐留軍隊の安全が確保されるまでは時刻軍隊の安全を独自に守ることを認めていたことによるものである(ドイツ条約5条2項)。

5 スウェーデン

国会による強いコントロールが規定されている。
軍隊を戦闘に従事させるには国会の同意が必要
状況により、国会議員から任命された戦時代表団が国会を代替することもある。
 

第7 国際法と有事法制

1 国際人権規約は有事法制についてどのように考えているか

  ICCPR 4条
 「国民の生存を脅かす公の緊急事態の場合において、その緊急事態の存在が公に宣言されているときは、この規約に基づく義務に違反する措置をとることができる。」
 しかし、これには条件があり、以下の権利を守ることが前提とされている。
@国際法上の義務に反しないこと
A差別を含んではならないこと
B6条 生命に対する権利
C7条 拷問等の禁止
D8条 奴隷の禁止
E11条 契約不履行を理由とする拘束の禁止
F15条 遡及処罰の禁止
G16条 法の前に人として認められる権利
H18条 思想良心信教の自由

 居住移転の自由、表現の自由、信書や通信の秘密などについては、絶対的な保障の条項になっておらず、戦時には一定の制限を受けることが認められている。しかし、その範囲は「事態に応じて必要な限度」に制約される。

2 国際動向から見た日本の有事法制論議の位置

 軍隊を持ち、国の交戦権を認めている国には戦時法制があるのは当然であるが、最近の傾向は行政の権限を国会などのコントロールの下に置こうとする傾向が強まっている(水島朝穂「現代軍事法制の研究」参照)。
 日本のテロ対策特別措置法が国会の事前承認を不要としたことは、このような世界的な傾向にも逆行している。今回の安全保障基本法においても、国会の権限が焦点となるだろう。
 また、政府が構想しているように、有事の概念が国土が外国によって攻撃された場合に限定されず、テロなどの緊急事態を広範に含むこととなれば、有事概念が軟化し、非常時が日常化し、人権の侵害状況が固定化される危険性がある。

3 軍隊を捨てた国・コスタリカの経験から学ぼう

 中米のコスタリカは「軍隊が無い国」として知られている。1949年憲法12条1項で常備軍を廃止し、以来53年間非武装を続けている。
 今回、軍隊廃止を決断し、非武装憲法を制定した故ホセ・フィゲレス大統領夫人であるカレン・オルセン氏が日本に来日する。カレン・オルセン女史は元大統領夫人である一方、自身も国会議員・国連大使・在イスラエル大使を務め、特に、中米紛争における和平交渉時には、積極的な「火消し役」として平和外交を進め、特別大使的役割を担い、コスタリカの「国母」的存在であり、息子も元大統領である。

    ○場所:衆議院第一議員会館 第一会議室
    ○日時:2002年5月21日(火)12:00〜13:30

*カレン・オルセン氏の言葉より:語録
「軍隊を廃止し、平和教育を徹底し、清潔な選挙制度を確立して民主的制度を改革し、積極的な平和外交を展開すれば、外国から侵略されることはありません。コスタリカは常備軍を廃止したから、侵略を受けない国になりました。」
「平和は単に戦争が無い状態ではなく、一つの決意を持った行動が平和だと考えます」
「それまで費やしてきた国費の三分の一の軍事費を、教育と福祉にこの50年間あてています。このことが、コスタリカを前進させてきました。」

 



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