原子力政策
原子力発電をとりまく現在の状況
2000.12.12 社民党脱原発PT資料
1、脱原発は世界の潮流
世界はいま、確実に脱原発に向かっている。ドイツでは今年に入り、原発は一定期間内に段階的に廃止するという方針を発表した。だいたい30年で、全ての原発の運転期間が終了する。台湾では、脱原発を公約に掲げた新政権が誕生し、建設中の台湾第四原発の建設中止を決定した。トルコ、フィリピン、インドネシアでも原発建設計画は中止され、脱原発はすでにアジアにまで広がっている。
世界の大きな流れは自然エネルギーの促進である。太陽光発電、風力発電やバイオマスなどの再生可能なエネルギー源を活用した発電方法だ。欧米では自然エネルギーのシェアを拡大するため、達成目標を掲げて支援措置を行っている。EUでは2010年までに12%と、「白書」で掲げている。今現在のシェアは小さいが、将来を担うエネルギー源として大きく育てようという政策である。
このような流れの中で、日本だけがまったく逆の政策を取り続けている。
2、原発は地球温暖化の対策にならない
原発は現在、世界全体で400基で、世界の一次エネルギーの5%を占めている。もし原発を地球温暖化対策と考えて、仮に現在のCO2の6%を削減をしようとするならば、現在の400基を上回る新増設をしなければならない。現在の400基も老朽化しているものが多く、それも新しくしなければならないため、実際には800基以上の新増設が必要。これが実現不可能であることは明らかで、だからこそ国際会議でも「原発によるCO2削減説」は一笑に付される。
京都会議(COP3)で日本がCO2削減案として示したのは、原発20基の増設と森林吸収である。森林吸収については、先日まで開かれていたハーグのCOP6で、日本の計算方法が世界各国から身勝手と非難された。日本の計算方法では、アメリカなどはまったく対策をする必要がなくなるからだ。日本は必死の抵抗をして、COP6の合意をつぶした。合意が成立すると、1990年レベルからCO2を5.6%削減するという日本の約束のうち3.7%をカバーする予定だった森林吸収分が、大幅になくなってしまうからだ。しかし遅かれ早かれ、日本の計算方法が否定されることは間違いない。
残る2%の大半を稼ぐ予定だった原発も、通産省みずから20基を13基に下方修正した。立地が困難だからだ。このように原発に頼っている限り、軌道修正を繰り返し、結局約束違反になることは明らかである。
3、原発推進特措法とエネルギー基本法
地球温暖化防止のための現実的な方策は自然エネルギーを早く大きく育てることである。ところが、日本ではこれを原発が妨害している。自然エネルギーにシェアを奪われないように、今のうちに自然エネルギーの芽をつもうというわけだ。それが原発推進派による自然エネルギー発電促進法案つぶしや、原発へ新たな補助金をばらまく原発推進特措法となって現れている。
自民党は来年、あらたに「エネルギー基本法」という法律を提出する。日本のエネルギー政策を「原発を主とする」と法律で規定するというもの。このような一連の原発関連攻勢は、原発推進派が勢いづいているように見えますが、じつは彼らがそこまで追いつめられていることの現われである。今までは、法律にしなくても原発は推進できた。ところが今はもう法律で強制でもしなければ安心できないというわけだ。
電力自由化の波もある。海外企業が高コストの日本の電力市場を虎視淡々と狙っている。高コストの原因は明らかに原発。安い石油や石炭の発電で市場参入されると日本の電力会社に勝ち目はない。石油や石炭を排除する環境税などのシステムができてないからで、地球温暖化防止にも結局逆行する。
しかし、日本の電力会社や通産省にこの事態の認識はなく、原発立地しか頭にないように見える。エネルギー基本法ではプルトニウム利用などの核燃料サイクルも、高レベル放射性廃棄物処分や使用済核燃料の中間貯蔵などの廃棄物対策も国策として位置づけるという意図がある。この法律と並行して提出予定の土地収用法改悪案が成立すると、高レベル放射性廃棄物処分のために土地「強制収容」などという事態も現実になるかも知れない。
4、自然エネルギー発電促進法の現在
欧米各国が自然エネルギーの普及に高い目標設定をしているのと裏腹に、日本は2010年までに3%という低い目標しか掲げていない。しかも、その内訳は太陽光発電500万kWが大部分を占める。2000年現在太陽光発電は20万kWにも及ばず、あと10年で500万kWは達成不可能といわれている。
この普及失敗の原因は国の普及策にある。設置コストに対する補助に限定していたため、メーカー間の性能競争がおろそかになった。性能の良い発電システムも悪い発電システムも補助率が同じだから、悪いシステムもいつまでも残る。これを変えるにはランニングコストへの補助で、発電量に対して一定割合を補助するということにすれば、性能の良い、つまりよく発電するシステムの方が多くの補助金を受け取り、利益回収も早いことになる。
ドイツではランニングコストへの補助を定めた「電力買取り法」で、風力発電の設備能力を1991年からの10年足らずで世界一規模、300万kW近くに延ばした。そこで、日本でも自然エネルギーの買取り制度と買取り補助をと提唱したのが「自然エネルギー発電促進法」である。ドイツの制度には買取り補助はないが、日本の電力会社の経営のことまで考え、補助制度を織り込んだ。ところが日本の電力会社は、この補助制度に断固反対し、自民党内意見を買取り制度と買取り補助は絶対に受け入れられないという方向に誘導してしまった。
法案はいま暗礁にのりあげているが、ここで説明したような考え方が社会的共通認識となれば、おのずと道は開ける。
(文責:福島瑞穂事務所 竹村英明)
原発推進特別措置法案の問題点
(正式名称:原子力発電施設等立地地域の振興に関する特別措置法案)
2000.11.14
1 法案の目的
原子力施設の立地自治体及びその周辺自治体に、新たな補助金をばら撒くこと。「周辺」の定義、補助金の支給対象事業、補助金総額ともに、本文上には明確な規定がなく、法施行後に無尽蔵に拡大する恐れがある。
2 補助金支給の仕組み
法案の特徴は、内閣総理大臣を議長とする「原子力立地会議」(以下、立地会議と略す。)が設置されること。この立地会議が「原子力発電施設等立地地域」(以下、立地地域と略す。)を指定し、都道府県知事がこれに呼応して「原子力発電施設等立地地域の振興に関する計画」(以下、振興計画と略す。)を提出、これを内閣総理大臣が承認、決定すれば、その事業に補助金が落ちる。(別紙の法案概要図を参照)
3 原子力を理由の二つの支援措置
1)補助金額は一般的には事業総額の50%だが、原子力防災に関わる施設、事業と認定されれば、「一割り増し」の55%となる。(法案概要図の特例措置)
2)立地地域の中に工場設備等の誘致をすると事業税、不動産取得税、固定資産税などを減免することができ、それによって立地地域の自治体が被る損失を地方交付税で補填する。(法案概要図の普遍的措置)
4 何でもありの補助金対象事業
補助金対象事業は、「基幹的な道路、鉄道、港湾等の交通設備および通信設備」「農林水産業、商工業その他の産業振興および観光の開発」「生活環境の整備」「高齢者の福祉その他の福祉」「防災及び国土の保全」「教育、科学技術及び文化の振興」そして「ほか」。要するに何でも良い。(第5条関係)
交通設備の中には「空港」も入るし、生活環境の整備や国土の保全なら「大規模ダム」も入る。これらが振興計画として認められれば、少なくとも平均で50%の補助金が出る。
さらに、原子力防災目的と認められる施設として別表があり、道路・港湾、消防用設備、義務教育施設などが対象。これらの補助金は一割り増しの55%となる。
しかも補助金支給対象は、施設建設だけでなく補修、改修、何でも構わない。財源は明記されていないが、立地地域をどこまで広げるのか、対象事業をどこまで広げるのか、すべて「立地会議」で定めると、いわば白紙委任状態。
5 法案提出の経緯
法案提出の動きは昨年秋から。法案提出者は加納時男参議院議員などの自民党商工族。衆議院選前には新潟県選出の桜井新前議員(落選、自民党)が、熱心に推進してきたが、その後は島根県選出の細田博之衆議員議員が熱心に推進している。背景には、補助金の上乗せをせまる原発立地自治体の要求がある。衆院選前には、電源開発促進対策特別会計の中に新たに「電源地域対策勘定」なるものをつくり、1000億円を超える新しい原発補助金財源を作り出すものだった。今回の法案には、「電源地域対策勘定」のような枠組みはないが、意図は同じ。
6 クスリづけの原発立地自治体
原発立地自治体には、これまで1兆円を超える補助金、交付金が落とされている。それにもかかわらず、これら自治体は自立できない。法案上程にむけた立地自治体の総決起集会の資料には「いまだ自立した発展を示すまでに至らず」と書かれ、これが補助金行政の帰結であることを、みずから証明している。
この法案は、自立できない自治体をさらに補助金づけにし、さらに誘致企業への税制優遇措置を国庫で補填するという枠組みによって、自治体がますます国にしがみつかなければ生きていけない構造にする。600兆円を超える借金を抱え、財政改革地方分権が重要課題のる今、この法案はまったく逆の、補助金バラマキ法案。
7 電源三法交付金と電源地域振興センター
「(財)電源地域振興センター」という特殊法人は、1990年に設立され、立地自治体の交付金事業の立案や実施に深く関わってきた。「振興相談事業」、「調査事業」、「研修事業」、「専門家派遣事業」、「販売促進事業」、原子力立地給付金交付事業」、「企業立地試験事業」、「広報事業」などが事業内容。
この特殊法人が、自治体の間尺に合わない事業計画を立て、みずから呼び込んだ業者に事業を請け負わせ、実際には申請より少ない費用で建設を終了し、支払われた交付金をピンはねしたら、全国的規模では相当の資金がこの特殊法人に還流することになる。原発版KSDである。
● 発覚した一つの事例
柏崎刈羽原発の建つ刈羽村が電源三法交付金事業として建設した生涯学習施設で、さまざまな手抜き工事が発覚した。8000万円で建てたはずの豪華な茶室の畳がスタイロ畳(発泡スチロールみたいなもの)、桧の柱が栂の柱、由緒ある玄武岩がだだの石など、設計とはまったく違うものだった。総工費21億円で沼地を埋め立てて作ったゲートボール場が設計ミスで水浸し。あまりにズサンなため村民に不審に思われ、調査がはじまった。この事業計画全般を取り仕切り、事業構想を示し、基本計画を作り、実施事業者を紹介したのは、「電源地域振興センター」の担当理事で通産省OBである。
8 法案成立の可能性
この法案が採決に持ち込まれれば、国会の議席配分からは成立する可能性が高い。自公保与党三党は、本会議上程ではなく11月14日の衆議院商工委員会での審議入りを計画していたが、それは難しくなった。しかし、まだ予断は許さない。国会会期末が迫っているが、変則的なやり方で強行に成立を図ろうするだろう。今週が山である。
社民党の脱原発政策プログラム
社民党は明確な脱原発政策を掲げる日本でただ一つの政党です。
政策の大枠を昨年決定、それを少しづつ詳細で具体的、実効性あるものにしようと努めています。
以下に示すのは、まずプログラムアクション、そして、少し詳細な政策プログラムです。
社民党・脱原発政策プログラムアクション
2000年5月10日
社会民主党は、昨年、脱原発原子力政策プログラム(要綱)を作成、脱原発への道筋を示した。このプログラムの中から、まず第一に取り組む課題を以下のようにまとめました。
1、 新規の原発は建てさせません。既存原発は建設から30年を限度に段階的に廃止します。
2、 自然エネルギー促進法を成立させ、太陽光発電や風力発電の普及を促進します。
3、 省エネルギーを強化し、電力需要の伸びを極力抑制します。
4、 プルトニウム政策をやめさせます。プルトニウムを生み出す再処理を中止し、原発でのMOX利用を中止させます。
5、 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(高レベル放射性廃棄物処分法)案に反対し、高レベル放射性廃棄物は管理可能な状態で貯蔵します。
6、 原子力安全委員会を廃止し、安全規制を完全な第三者機関に委ねます。
以上
社民党の脱原子力政策プログラム(案)要綱
リニューアル・バージョン・2000.5.5
1、 目的
(1) 日本のエネルギー政策を原子力偏重から自然エネルギー中心に転換し、エネルギー安全保障、雇用拡大、地球温暖化防止に寄与すること。
(2) プルトニウムや高レベル放射性廃棄物など、原子力の危険な遺産の安全な管理。
(3) 安全確保のために有効な原子力安全規制の創設。
2、 概括的な流れ
エネルギー効率の向上と省エネルギー促進によって電力需要の伸びを押さえ、原子力発電の新増設の禁止政策(原子力発電新増設禁止)と太陽光発電や風力発電、バイオマスなどの自然エネルギーの利用促進政策(自然エネルギー促進法)により、自然エネルギーを普及促進させ、将来的には自然エネルギーをエネルギー供給の中心に据える。
3、 第1ステップ:ベース電源を置き換える
原子力発電が電力供給に占める比率は、現在約三分の一である。ところが電力設備の容量で見ると、電力ピーク時でさえ約7000万kw、30%以上の原子力発電以外の設備が余っている。設備容量で見る限り、原子力発電を明日からゼロにすることも不可能ではない。原子力による電力供給の比率が高い理由は、原子力発電をベース電源と位置づけているからである。この役割をまず天然ガス複合発電に置き換え、その上で老朽化した原子炉から運転を中止し、20年以上運転した原発は原則廃炉とする(原子力発電廃止法)。
次に、風力発電とバイオマスの普及促進状況に対応して、風力発電とバイオマスによる発電をベース電源に組み込む。しばらくの期間はこの二つと天然ガス複合発電がベース電源の役割を担い、徐々に天然ガスの比率を減らし、最終的に風力発電とバイオマスをベース電源とする。
4、 第1ステップ:電力・エネルギー需要の抑制
省エネルギー法を強化し、電力需要の伸びを極力抑制する。具体的には、電気機器等の商品のさらなるエネルギー効率向上の要請、電力会社への徹底したDSM実行の要請、住宅政策や都市計画の中で国、地方自治体の省エネルギー努力の義務化などである。冷暖房温度の適正化、コピー機などのOA機器の省エネ化も徹底する。
2010年には総エネルギー需要を10%抑制するという数値目標を設定し、産業界、地方自治体、公共機関などに目標達成を義務づける(省エネルギー法改正)。
◆DSM(需要側管理):電力会社が電力需要を抑制することで設備投資費の増大を押さえるため、需要(消費者)側に対して投資すること。具体的には、家屋の断熱強化、省エネルギー商品開発、ビルの省エネコンサルタントなど、各家庭への太陽光発電設置の促進もこれに入る。
5、 第1ステップ:自然エネルギーの普及促進
自然エネルギー促進法を成立させ、自然エネルギーによる電力買取りを義務づけ、自然エネルギーの普及を後押しする。エネルギー政策基本法の制定により、エネルギー政策立案を通産省の審議会による決定方式から、国会による決定するものに変える。長期エネルギー需給見通しでは2010年に3%としか位置づけられていない自然エネルギーの比率を、国会決議等で2010年に10%以上に設定しなおし、これを政策目標として掲げる。
6、 2010年には原子力発電ゼロ
以上のステップを経て、2010年には以下のようなエネルギー供給に電源構成を変える。
ベース電源:天然ガス複合発電、風力発電、バイオマス発電、水力発電
ミドル電源:燃料電池、石油火力発電
ピーク発電:太陽光発電、自家発電からの買電
こうして2010年には原子力発電はゼロにすることが可能。
7、 高速増殖炉開発、プルトニウム利用の完全中止
ウランは限りある資源。これを有効活用する理由でプルトニウム利用の研究が進められてきたが、研究の要である高速増殖炉開発は「もんじゅ」ナトリウム漏れ火災事故で行き詰まった。欧米各国でも、度重なる事故とコスト暴騰が原因で開発は断念された。日本が固執し続け、仮にうまく行っても2100年にやっと1%程度の電気がまかなえるにすぎない。そのために今後も莫大なエネルギー予算をつぎ込むこむメリットはないので、早期に開発を中止する。
プルトニウム利用を目的に使用済み核燃料の再処理が行なわれ、大量に保有することになったプルトニウムの処理に困って、軽水炉でいわゆるプルサーマル(MOX利用)を行なおうとしている。このような利用方法は安全性の面からも経済性の面からもふさわしくない。MOX輸入や海外での生産を含め、MOX利用を完全に中止する。
8、エネルギーの安全保障を確保
着工から運転開始まで10年から20年を要する原子力発電は、今すぐ着工できても運転開始は2010年以降となる。2010年のエネルギー供給には、原子力発電ではすでに間に合わないことが明らかとなっている。省エネルギーの促進と、短期間で建設可能な自然エネルギーなどに急いで転換することが、2010年のエネルギー危機を回避する近道である。高速増殖炉や原発に依存し続けることは、エネルギー危機に向かって突き進むことに等しい。
9、自然エネルギー促進による雇用の拡大
EUは2010年までに自然エネルギーの比率を域内総エネルギー消費の12%にするという計画である。100万個太陽光発電システム、1000万kw風力発電、1000万kwバイオマスなどの目標を掲げ、10兆円の投資を行なおうとしている。これは100万人の雇用をつくりだすことになる。欧米各国は、自然エネルギーの普及を産業振興と雇用拡大の重要な鍵と考えている。日本は2010年に自然エネルギー3%という低い比率しか掲げていないが、これを10%に引き上げ政策的投資を行なうことでEUと同等の雇用拡大を獲得できる。
10、 日本における温室効果ガス抑制と発展途上国への技術援助
エネルギー需要の抑制と自然エネルギーの普及促進で、2010年頃に温室効果ガスの排出を1990年レベルから5%削減(現時点からは15%削減)を達成する。総エネルギー需要10%抑制と自然エネルギーの比率を10%に高めることで、この目標は十分達成できる。日本で確立された風力発電、太陽光発電、バイオマスなどの技術を、中国をはじめとするアジア各国に積極的に技術移転する。こうして日本は地球規模で温暖化防止に寄与することができると同時に、自然エネルギー産業の大きな市場と更なる雇用を確保することが可能となる。
11、放射性廃棄物の貯蔵管理
原子力発電の中止、廃棄を決定しても、現在までに生み出された高レベル、低レベルの放射性廃棄物は残る。とくに高レベル廃棄物に関しては、地下300mより深いところへの地層処分が法律で決定されようとしているが、この安全性は保証されていない。放射性廃棄物はすべて、人間の手の届くところで貯蔵し、国の責任において管理することとする。取扱い困難な高レベル放射性廃棄物をこれ以上生み出さないため、核燃料再処理は直ちに中止する。
12、原子力安全規制を完全な第三者機関に
原子力安全委員会は所管を総理府本府に移管されたが、基本的な原子力の安全審査制度の枠組みは変更されていない。独自の実験、安全解析能力も調査能力も持たされていない。このような原子力安全委員会は廃止し、安全規制に必要なデータを十分蓄積し、単なる諮問ではない許認可権を有し、事故発生時の指揮権も含め、強い権限を持った、原子力安全規制委員会を新たに創設する。新しい原子力安全規制委員会は環境省に置く。
原子力推進勢力が逆襲の巻き返し
高レベル放射性廃棄物処分法案が4日で衆議院通過
原発から生み出される高レベル放射性廃棄物を地下深く埋め捨てにしようという法案が、衆議院の商工委員会で9日に審議開始で12日に採決された。
安全性の確保についてはまで研究中で、技術基準すらできていないのに。社民党は反対したが、与党だけでなく民主党はわずかの修正で賛成、こんな重大問題法案をほとんど素通りにしてしまった。
衆議院の本会議での採決は5月16日、18日には参議院で審議がはじまる予定だ。もっと、反対の声を!
原発推進法案VS自然エネルギー推進法案
超党派の議員連盟ができ、今国会への上程を目指している自然エネルギー促進法案に対し、自民党の商工族が中心になって原発推進法案を緊急上程しようとしている。
特別会計からだけでなく一般会計からも原発のバラマキをやろうという法案で、中心人物は新潟2区の桜井新・政調副会長。
政調会長の亀井静香(広島6区)が一緒になって、原発推進法にはハンコを押すが、自然エネルギー促進法にはハンコを押さないと凄んでいるとか。
自然エネルギー促進法案はすでに条文までできていて、もういつでも出せるのだが・・・。
自然エネルギー促進議連の勉強会がはじまりました。
自然エネルギー促進議員連盟は1月末で260人を超えました。
与野党対立が深刻な国会情勢の中で、これほど与野党なかむつまじい議連も珍しいのですが、この国会から毎週金曜日早朝に定例勉強会がはじまりました。
第1回目の講師は、自然エネルギー促進法推進ネットワークの飯田哲也さん。大変まとまった良い話だったので、要約を掲載します。
自然エネルギー促進議員連盟第3回勉強会 (2000.1.21) 要約
講師:飯田哲也氏(日本総研、自然エネルギー促進法推進ネットワーク)
エネルギー政策には古い政策と新しい政策がある。第2回は従来型の古い政策の話だったが、第3回は新しい政策の話。新しい政策のポイントは(1)高い政策目標、(2)実効的な政策ツール、(3)電力自由化と市場メカニズムの活用、(4)雇用と経済効果の4点である。
(1) 高い政策目標
日本は2010年に自然エネルギー3%という低い目標しか掲げていないが、英国はブレア政権による2010年までに10%宣言、アメリカは2010年までにバイオマス9%、2020年までに風力で5%という目標、デンマークでは現在すでに風力が10%で、2003年には20%、2030年には79%という目標、EUは2010年までに12%へという風に、欧米各国は軒並み高い目標を掲げている。
(2) 実効的な政策ツール
補助金やタックスクレジットや研究開発費などは古い政策措置の方法。新しい政策は市場活性化のインセンティブの活用。1999年のIEA(国際エネルギー機関)報告はインセンティブとして電力買取り価格が一番優れているとした。ドイツは自然エネルギーからの電力買取り法で、昨年1年間に風力発電を100万kw増やした。デンマークでは1992年に買い取りを義務づけ、風力発電の規模は180万kwに達した。日本では北海道が頑張っているが、それでも6万kwに過ぎない。このほか、買電へのプレミアムをつけるアーヘンモデルや、供給の一定枠を自然エネルギーに割り当てるなどの方法がある。最新のものでは、政治目標と政策措置を一致させる方法としてグリーン証書がある。
(3) 自由化と市場メカニズム
この代表的なものはグリーン電力制度。自然エネルギーに一定価格を上乗せすることによって市場競争力を高め、市場の自主的選択を促すという方法。全体的に価格を上乗せするグリーンファンド型と電源を選択して上乗せするグリーンパワー型があるが、いずれにせよグリーンであることを認証する第3者機関の存在と公平性の担保が重要になる。日本の電力自由化には、自然エネルギーの促進のメニューが入っておらず、世界でもまれな自由化である。ただ単にコストを下げることが自由化の目的ではないということが理解されていない。
(4) 雇用と経済効果
EUでは風力、バイオマスなどの自然エネルギーに、2010年までの総額で740億ユーロ(元レートで約8兆円)の投資を行なう。これは自然エネルギーの普及によって雇用が生まれているという実績に基づくもので、この投資によって50万人から90万人の雇用が生み出されると考えられている。サウジアラビア(石油)に100億円出すなら、国内に投資した方がよほど経済効果があるという考えである。
●最後に日本の課題
日本には政策がない。新エネルギーなどというあいまいな方言が使われており、小水力が自然エネルギーからはじかれたり、ゴミ発電とバイオマスが混同されたりという混乱がある。バイオマスはアメリカでは2倍増、EUでは3倍増計画なのに、日本には計画がほとんどない。政策決定プロセスに市民の関与がほとんどなく、省庁の政策統合性もない。たとえば資源エネルギー庁と農水省の間にバイオマスが抜け落ち、電力の部分自由化で化石燃料課徴金などが提案されても省庁間のあつれきで切り捨てられる。縦割り行政の弊害を取り除き、2010年に10%というような高い政策目標を掲げるべきである。電力買取りルールを急いで作ること、そのための財政措置の議論を早くすることだ。送電システムなども欧米に比べ遅れており、新しい技術、新しい経済の創造をしていくべきだ。世論調査では9割の人は自然エネルギーの普及を望んでおり、8割の人は10%高い電気を買っても良いとも答えている。これほど意識の高い人々に、政治が多様な選択肢を与えてこなかったことが問題である。
● これを踏まえて、政治に求められること
1、 高い政策目標への決断:これは政治家の決断が必要。たとえば政治家が2010年に10%を目指すという目標をうたう。それに従って、そのあとを埋めるのが官僚の仕事。
2、 省庁の縦割りを超える:省庁を共働させるような統合的な機能が必要。
3、 イニシアティブへのインフラを整備:北海道で進められているグリーンファンドなどを、もっと普及させる。
社民党の脱原子力政策プログラム(案)要綱
1、目的
日本のエネルギー政策を原子力偏重から自然エネルギー中心に転換し、新しい経済や社会のあり方を選択する。これによって、エネルギー安全保障を高め、新たな産業振興と雇用の拡大をはかると同時に、地球温暖化防止など環境保護に寄与する。子々孫々の代まで人類を傷つける放射性廃棄物のさらなる蓄積を避け、人類社会の維持をはかる。
2、概括的な流れ
電力需要の伸びを押さえ、当面は天然ガス火力を中心に据え、原子力発電の比率を徐々に減らし、太陽光発電や風力発電、バイオマスなどの自然エネルギーを普及・促進させ、将来的にはエネルギー供給の中心に据える。
3、ベース電源の置き換え
現在、原子力発電が電力供給に占める比率は約3分の1。ところが実際には、電力ピーク時でさえ約7000万kw、30%以上の原子力発電以外の設備が余剰になっており、設備能力だけで言えば原子力発電を明日からゼロにすることも可能。このような状況を引き起こしているのは、原子力発電をベース電源と位置づけているからで、この役割をまず天然ガス複合発電に置き換える。その上で、老朽化した原子炉を運転中止し、20年以上運転した原発は原則として廃炉とする。
第2段階として、風力発電の普及促進状況に対応して、風力発電をベース電源に組み込む。しばらくの期間は風力発電と天然ガス発電がベース電源の役割を担い、徐々に天然ガス発電の比率を減らし、最終的に風力発電を単独でベース電源とする。
4、電力・エネルギー需要の抑制
省エネルギー法を強化し、電力需要の伸びを極力抑制する。具体的には、電気機器のエネルギー効率のさらなる向上、電力会社の徹底したDSM(ディマンド・サイド・マネジメント:需要面の方策)実行を要請、住宅政策や都市計画の中で省エネルギー努力の義務化など。冷暖房温度の適正化も厳しく指導し、エコアイスや温水器等のエネルギー効率の悪い夜間電力消費拡大は規制する。
2010年をにらんで、電力への依存率をあげずに総エネルギー需要を10%程度抑制するという目標を設定し、産業界、地方自治体、公共機関などに目標達成を義務づける。
5、自然エネルギーの普及促進
自然エネルギー促進法を成立させ、自然エネルギーによる電力買取りを義務づけ、自然エネルギーの普及を後押しする。エネルギー政策基本法の制定により、エネルギー政策立案を通産省の審議会による決定方式から、国会による決定するものに変える。通産省の審議会により、現在は2010年に3%としか位置づけられていない自然エネルギーの比率を10%以上に設定しなおし、これを政策目標にする。
6、2010年エネルギーのベストミックス
ベース電源: 天然ガス複合発電、風力発電、水力発電
ミドル電源: 燃料電池、石油火力発電
ピーク発電: 太陽光発電によるピーク平準化と石油火力発電
2010年には原子力発電はゼロにすることが可能である。
7、エネルギー安全保障
ウランは限りある資源。これを有効活用するためにプルトニウム利用の研究が進められてきたが、この中心であった高速増殖炉開発は「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故で行き詰まっている。他の先進各国でも、度重なる事故とコストが原因で断念された。高速増殖炉計画が仮にうまく行っても2100年にやっと1%程度の電気がまかなえるだけである。非現実的で極端な高コストとなるプルトニウム利用への固執はエネルギー安全保障上もマイナスであり、直ちに放棄すべきである。
通常、着工から運転開始まで10年から20年を要する軽水炉は、今すぐ着工できても運転開始は2010年以降。立地の困難さを考えるならば、原子力に頼り続けることは、2010年にエネルギー危機を作り出すことになりかねない。
8、自然エネルギー促進による雇用の拡
EUは2010年までに自然エネルギーの比率を域内総エネルギー消費の12%にするという計画である。100万個太陽光発電システム、1000万kw風力発電、1000万kwバイオマスなどの目標を掲げ、10兆円の投資を行なおうとしている。これは100万人の雇用をつくりだすと試算されているものだ。欧米各国は、自然エネルギーの普及を産業振興と雇用拡大の重要な鍵と考えている。
日本は2010年に新エネルギー3%という低い比率しか掲げていないが、これを10%に引き上げ政策的投資を行なうことでEUと同等の雇用拡大を獲得できると考えられる。
9、日本における温室効果ガス抑制と発展途上国への技術援助
エネルギー需要の抑制と自然エネルギーの普及・促進で、2010年頃に温室効果ガスの排出を1990年レベルから6%削減(現時点からは15%削減)を達成する。総エネルギー需要10%抑制と自然エネルギーの比率を10%に高めることで、この目標は十分達成できる。
日本で確立された風力発電、太陽光発電、バイオマスなどの技術を、中国をはじめとするアジア各国に積極的に技術移転する。こうして日本は地球規模で温暖化防止に寄与することができると同時に、自然エネルギー産業の大きな市場とさらなる雇用を確保することが可能となる。 ◆
【解説】
社民党は昨年4月に、脱原子力・脱プルトニウムをはっきりと目指した「21世紀のエネルギー政策」を取りまとめました。これは全212ページの冊子として発行されています。ここで取りまとめた政策をより具体的に実現していくために、昨年秋、党として「脱原子力政策プログラム」を作成し提案するための「脱原子力政策プログラム起案委員会」が発足しました。委員長は浜田健一政策審議会長です。福島瑞穂もメンバーです。原子力資料情報室などNGOの協力も得て、12月末にこの要綱案がまとまり、起草委員会で確認されたところです。これから要綱案をさらに肉付けし、具体的な実現方法や法案などの提案にして行きたいと思っています。ご意見、提案などお寄せください。
●社民党は東海村JCOの臨界事故をうけ、翌日10月1日直ちに対策本部を設置しました。10月5日には原子力資料情報室と科学技術庁からヒアリング、10月7日には現地東海村調査団を派遣しました。東海村ではJCOや現地対策本部を訪れたほか、地元住民の人たちから不安や怒りなどを直接お聞きしました。専門家の協力も得、小林圭二さん(京大原子炉実験所)はJCO施設内の土壌サンプリングも行ないました。これらの分析結果は、もうすぐ発表できると思います。
東海村JCO臨界事故と原子力利用の終焉
(秘書の竹村が社会新報の記事として書いたものです。社会新報の了解を得てそのまま掲載します。)
東海村の核燃料加工工場JCOで引き起こされた日本初の臨界事故は、当初考えられたよりもはるかにすさまじい事故であったことが日時の経過とともに明らかになりつつある。チェルノブイリのような原発事故とは種類の違う広範囲な一般公衆の中性子線被爆事故で、ひとことで言えば東海村に中性子爆弾が落とされたようなものだ。科学技術庁は、事故発生から1週間以上、ほとんどの放射線計測データ、サンプリング分析データを公表しなかったが、公表すればこの事実が明らかになり、事故後20時間近く周辺住民を留め置いて中性子線を浴びせ続けたことが発覚することを恐れたと想像できる。
中性子線の計測は事故発生からおよそ10時間後の20時頃まで開始されなかった。それまでの事故現場周辺の中性子線データは存在していない。現場から約2キロ離れた原子力研究所での計測データが事故後1週間たって公表されたが、これだけ離れていると事故現場の中性子線量を推定するには誤差が大きすぎる。それでも、周辺住民のホールボディカウンター検査や、建物や土壌の成分分析をすぐに実施することで、事故時の中性子線量を推定することは可能であった。社民党はこれを要求し続けたが、科学技術庁はこれを無視した。まるで、被爆の痕跡を消してしまおうと考えているかのようだった。
事故時に多数の住民の被爆を放置し、事故後その被爆の痕跡を消し去ろうとしたとすれば、科学技術庁の責任は重大である。事故時にはまず一般公衆の被爆を最小限に押さえ、受けてしまった被爆に対してはすぐに医学的処置をするのが大原則のはず。日本の原子力行政が、よほどモラルを逸脱しているのか、さもなければ、臨界事故に対する対応能力の知識、技術上の著しい欠如であり、いずれにせよ日本の原子力行政には原子力を取り扱う能力はないといわざるを得ない。
臨界事故を想定しなかった安全審査の欠陥、裏マニュアルがつくられ長期間運転されてもわからなかった監督能力など、緊急対応能力の欠如だけでなく、日本の原子力行政はすでに平素から何もできていなかったことを、この事故はあますところなく証明した。JCOという会社は、核燃料サイクルの流れの中では小さな末端のようなところである。思えば、高速増殖炉「もんじゅ」のナトリウム漏れ火災事故は、安全審査対象にもなっていない二次系配管の温度計で起こったし、東海村再処理工場の爆発事故は廃棄物処理建屋で起こった。いずれも設備の末端である。もし、大きなところに意識が集中して、小さなところはおろそかということなら、原子力のような巨大技術は動かすべきではない。
末端とはいえ、この事故は高速増殖炉実験炉「常陽」の燃料製造過程で発生した。ステンレスのバケツばかりが問題視されているが、そもそもこの燃料製造過程の正しい「認可手順」はどうだったのか、事故から2週間たった現在も明らかにされていない。「常陽」の燃料を硝酸溶液で核燃料サイクル機構に引き渡すことになっていると説明されているが、液体で商品を引き渡すような契約は前代未聞である。また、硝酸溶液が商品であるのに、最終的にアンモニア処理して酸化物を取り出すはずの沈殿槽が使われているのも不思議。いったい、この転換試験棟では何が行なわれていたのか。日本の核燃料サイクルの胡散臭さと危なっかしさが、感じられる。
JCOは住友金属鉱山の子会社だが、ここ数年受注量は減るばかりでリストラを重ねていた。そんな会社が、なぜ年に数回、一説では3年ぶりという受注しかないような設備をつくり、その作業員を確保しなければならなかったのか。採算性を重視して、さっさと切り捨てていれば、今回の事故は起きなかった。大胆にいえば、秘密の核兵器製造工場で、住友金属が内緒でイラクかイスラエルと取引でもしていたのではないかという小説もどきの仮説すら立てられる。この施設の契約相手である旧動燃の核燃料サイクル機構も、もちろん加担していたことになる。こんな疑問を払拭するには、科学技術庁や核燃料サイクル機構、JCOや住友金属鉱山が、ありとあらゆる資料、情報を公開することである。
現在の原子力業界は、次々閉山に追い込まれていった炭坑事業の末期に似ている。士気も下がり、事故が頻発、誰もが責任回避をしようとする。そしてますます、闇の部分が多くなる。ここで、技術的問題も採算性もすべて公開し、明らかに行き詰まっている原子力からの決別を確認することが、第2、第3のJCO事故を引き起こさないための近道である。
追加:10月13日には、事故後も施設の排気口から放射性のよう素が漏れ続けていたことが報道された。少なくとも11日まで盛れ続けており、視察した小渕首相も社民党調査団もみんな被爆させられた。もはや、科学技術庁に事故対策を任せていること自体危険きわまりないのではないだろうか。
<10月15日決算委員会質疑の要約>
1、 石川県珠洲原発の用地取得問題
Q:珠洲原発の用地をゼネコンの関連会社、下請など16社を使って複雑な取引を行ない、関西電力がエンドユーザーであることを隠していたと報道されてるが、事実か。
A:(通産省より)新聞報道は承知。通産省としては、すでに国税当局が告発し、裁判中なので予断を持って答えることはできない。裁判で明らかになるものと思う。
2、 臨界管理の問題
Q:沈殿槽は形状管理をしていたのか
A:形状管理はしていない。システム全体では質量管理を行ない、ところどころで形状管理を導入していた。質量的には2倍入れても臨界しないようになっていたが、信じられないような無茶苦茶な取扱いのために臨界事故になった。
Q:臨界管理の考え方を誤解している。臨界管理とは素人が質量を間違えても臨界にならないようにしておくこと。そういう管理ができていなかったのだから、臨界を招いた安全審査指針を見直すべき。
A:現実を重く受けとめ、先生が思っているような方法で検討が進むと思う。ただし、安全指針は原子力安全委員会がつくるもの。このような議論を踏まえ、安全委員会が見直すであろう。
3、 安全審査の問題
Q:安全審査は臨界事故を想定していなかった。ウラン濃縮工場の裁判などでは、以前から臨界事故の危険性が指摘されていて、今回はその指摘が現実になったということ。臨界事故を想定しない安全審査のやり方を見直すべき。
A:時代、状況が変れば安全審査も見直されるものと思う。
4、 住民避難ではなく屋内待避にした問題
Q:なぜ国は住民をすぐに避難させなかったか。
A:東海村が先に避難勧告を出していたので、それを妥当とした。
Q:11時30分には0.84ミリシーベルトのガンマー線が計測されており、その情報で中性子線が出ていることは専門家であればすぐにわかったはず。中性子線は家の中にいても浴びてしまう。屋内待避では、被爆し続けるということで住民をバカにしているのでは。
A:中性子線は距離が遠のけば急激に落ちる。350m以遠はそんなに強くないと判断した。念のために屋内待避としたものだ。
5、 住民への避難マニュアル
Q:アメリカのコネチカット州のマニュアルは全住民に配られていて、事故のときには15分以内にサイレンが鳴るとか、どのように避難するかとか、身体の不自由な人は事前に登録しておけば救助が派遣されるとか、事細かに書かれている。日本では、科学技術庁がつくっている内部マニュアルと通り一遍な地域防災計画のマニュアルだけで、住民にむけマニュアルはない。住民への避難勧告もすぐ出せない。コネチカット州のような住民むけマニュアルが必要なのでは。
A:検討の対象としたい。
6、 住民は中性子線を被爆
Q:住民は19時間も中性子線にさらされ続けた。この人たちは被爆したのではないか。
A:被爆は7名。
Q:被爆の程度を調べるにはホールボディカウンターによる検査が必要。事故後、すぐにホールボディ検査を住民に対ししなかったのはなぜか。
A:確かにホールボディカウンター検査が有効で、直ちに行なうべきだった。しかし、現場が混乱して対応できなかった。可能な限り対応したが、設備等が足りなかった。住民の健康診断、健康相談を行なっており、被爆のデータは血液検査で対応している。
Q:原研、核燃料開発機構、日本原電などにホールボディカウンターは十分にあり、1日100人を検査することが可能だった。設備が足りなかったわけではない。中性子線の被爆データはすぐにホールボディカウンター検査をするのがいちばん。なぜ、それができなかったのか。
A:おっしゃる通り、ホールボディカウンターがいちばん。だが今からでは遅い。施設周辺のいろいろな地点の人のデータは取れているので、それから他の人のデータを推測することはできる。住民の健康の問題がいちばんというのは、その通りなので、今後誠心誠意努力するとともに、教訓としたい。
以上
竹村まとめ
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