高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する質問主意書
原子力発電所から毎年生み出される高レベル放射性廃棄物を最終的にどのように処理するか、具体的な計画はまだ立案されていない。通産省からは、高レベル放射性廃棄物の処理処分の考え方が示され、核燃料サイクル開発機構からは、高レベル放射性廃棄物に関する地層処分研究開発第二次取りまとめが「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性」と題して発表された。来年には高レベル放射性廃棄物の最終処分についていよいよ立法化が行われる予定である。一方で、放射性廃棄物の処分地と目される地点からは、その地域及び周辺の人々から反対の声が上がり、その声を無視して処分地の決定は行わないという確認が各地で行われている。このような背景の中で、政府方針とこれまでの各地との確認や約束はどのように関係し履行されていくのかについて疑問点が多いので、以下質問する。
一、二〇〇一年からの省庁再編に伴い、高レベル放射性廃棄物の処分事業及びそのための技術開発は経済産業省の所管となるということだが、この「技術開発」には、核燃料サイクル開発機構が計画している幌延町の深地層研究所(仮称)における各種研究開発が含まれるか。
二、この深地層研究所に関連して科学技術庁が北海道知事に対し一九九八年一二月一八日に行った回答(以下「回答」という。)についての責任は、文部科学省と経済産業省の共管として引き継ぐということだが、処分事業に関係するのであれば経済産業省、関係しないのであれば文部科学省と明確に分かれるはずである。この回答についての責任を、経済産業省が単独で引き継がない理由は何か。
三、北海道からの照会文では「道としては道内に放射性廃棄物を受け入れる意思はなく…」と、放射性廃棄物全般を対象にしているのに対し、回答は「高レベル放射性廃棄物の…」と限定的な答えとなっており、見方によっては高レベル放射性廃棄物以外の低レベル放射性廃棄物やTRU(超ウラン元素)廃棄物については受け入れに含みを持たせた回答とも受け取れる。そこで、私がこれについて「低レベル放射性廃棄物もTRU廃棄物も持ち込まないという意味か」という問い合わせをしたところ、「道内に低レベル放射性廃棄物が持ち込まれたり、道内が中間貯蔵施設や処分場の立地場所になることはない」という返事を得たが、TRU廃棄物については言及されていなかった。これはTRU廃棄物の持込みの可能性が否定できない趣旨と受け取ってよいか。
四、回答は、将来にわたって北海道に高レベル廃棄物を持ち込まないことを約束した文書と受け取られている。これは、処分実施主体が行う「処分候補地」から「処分地」に至る一連の立地選定プロセスから北海道を除外したものと受け取ってよいか。
五、今後の処分場立地選定プロセスにおいて、北海道及び回答と同趣旨の見解が示された青森・岐阜両県と他府県とでは、異なる扱いになると理解してよいか。
六、回答によると、旧動燃で発生した放射性廃棄物は幌延以外で貯蔵することになっているが、どこで貯蔵するのか。現時点で、候補自治体はあるのか。
七、核燃料サイクル開発機構は、深地層研究所の研究実施区域について、処分実施主体に譲渡又は貸与することがあるか。
八、旧動燃の貯蔵工学センター計画にある「深地層試験場」と核燃料サイクル開発機構の深地層研究所は、試験目的や立地場所、対象地層が同じものであるか。
九、貯蔵工学センター候補地だった幌延町開進地区では、「地権者の要請」として、核燃料サイクル開発機構の予算を使い警備員の常駐が続いている。警備委託契約を始め、地権者との土地貸借契約、閉鎖された旧動燃事務所のリース契約も継続中であり、道民の間からは、「貯蔵工学センター計画は白紙に戻っていない」との疑惑を招いている。これらの契約が継続されている理由は何か。また、来年度以降、以上のような各種契約にかかわる予算計上を中止する意思はあるか。
右質問する。
内閣参質一四六第二一号
平成十二年一月十八日
内閣総理大臣 小渕恵三
参議院議長 斎藤十朗 殿
参議院議員福島瑞穂君提出高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
参議院議員福島瑞穂君提出
高レベル放射性廃棄物の処理処分に関する
質問に対する答弁書
一について
平成十三年一月六日から、文部科学省設置法(平成十一年法律第九十六号)及び経済産業省設置法(平成十一年法律第九十九号)に基づき、原子力政策のうち科学技術に関するものは文部科学省、エネルギーに関する原子力政策に関するものは経済産業省が所管することとなる。御指摘の高レベル放射性廃棄物の処分事業及びそのための技術開発に関する事務は、その対象とする高レベル放射性廃棄物の発生の原因となる活動の内容及び処分事業の様態等に応じて、文部科学省又は経済産業省が適切に所管することとなる。
また、御指摘の「技術開発」の事務の一部は、核燃料サイクル開発機構法(昭和四十二年法律第七十三号。以下「機構法」という。)に基づき設立された核燃料サイクル開発機構(以下「機構」という。)が、機構法第二十四条第一項第一号ニの規定により、高レベル放射性廃棄物の処理及び処分に関する技術の開発及びこれに必要な研究に係る業務として行っているところである。
現在機構が北海道幌延町に建設を計画している深地層研究所(仮称)(以下「深地層研究所(仮称)」という。)の行う各種研究開発は、機構の実施する機構法第二十四条第一項第一号ニの業務の一環である。
なお、機構は、平成十三年一月六日から、文部科学省及び経済産業省の共管となる。
二について
御指摘の科学技術庁長官が北海道知事に発出した「幌延町における深地層の研究について(回答)」(平成十年十二月十八日付け十原第二百三号。以下「回答」という。)については、その内容が、高レベル放射性廃棄物の発生の原因となる活動の内容及び処分事業の様態等にかかわらずすべての当該廃棄物の中間貯蔵施設及び処分場に関するものであることから、平成十三年一月六日から、文部科学省及び経済産業省が、回答の趣旨を踏まえて適切に対応することとなる。
三について
御指摘のTRU(超ウラン)核種を含む低レベル放射性廃棄物についても、北海道知事が科学技術庁長官に発出した照会文(平成十年十二月十五日付け資源第七百七十九号)において、「道内に放射性廃棄物を受け入れる意思がなく、放射性廃棄物の中間貯蔵施設や処分場を受け入れる意思はない」としている下では、北海道内に持ち込まれたり、北海道内が当該廃棄物の中間貯蔵施設や処分場の立地場所になることはないものと考えている。
四及び五について
回答では、「北海道知事をはじめとする地元が中間貯蔵施設及び処分場を受け入れない意思を表明されているもとでは、北海道内が高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設及び処分場の立地場所になることはないものであります。」としている。
また、科学技術庁長官が青森県知事に発出した「高レベル放射性廃棄物の最終的な処分について」(平成七年四月二十五日付け七原第五十三号)では、「知事の了承なくして青森県を最終処分地にできないし、しないことを確約します。」と、同じく科学技術庁長官が岐阜県知事に発出した「動力炉・核燃料開発事業団東濃地科学センターが推進する地層科学研究について(回答)」(平成十年九月十八日付け十原第百六十三号)では、「貴職をはじめとする地元が処分場を受け入れる意思がないことを表明されている状況においては、岐阜県内が高レベル放射性廃棄物の処分地となることはないものであることを確約します。」としている。
以上の回答等の内容について、現在も、その方針に変更はない。
なお、御指摘の高レベル放射性廃棄物の処分場の立地における三道県以外の都府県の取扱いについては、今後、適切に対応してまいりたい。
六について
機構から発生する高レベル放射性廃棄物については、現在、機構東海事業所再処理センター内において安全に管理されている。また、当該高レベル放射性廃棄物の中間貯蔵施設については、機構において、貯蔵等の技術的検討及び立地についての調査検討を行っているところである。
なお、高レベル放射性廃棄物以外の低レベル放射性廃棄物については、機構の当該廃棄物を排出した施設等の敷地内において、安全に管理されている。
七について
深地層研究所(仮称)計画では、我が国における地下深部についての学術的研究に寄与できる開かれた研究の場として研究施設を整備し、広く内外から研究者の参画を得て総合的に研究を進めていくこととしているが、研究活動を行っている段階で、処分実施主体に対して、研究施設を譲渡又は貸与することは考えていない。
また、研究活動が終了した後の同施設の取扱いについては、地元との協議により決定することとしている。
八について
旧動力炉・核燃料開発事業団の貯蔵工学センター計画の一環として予定されていた深地層試験場(以下「深地層試験場」という。)では、地下坑道を掘削した後、地下深部において、地層処分された高レベル放射性廃棄物中の放射性物質が、地下水等によって人間環境に運ばれることを抑制するための仕組みである天然バリア及び人工バリアの研究を重点的に行うこととしていた。一方、深地層研究所(仮称)では、地表からの調査研究並びに掘削中及び掘削後の坑道を利用した調査研究を段階的に進展させ、地質構造、岩盤、地下水等の地下深部の地質環境調査手法を体系的に確立することも目的としている。また、両研究施設は、共に堆積岩及び塩水系の地下水を研究対象としている。
なお、深地層試験場は、幌延町字開進に建設する予定であったが、深地層研究所(仮称)の立地場所は、今後実施される地上調査の結果を踏まえて決定する予定である。
九について
平成十年二月に、貯蔵工学センター計画を取りやめたことに伴い、旧動力炉・核燃料開発事業団は、同計画の推進のために設置していた幌延連絡所を閉鎖することを決定した。しかし、幌延町からの要望を踏まえ、それまで同町内に設置していた気象観測装置は撤去せず、同町への気象情報の提供を目的として、気象観測を継続することとした。そのため、気象観測に必要な機材等が設置されている幌延連絡所の建物及び土地の賃貸借契約並びに同町字開進に設置されている気象観測装置の用地の使用貸借契約を継続してきている。
また、当該気象観測装置が設置されている貯蔵工学センター建設候補地の一部であった土地の所有者から機構に対し、第三者による不法な侵入を防止する観点から警備継続の要請があり、機構では、当該要請にこたえ、当該土地の警備委託契約を締結し、警備を引き続き行っているところである。
機構は、今後とも地元からの要望を踏まえて、気象観測及び警備を継続することとしており、そのために必要な経費を予算措置することとしている。
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