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2001年3月22日 法務委員会

刑務所の処遇
 人種差別撤廃委員会の勧告
 日本国籍を取得する際の氏名変更
 人種差別禁止法
 朝鮮人労務者未払賃金の供託問題
 死刑の問題




○福島瑞穂君
 社民党の福島瑞穂です。
 私はきょうは刑務所の中の処遇の問題についてお聞きをしたいと思います。初めに厳正独居の問題、後で医療の問題についてお聞きをしたいと思います。
 厳正独居拘禁とは、規律、秩序を害するおそれがあるとの理由で、受刑者を工場に出さないで、作業は狭い房内で行う特別の処遇である。作業以外の運動や入浴も一人だけで行う。所内のレクリエーションなどに出席することも認められておりません。房内では、作業中だけでなく日課外の時間であっても、就寝時間前は座った姿勢が強制され、立ち上がったり、壁に寄りかかったり、足を崩して伸ばすこと、立てひざなども禁止されております。
 こういうことで、衆議院の同じく社民党の植田至紀さんが厳正独居の実態について質問をしました。それは本当に驚くべき実態だったのですが、全受刑者の四%以上、数にして二千人以上が独居拘禁となっております。最長で三十七年間。三十七年間、一度も工場に出ないで人に会わず、運動も入浴もレクリエーションもすべて一人でやっている人がいると。十年以上が二十八人、五年以上が六十五人に達しております。
 ところで、拷問及び非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰の防止欧州委員会の一九九九年十一月五日の一般報告書のパラグラフ五十六では、例えば
 独房に類似した状況にある刑事被拘禁者に特別の注意を払っている。
 
 本人に非常に有害な結果に至るステップである独房型の拘禁は、その必要性と実施の間の衡量の原則が必要である。独房拘禁は、場合によっては非人道的または品位を傷付ける取扱いとなる。いずれの場合においても、あらゆる形態の独房拘禁はできるかぎり短期間としなければならない。となっております。
 短期間となっているにもかかわらず、日本の実態では、最長三十七年間ずっと看守の人を除いては一切コンタクトをほかの人と持たない人がいるわけです。三カ月おきにチェックをしているというふうに法務省の方から聞いておりますが、この点の改善についてお考えをお聞かせください。

○政府参考人(鶴田六郎君)
 お答えいたします。
 行刑施設における独居拘禁でございますけれども、これは施設内の規律及び秩序を維持するための隔離の必要がある、そういった場合のほか、処遇上その他の必要から他の被収容者から分離して処遇を行うものでございます。雑居拘禁とするのか、あるいは独居拘禁にするのかということにつきましては、監獄法令の定めるところによりまして、個々の受刑者の行状とか心身の状況、他の受刑者との関係、それから居房数やその収容状況とかいうその施設における実情等を考慮して総合的にこれを判断して行っているというのが実情でございます。
 独居拘禁に付されます期間は、委員も御案内のとおり、六カ月以内ということになっておりまして、特に継続の必要があると認められるときは三カ月ごとに更新ができることとされております。継続の必要については、個々の受刑者の行状とか心身の状況が他の受刑者に与える影響、またトラブルとかそういうのを発生しないかどうか、そういった点をその都度綿密に審査しているところでございまして、ただいま委員の方から御指摘がありましたように、やむを得ず独居拘禁の期間が長期にわたっている受刑者もごく少数ながら存在しているわけですけれども、私どもとしましてはこれも必要かつ適正な範囲で運用がなされているものというふうに考えております。
 いずれにしましても、今後とも独居拘禁の運営に当たっては引き続き適正な運用を図るよう努めてまいりたいと思います。

○福島瑞穂君
 これではできる限り短期間でなければならないとなっているにもかかわらず、一度も工場に出ないで三十七年間あるいは十年以上ずっと一人の人がいるわけです。もっと前向きに、なかなか雑居は難しいかもしれないんですが、厳正独居に閉じ込めることでますますコミュニケーションを持ちにくくなるということがあると思います。その点についてはぜひ善処をお願いします。いかがですか。

○政府参考人(鶴田六郎君)
 御指摘のような考え方も十分あると思いますが、他面、施設の運営に当たる者としましては、他の収容者との間の関係でいろいろな事情、心身の事情あるいは過去の行状等から雑居で集団処遇に適さないということもかなりあるわけでありまして、いずれにしてもその辺を考慮しながら、実際の審査に当たっても、単にその処遇に当たっている担当者だけではなく、分類調査を行っている心理の人あるいはお医者さんとか、そういう方々と多角的に、先ほど申し上げました更新の要否というのも検討しております。そういったところで今後とも適正を期していきたいというふうに考えております。

○福島瑞穂君
 ぜひこの期間が短縮されるようによろしくお願いします。
 次に、医療のことについてお聞きをします。
 私は受刑者の人からよく手紙をもらうのですが、きょうはその中で医療についての苦情のお手紙を持ってまいりました。たくさんあります。これはすべて刑務所内の医療の処遇に関して、こうしてほしい、こういう悩みを持っているという手紙です。
 それで、私はどうして刑務所の中の医療が十分でないかと思ったときに、法務省で全部やるのではなく、今、国民健康保険の適用がありませんけれども、厚生労働省の管轄にして国民健康保険の適用を例えばちゃんとやると。つまり無料で、ただでというふうに思われているからなかなか歯の治療とか十分やってもらえない。でも、保険の概念ですと、十分手当てをしなければ保険がもっと負担が膨らむわけですから、例えばある程度の給料を賃金として払うことにして国民健康保険などの適用というふうにきちっとやる、そして厚生労働省との管轄で医療はきちっと行うというようなことなどをぜひ思い切ってやっていただきたいのですが、いかがでしょうか。

○副大臣(長勢甚遠君)
 刑務所内の医療の実行につきましては、改めてまた御質問があるかもしれませんが、できる限り民間等も活用しながら適正にやろうということで努力をしておるところでございます。
 今、厚生省でやればどうかとか、あるいは賃金等も体系的に考え直したらどうかという御提案でございますが、刑務所の行刑という役割との関係をどういうふうに考えるかとか、根本的な問題もあろうかと思います。

○福島瑞穂君
 ただ、やはり受刑者の人は医療について大変不安を持っていて、十分治療が受けられないと。普通の社会にいてもそう思うわけですから、なおさらそう思っているわけです。このためには、もう抜本的に何か踏み出して改正をしない限りだめではないかと思います。
 先ほど申し上げました拷問及び非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰の防止欧州委員会は、一九九九年十一月五日の一般報告書において、例えば医療については「各患者について医療記録ファイルを作成し、診断、現在の患者の状態、受けた特別な検査について記録しなければならない。」というようなものもあります。
 カルテの開示や、ファイルをきちっと一人ずつとって丁寧にそれを見せるというようなことは現時点でも考えられないでしょうか。

○政府参考人(鶴田六郎君)
 現在、刑務所等の医師が診療を行った際には診療録を作成しまして、また投薬等の措置を行った際には診療録にその旨の記録を残しているところであります。
 そしてまた、例えば出所後に継続的な治療が必要だというようなことがありました場合には、出所者本人に対しまして、病状、投薬内容等を記載した書類を交付し、医療機関での受診を指導するとか、また出所者が治療を受けている医療機関の主治医の方から個別的に照会を受けた場合には刑務所等における治療の具体的内容も回答するというようなことも行っている、そういった対応をしているところです。
 今御指摘のございましたカルテ等の開示ということですが、カルテないし診療録というのは個人情報に属するものである、したがいまして本来これは公にすべきものではないのではないかといったこともあります。したがいまして、これらの開示についてはより慎重に考えていかなきゃならない問題だろうと思いますし、カルテの取り扱いに関しては一般社会においてもいろいろ御議論もあるところでございますので、そういった動向も踏まえながら今後研究していきたいと思います。

○福島瑞穂君
 カルテについては一般でもカルテの情報開示が議論になっておりますので、刑務所の中でもそれはお願いします。
 薬、自分にどういう薬が処方されているかわからないという訴えもあるんですが、それはきちっと教えているんでしょうか。

○政府参考人(鶴田六郎君)
 先ほどもちょっとお答え申し上げましたけれども、出所後に継続的な治療が必要だというふうに刑務所の医師が認めた場合には、時としてではありますけれども、本人に対して病状とか投薬内容を記載した書類を交付して、出てからですが、医療機関での受診を受けなさいといったような指導をしている例もあるというふうに聞いております。

○福島瑞穂君
 私は出所後のことを聞いているのではなく、受刑者である間に自分にどんな薬が処方されているのかというようなことはきちっと教えてもらえるのでしょうか。

○政府参考人(鶴田六郎君)
 お答えいたします。
 必要に応じまして、刑務所の医師の判断で教える場合もあるというふうに聞いております。

○福島瑞穂君
 抜本的な改正も必要だとは思うのですが、今の運用上もいろいろ改善できることがあると思います。私は、どんな薬が処方されているかわからないとか、みんな非常に不安がっているので、そういうことは本人が望めば全部基本的には開示していくということが必要だと思います。
 また、さっきの一般報告書の中には、「医療チームは毎日の健康記録を保管しておき、患者に関する特別な事項を記録しておくべきである。」というものもあります。こういうことも、別に法律改正をしなくても現時点ですぐできることだと思います。
 最後に、年金のことについてお聞きをいたします。
 これは前にもお聞きをしたんですが、御存じのとおり、御存じのとおりと言うのも変ですが、適用除外の扱いになって、申請免除の手続さえすれば、受刑中年金を払えなくても空白期間をカウントすれば服役後一部ですが給付を受けられるということがあります。
 ただ、この間、先日、免田栄さんに会ったところ、彼は無年金だと言っておりました。つまり、申請免除の手続をすればいいんだけれども、まだまだ受刑者の人たちにそれが浸透していなくて、刑務所を出た後、高齢者になって無年金になるという人たちも多い実態があります。
 これは努力を法務省はされているというふうに聞いておりますが、この年金の申請免除の手続の告知とか、取り組んでいらっしゃることを教えてください。

○政府参考人(鶴田六郎君)
 正確なお答えができるかどうか、ちょっとその点は若干正確を欠く部分があるかと思いますけれども、年金の問題についてはこれまで国会等でも委員が今御指摘になったような点の質問を受けた経緯がございまして、そういった意味から、今御指摘されたような事項、受刑中は免除になるけれども後で受給資格はあるというような趣旨のことを告知する必要があるのではないかということで、最初に刑務所に入ってきたときに、入所時といいますか、オリエンテーションがございますので、その段階でそういった点を告知するほか、各房内には房内のしおりというものがございますので、そういうところに今御指摘のあったような年金の問題も記載しまして、受刑者がそれを認識できるようにしておるところでございます。

○福島瑞穂君
 きょうは厳正独居と医療の問題について質問しました。ぜひ改善をしてくださるように強く要望して、私の質問を終わります。

○福島瑞穂君
 社民党の福島瑞穂です。
 民主党の竹村泰子さんが人種差別撤廃委員会の最終所見、勧告について質問されました。私もそのことを中心に質問をしたいと思います。
 それについてのパラグラフ十三、これはオリジナルが英語なので翻訳がちょっと違うかもしれませんが、
 
 委員会は、条約第四条(c)の違反である、高い地位の公の役人による差別的な性格の発言、およびとりわけ、結果として(権限ある)当局によって行政的もしくは法的措置がとられなかったこと、そして、こうした行為は人種差別を扇動し促進する意図がある場合にのみ処罰されるという解釈に懸念を持って注目するものである。ということを言っております。
 お聞きします。「高い地位の公の役人による差別的な性格の発言」、この委員会ではだれの発言が問題になったんでしょうか。外務省でも法務省でも結構です。

○政府参考人(吉戒修一君)
 お答え申し上げます。
 具体的な高官のお名前まで申し上げられませんけれども、よく御存じの方の御発言というふうに聞いております。

○福島瑞穂君
 これは議事録がきちっと出るわけですから、今のようなことをおっしゃっても困ります。具体的にどういう議論になったか教えてください。

○政府参考人(天野万利君)
 お答えいたします。
 これは石原東京都知事によるいわゆる三国人発言を指すものと考えております。

○福島瑞穂君
 私はその発言が人種差別撤廃条約に反するのではないかと思うものですが、この勧告が重要な点は次のことにあります。「行政的もしくは法的措置がとられなかった」、つまり石原都知事の差別的発言に対して当局によって行政的もしくは法的措置がとられなかったこと、それを共有すべきだというふうに勧告が言っていることだと思いますが、この措置が何もとられなかったことについて、この勧告を受けてこれからどうされようとお考えでしょうか。

○政府参考人(天野万利君)
 まず、今回のあの最終見解に対して日本政府としてどう対応するのかという一般的なお話があるかと思うのでございますけれども、最終見解が公表されるに先立ちまして、二週間ほど前でございますが、ジュネーブで審査というのがまずございまして、その審査で委員会に対して必要な情報を提供いたしまして、我が国における人種差別撤廃条約の実施状況について説明をしたところでございますが、時間の制約等もあって必ずしも十分に委員会側の理解が得られなかった点もあるかと考えております。
 今回示されました委員会の最終見解、前半でございますけれども、それにつきましては、今後、関係省庁においてそれぞれ所管事項について十分に検討をいたしまして、政府としてまた意見を提出する機会もございますので、必要であれば書面による意見の提出といったことを行うなど適切に対処していきたい、これがまず前半のお答えでございます。
 後段の石原東京都知事の発言についての措置ということでございますけれども、その前提といたしまして、まずこれが条約に違反するのかどうかという点が問題なんだと思うのでございますけれども、この人種差別撤廃条約の解釈をする権限を与えられた外務省といたしましては、この発言は条約で言っておりますところの「人種差別を助長し又は扇動する」という、そういう意図で行われた発言ではないというふうに考えておりまして、したがいまして人種差別撤廃条約の四条の(c)という、これが公の公務員といいますか者が行った行為に対する条文でございますけれども、その部分には違反をしていないというふうに考えております。

○福島瑞穂君
 委員会の勧告は違う解釈をとっております。つまり、
 条約第四条(c)の違反である、高い地位の公の役人による差別的な性格の発言、およびとりわけ、結果として(権限ある)当局によって行政的もしくは法的措置がとられなかったこと、そして、こうした行為は人種差別を扇動し促進する意図がある場合にのみ処罰されるという解釈には懸念を持つというふうに言っているわけですね。
 つまり、厳密に言えば条約四条(c)の違反かどうかというのはもちろんあるわけですが、この人種差別撤廃委員会が言っていることの重要なことは、別に人種差別を扇動し促進する意図があるかどうかではなくて、とにかく差別的な性格の発言、それも高い地位の公の役人が言っていること、それに対して何ら当局によって行政的もしくは法的措置がとられなかったということを重要視しているというふうに思えるのですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(天野万利君)
 御承知のように、委員会は十八名の選挙された委員によって構成されておりまして、さまざまな御意見をお持ちになるわけでございますけれども、必ずしも日本政府の見解というのとは一致をしないことも多うございまして、そういう点では、今お読みになりました意見については、先ほど申し上げましたようなことが私ども日本政府の見解ということでございますので、ややそこには隔たりがあるかというふうに存じます。

○福島瑞穂君
 委員にさまざまな人がいるのは事実ですが、勧告はその中の合意としてでき上がっているものです。
 では、日本政府にお聞きをいたします。
 こういう勧告が出たことを踏まえて、少なくとも行政的もしくは法的措置がとられなかったことを共有化して、私たちはこの勧告を生かす必要があると考えますが、日本政府としては今後どうやっていこうとお考えでしょうか。

○政府参考人(天野万利君)
 これは先ほどのお尋ねにも戻るわけでございますけれども、最終見解が出されましたのが日本時間で一昨日の未明でございまして、かなり大部のものでございますので、必ずしもまだ詳細に読み込んでいないところもございます。まず第一に、あの見解の中にどういうことが書かれているかということをそれぞれの役所、部署部署で十分に検討いたしまして、それに基づいて先ほど申し上げましたように何か意見を出す、あるいは何か必要ならば措置をとるといったことはまたこの先の問題になるかと存じます。

○福島瑞穂君
 それでは、今後どういうふうに取り組まれるか、ぜひ期待をしております。
 ただ、行政的もしくは法的措置がとられなかったことが問題であると言われたことについては現在どうですか。

○政府参考人(天野万利君)
 また大変に詳細なことになって恐縮でございますけれども、四条(c)ということにもし違反するかどうかということが問題であった場合には、これを認めないことというのが条約に書いてあるわけです。認めないというのはどういうことかというふうに考えるに、こういった発言あるいは行為が社会的に認知をされることのないようにというふうな行為が予定、想定されているわけでございます。
 ですが、石原都知事の発言に関しましては、都知事御自身でそれについての説明をされておる、またそれを説明した文書を表明しておられるということでございますので、その点についてはそういうことでもう終わっているかというふうに理解をしております。

○福島瑞穂君
 それはこの委員会が期待していることとは違うと思います。委員会は十三条で次のように述べています。「こうした出来事が将来起こらないように適切な措置をとり、」ということを言っております。「とりわけ公の役人、法執行官、行政官に、人種差別につながる偏見をなくす目的で、適切なトレーニングを行うよう要請される。」、つまり条約第四条(c)違反かどうかは別にしても、人種差別撤廃条約の趣旨に照らしてよくないことは確かなわけですから、日本政府は取り組めと言っているわけですよね。それでいかがですか。

○政府参考人(天野万利君)
 御質問の趣旨を取り違えたらば大変申しわけございません。
 一般に公務員等に関する教育という意味ではおっしゃるような指摘がございますし、それにつきましては、それぞれの部署で研修であるとか、それから研究会とかいろんな機会があるかと思うのでございますけれども、そういう機会を通じまして人種差別を撤廃する目的あるいは趣旨に沿った研修プログラムをつくるといった形で各行政官庁が実施をしておる、今後もそういったことをしていくというのがお答えになるかと思います。

○福島瑞穂君
 日本は人種差別撤廃条約を批准して、国内において人種差別がなくなるように努力をすべきなわけです。ですから、高い地位の公の役人が差別的な性格の発言をすることはこの趣旨には明確に反するわけですから、にもかかわらず行政的もしくは法的措置がとられなかったことが問題であると言われているわけですから、とられなかったことを私たちは共有化し、今後どういう措置をとるべきかということを一緒に考えたい、あるいは政府が前向きに今後どうされるかをぜひ期待をいたします。
 次に、帰化の問題、先ほど竹村さんも聞かれましたけれども、私もそのことをお聞きしたいと思います。
 パラグラフ十八、「委員会は、朝鮮・韓国人が帰化に際して日本風の氏名に改めなければならないという行政上ならびに法律上の規定がないにもかかわらず、当局が帰化者に対しそうした変更を強く指導しつづけていること、朝鮮・韓国人が差別を恐れるあまり強制されているように感じていることに対して懸念を表明する。」とあります。
 先ほど、一九八三年に適用が変わったというふうに説明がありました。
 お聞きします。例えばシンという人たちは辛ですればいいんですか。キムさんは金のままなれますか。それから、チェさん、崔と書きますが、そのままなれますか。再度確認します。

○政府参考人(山崎潮君)
 日本で使われる常用漢字、そういうものに該当していればそのまま使えるということでございます。

○福島瑞穂君
 なぜこんな勧告が出るのでしょうか。
 実はたまたま私の知り合いにシン・スゴさんという女性がいます。辛という字に、淑に、玉と書いてシン・スゴと読みます。彼女は一九八七年ころ帰化の申請をしたそうです。そうしたら、当用漢字のものを使ってくださいと言われて、見たら辛も淑も玉もあったと。だからそのまま、日本の戸籍には振り仮名はありませんが、では、これから辛淑玉として使いますので、そのままお願いしますと言ったら、よき日本人になろうという意思が感じられないとして帰化の申請は認められませんでした。だからこそ、こういう勧告が出るのだというふうに思います。
 個人名を言って申しわけないんですが、例えばシン・スゴさんはそのまま辛淑玉で帰化になれるわけですね。この運用は間違っているわけですね。

○政府参考人(山崎潮君)
 ただいま御指摘の事件、ちょっと私、具体的に承知していないわけでございますけれども、私どもとしては五十八年にきちっとした通達を出して周知徹底してやっているつもりでございまして、そのような事実はないと確信はしております。

○福島瑞穂君
 申しわけありませんが、私は周りに、やはり名前のことで帰化の申請をする際にいろいろ言われたという例を聞いているんですよね。彼女はその名前でそのまま使いたかったけれども、やっぱりそれは変えてほしいというふうに言われたと。
 こういう勧告も出ておりますので、今後としては、先ほどの竹村さんの質問ともちょっとダブりますけれども、そのままで全然問題なくなれるのだということの徹底を今後もぜひ強くしていただきたいというふうに思います。それはそれでよろしいんですね。

○政府参考人(山崎潮君)
 従前の通達の趣旨を徹底するようにしたいというふうに考えております。

○福島瑞穂君
 はい、徹底してくださるということで、意を強くいたしました。
 先ほどもありましたが、人種差別禁止法をつくるようにという旨の勧告も出ておりますが、例えば今、小樽では、ロシア人の人たちが銭湯に入ろうとすると、外国人お断りという張り紙があったり、御存じのとおり、静岡の方でブラジル人のジャーナリストの人が宝石店に入ったら、外国人は出ていけと言われて、裁判で彼女は慰謝料請求が認められるというのもあります。あるいは、ゴルフの会員権で在日韓国・朝鮮の人たちはゴルフの会員権を認めないというのは私人間適用で慰謝料請求が認められたりいろいろしておりますけれども、まだまだ具体的には、いろんなサービスを受ける、あるいは雇用の場で、住居を探す場合、いろんな場合に差別を受けるという報告をたくさん受けております。
 人種差別禁止法は日本において必要だと考えますが、いかがでしょうか。大臣、お願いします。

○国務大臣(高村正彦君)
 必ずしも今すぐ人種差別禁止法という法律が必要だという考えがあるわけではありません。いろいろ御指摘を受けて、今後、私個人としてもいろいろ考えてまいりたいと思いますが、法務省として今、人種差別禁止法というようなものをつくるということを検討はしておりません。

○福島瑞穂君
 勧告が出ましたので、ぜひぜひよろしくお願いします。
 次に、パラグラフの二十なんですが、「委員会は、国内の救済法が互恵主義に基づいてのみ救済を与えていることを懸念している。これは条約第六条に合致しない。」というのがあります。日本は国家賠償法におきまして、第六条、相互保証をとっております。「この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。」と。つまり、日本で外国人が国家賠償請求訴訟をしようと思う場合には、この相互主義がなければだめなわけですけれども、これはパラグラフ二十で批判が出ております。合致しないとあります。大臣、いかがでしょうか。

○政府参考人(山崎潮君)
 国賠法の関係でございますね。

○福島瑞穂君
 はい。

○政府参考人(山崎潮君)
 この点についていろいろな考え方が主張されている点は承知はしておりますけれども、現時点においてこれを検討するということは直ちに考えていないということでございます。

○福島瑞穂君
 勧告が出ておりますので、ぜひ前向きに取り組んでくださるようにお願いします。
 アイヌの権利をさらに促進するような措置をとること、あるいは複合差別についての取り組みなど、さまざまな提言があります。ことしは八月に南アで人種差別撤廃の国際会議も開かれますし、日本の報告書もまた同じように国連でも審議されるわけですから、ぜひよろしくお願いします。
 次に、三月八日からジュネーブで開催されているILO理事会に提出された条約勧告適用専門家委員会の二〇〇〇年度報告で、委員会は、日本の戦時慰安婦と戦時産業強制労働に関して、一九九九年に続いてILO二十九号条約違反として取り上げました。ILOに違反するということがたびたび出ているんですけれども、これを踏まえて、例えば私はこの法務委員会で、供託金がそのまま、賃金がそのまま供託をされ続けていると。それは塩漬け状態でおろしもできないし、そのままということについてなど質問をしてきました。
 戦争中における強制労働に関しては、当時日本も批准していたILO条約違反であるというのは国連でもはっきり言われているわけですから、ぜひこういうことも踏まえて、塩漬けというか氷漬けになっている供託金をおろすとか何かの対応をぜひ法務省にお願いしたいのですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(山崎潮君)
 供託につきましては、もう委員御案内かと思いますけれども、法の根拠があって受け入れをし、払い渡しをするということになるわけでございます。
 ただいま御指摘の点につきましては、法の根拠ということではなく外交上の配慮でというように私は理解できたわけでございますけれども、そういうことでありますと、今未払いの賃金等をそのまま流用するというような形は難しいというふうに理解をしております。

○福島瑞穂君
 ただ、このような勧告も出ており、日本政府としては何かをすべきではないか。法律上ということが難しいとおっしゃるのであれば、この法務委員会で質問したように、供託の要件を満たしていたかどうかという、逆にこちらも法律のことを言いたい面もあるんですが、それはちょっとさておき、政治的に供託金があって、それを返すべきという議論は十分成り立つと思うのですが、ILO条約違反というこのような勧告をたびたび受けた後、政府としてやれることがあるのではないか。この勧告を受けてどうなさるおつもりなのか、お聞かせください。

○政府参考人(山崎潮君)
 政府全体の話になろうかと思います。直ちに私、今ここでどうこうするというお答えを申し上げることはちょっとできませんけれども、今、委員御指摘の点を含めまして、一つの問題点として、どういう結論になるかは別として考えてみたいという感じでございます。

○福島瑞穂君
 戦後もう五十五年たちまして、実はもう当事者の人たちがずっと言ってきて、全く取り残されてきた問題で、きのう、きょう始まった問題でもありません。委員会でも、私以外の方たちも恐らくいろんな委員会で質問していると思うのですが、ですから戦後補償のテーマでも多分いろいろ少しずつ事案が違っていたり解決困難なこともあるかもしれません。しかし、今、現に例えば和解なり英断をして供託金をおろして配るとか、いろんなことはできると思うのですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(山崎潮君)
 先ほどもお答え申し上げましたけれども、これは法務だけの問題ではないわけでございまして、政府全体あるいは政治全体の話かというふうに私ども理解をしておりまして、現在、私がこの立場でお話を申し上げるのはちょっと控えさせていただきたいというふうに思います。

○福島瑞穂君
 それでは、実力者の法務大臣にお願いします。

○国務大臣(高村正彦君)
 法務局に供託されている供託金は関係法令に従って適切に取り扱うべきものであると考えておりますが、委員の御質問の趣旨が、それをどうしろと言っているのか、ちょっと私よく理解できなかったもので、申しわけありませんが、もう一度おっしゃってください。

○福島瑞穂君
 私の言いたかったのは、ILO条約違反だと言われていること、二つ目は、いろいろ立法的なことはあるにしろ、供託されている供託金があるわけですから、それを例えばわかっている人に配るとか、そういう措置は今からでもできるのではないかと。ですから、こういう勧告が出たことも踏まえて、供託金をおろすなり分配するなり具体的な解決方法というのはとれないものだろうか。例えば、法律的にとは別に政治的な決着でも結構です、法務省としてできないものかと思って質問をいたしました。

○国務大臣(高村正彦君)
 供託されたお金とそれを受け取る人の関係が明確な場合と、そうじゃなくて、そのお金をおろして一般的に補償に充てるということをおっしゃっているんでしょうか。

○福島瑞穂君
 供託の場合は名前がわかっておりますので、もちろん遺族ということもあるでしょうけれども、基本的にその本人たちに返すということが筋ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○政府参考人(山崎潮君)
 名前が仮にわかっているということでその人の請求権だと仮にいたしまして、それは物によって時効消滅しているものも当然あるわけでございます。そういう関係等もございまして、大韓民国の関係で申し上げますと、請求権協定あるいはそれに基づく法律、こういうことで消滅をしているというさまざまな法的な問題点がございます。そういう点も全部踏まえて考えざるを得ないということで、直ちに今ここでどうこうと言うことはできないというふうに考えております。

○福島瑞穂君
 時効とおっしゃいましたけれども、時効を主張する側が援用しなければ時効の主張にはならないわけですし、私は、法律の問題もさることながら、お金があり、それをだれに返すべきかという本人がわかっているわけですから、これは政治的決着として返すのが筋だと。そういうふうにして一つ一つ問題を解決していかない限り、ただお金は供託してあります、これは塩漬けでだれも手をつけられませんという状況はやはり不誠実、あるいはもう少し何とかならないかということを強く思います。
 また今後もぜひお話し合いを続けたいと思いますので、よろしくお願いします。
 後は、死刑の問題についてお聞きをいたします。
 ヨーロッパ評議会の調査団が日本に来日し、法務大臣にお会いをして、東京拘置所への見学を希望し、ただ死刑確定囚の人とは面会ができなかったわけです。
 御存じのとおり、EU、ヨーロッパ評議会に加盟をするためには死刑を廃止しなければなりません。ですから、トルコも事実上死刑の執行をやめました。日本はヨーロッパ評議会のオブザーバーです。加盟国でなくオブザーバーだからいいのだということではなく、日本もヨーロッパ評議会のオブザーバーなわけですから、死刑廃止へ向けての議論を始めるとかということは必要ではないかというふうにも思いますが、高村大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(高村正彦君)
 トルコがEUに入るために死刑をペンディングにしているんですか。

○福島瑞穂君
 はい。

○国務大臣(高村正彦君)
 そういう状況であるから、日本もオブザーバーであるそういう状況で、EUの共通の制度である死刑廃止、それをするというのは、私はそういうことなのかなとちょっと疑問に思います。
 日本は主権国家として日本の中で決めていく問題であると思います。もちろん国際的な潮流がどうだというのは一つの重要な判断ではあると思いますが、EUのオブザーバーとしての地位と関連させて、EU側がだから日本もしなさいよというのは一つ論拠があると思いますが、我々がオブザーバーとしての地位だから、それを主たる理由でどうだという話とはそれはちょっと違うのではないかと。
 最近の世論調査を見ましても、やはり死刑はやむを得ないと考えている人が日本国民で圧倒的に多いわけでありますし、最近の犯罪等の状況を見ても、直ちに死刑を廃止する、そういうような状況ではとてもないと私は考えております。

○福島瑞穂君
 それでは、ヨーロッパ評議会が将来日本に対して勧告をしたらどうですか。

○国務大臣(高村正彦君)
 勧告は勧告として受けとめますが、最終的決定権は主権国家たる日本が決めていく、こういうことでございます。

○福島瑞穂君
 死刑確定囚の人たちの処遇については法務委員会で何度も質問してきたのですが、かつてはいろんな人たち、友達、ジャーナリストなど、いろんな人たちと自由に会えていたのが、あるときから家族、そして弁護士だけになってしまいました。ですから、国会議員ももちろん、外国の国会議員も今の時点で死刑確定囚とは会えない、友人も会えないということになっているのですが、なぜそういうふうに劇的に変わったのでしょうか。

○政府参考人(鶴田六郎君)
 お答えいたします。
 過去のいきさつについてはちょっと今はっきりわかりませんが、いずれにしても死刑確定者との接見、面接につきましては、昭和三十八年に出されました局長通達によりまして、一つは死刑囚の身柄の確保を阻害しまたは社会一般に不安の念を抱かせるおそれがあるか否か、二点目には当該死刑囚の心情の安定を害するおそれがあるか否か、三番目にはその他施設の管理運営上支障が生ずるか否かといったような点を判断してその許否を判断することにしておりまして、その場合において今申し上げたおそれ等がある場合にはおおむね許可を与えないという取り扱いをしておるところでございます。

○福島瑞穂君
 今、例えば私たちも死刑確定囚に会って処遇の状況がどうかということを聞こうと思っても、文通しようと思っても、それはできないわけですよね。中の状況も、本当にどういう状況で一人一人がどういう状態でいるのかも実はわかりません。
 私自身は、やっぱり死刑確定囚の処遇の問題、死刑についてはいろんな意見があるかもしれません。しかし、確定囚の処遇についてはもう少し改善されてもいいというふうには思いますが、いかがですか。

○政府参考人(鶴田六郎君)
 お答えいたします。
 死刑確定者の立場と申しますか地位というものを考えてみますと、死刑判決の効果といたしまして、その執行を確保するために社会一般から隔離されて拘置されているわけですが、それと同時に、死刑を待つ身であるためにささいなことでも大きな精神的動揺と苦悩に陥りやすいことが十分に推察されるわけでありまして、それだけに自殺とか逃亡等の不測の事態を起こす危険が多いわけであります。そういった意味で、その処遇に当たってはその心情に格別の配慮を要することが大変必要だというふうに考えて対応すべきものと考えております。

○福島瑞穂君
 ヨーロッパ評議会の調査団が気の毒だったのは、死刑確定囚の人から会いたいと言ってもらっていたにもかかわらず会えなかったということなんですね。つまり、本人が会いたいと言っても会えないということそのものが今問題だと思います。ぜひこの点の改善をお願いします。
 それから、人種差別撤廃条約の審査について勧告が二十日に出て、ほやほやのところで聞いた点はちょっと済みませんが、ぜひ前向きにいろいろ一緒に取り組んでいくことができればと思います。
 ありがとうございました。

 



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