盗聴法・組織的犯罪対策法
盗聴法、廃止に向けた動き
2001年通常国会に盗聴法廃止法案を提出しました。
2001年4月27日、参議院に、5月8日に衆議院に、民主、共産、社民3党と無所属の有志議員で提出しました。廃止法案を成立させるべくがんばります。盗聴法が廃案にあるまでしぶとく出しつづけます。時々、新宿などの大きな駅前で、市民の皆さんと一緒に、盗聴法廃止キャラバンをやっています。こちらもよろしく!
盗聴法廃止法案の内容は、以下をご参照ください。
刑事訴訟法の一部を改正する等の法律(案)
(盗聴法廃止法案のことです)
(刑事訴訟法の一部改正)
第一条 刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の一部を次のように改正する。
第二百二十二条の二を削る。
(犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の廃止)
第二条 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(平成十一年法律第百三十七号)は、廃止する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日の翌日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律の施行前に傍受令状(第二条の規定による廃止前の犯罪捜査のための通信傍受に関する法律(以下「旧通信傍受法」という。)第五条第一項の規定により発付される傍受令状をいう。)による傍受の処分の着手があった事件については、なお従前の例による。ただし、裁判官は、この法律の施行後において、当該事件について新たに同項の規定による傍受令状を発し、又はこの法律の施行前に同項の規定により発付された傍受令状に係る傍受ができる期間を延長することはできない。
2 この法律の施行前及び前項の規定によりなお従前の例によることとされる場合におけるこの法律の施行後の電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者の取扱中に係る通信(同法第九十条第二項に規定する通信を含む。)及び有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)第九条に規定する有線電気通信の秘密に関しては、旧通信傍受法第三十条の規定は、この法律の施行後も、なおその効力を有する。
(国会への報告等)
第三条 政府は、この法律の施行の日から一年以内に、旧通信傍受法第四条第一項の規定による傍受令状の請求があった事件につき、旧通信傍受法第二十九条に掲げる事項を国会に報告するとともに、公表するものとする。ただし、罪名については、捜査に支障を生ずるおそれがあるときは、その支障がなくなった後においてこれらの措置を執るものとする。
(その他の経過措置の最高裁判所規則への委任)
第四条 前二条に定めるもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、最高裁判所規則で定める。
理 由
国民の基本的人権の保護の必要性にかんがみ、通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分の根拠を定める規定を削るとともに、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律を廃止する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
盗聴法廃止法案これまでの動き
2000年の通常国会と臨時国会で、それぞれ衆参両院で社民、民主、共産と無所属議員の議員立法を提出しましたが、2回とも廃案になりました。
『盗聴法 これから』
1.悪い法律は廃止する
廃止のための署名運動を市民団体と一緒にはじめる予定です。
2.盗聴法と予算
◎警察庁の予算 1999年9月にヒアリング
・2000年度(来年度)予算の概要
平成12年度警察庁予算概算要求の概要 (*注1)
(単位:百万円)
|---------------------------------------------------------------------------------------------|
|区分 |平成11年度|平成12年度|比較 |備考 |
| |予算額 |要求額 |増△減額 | |
| | (A)| (B)| (B)-(A) | |
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|第一 テロ等重大特異事案対策の| 22,953 | 56,504 | 33,551 |1 九州・沖縄サミット警備経費
| 強化 | | | | ・各国首脳の警護警備経費等|
| | | | |2 沿岸監視等重大テロ対策 |
| | | | | ・テロ等重大事案の防止と |
| | | | | 捜査・初動措置体制の強化|
| | | | | |
|第二 国境を越える犯罪に対応す| 6,702 | 9,380 | 2,678 |1 国際ハイテク犯罪対策 |
| る警察活動の強化 | | | | ・24時間コンタクトポイント機能の強化
| | | | |2 銃器・薬物対策 |
| | | | | ・車両、各種資機材の整備 |
| | | | |3 来日外国人組織犯罪対策 |
| | | | | ・通訳体制の強化 |
| | | | |4 児童買春・児童ポルノの取|
| | | | | 締りの強化 |
| | | | | ・車両、各種資機材の整備 |
| | | | | |
|第三 治安情勢の変化に対応する| 16,507 | 18,579 | 2,072 |◆ 社会情勢を反映した新たな|
| 警察活動の強化 | | | | 犯罪等に的確に対応する体制|
| | | | | の強化 |
| | | | |1 環境犯罪対策 |
| | | | |2 被害者対策 |
| | | | |3 科学技術等の活用 |
| | | | | |
| 《| 16,507 | 26,745 | 10,238 |含む経済新生特別枠 |
| | | | | 8,166百万円》 |
| | | | | |
|第四 安全な交通環境実現のため| 22,493 | 20,647 |△ 1,846 |◆ 交通事故抑止の抜本的強化|
| の交通安全対策の強化 | | | | ・車種判別装置付自動速度 |
| | | | | 違反取締装置等 |
| | | | |◆ 特定交通安全施設等整備事|
| | | | | 業の推進 |
| | | | | ・第5年度分 |
| | | | | |
| 《| 22,493 | 28,454 | 5,961 |含む経済新生特別枠 |
| | | | | 7,807百万円》 |
| | | | | |
|------------------------------------------------------------------------------------------------|
| 重点事項計(*注2) | 68,655 | 105,110 | 36,455 | 対前年度比 53.1%増 |
| 《含む特別枠 | 68,655 | 121,083 | 52,428 | 対前年度比 76.4%増》 |
|------------------------------------------------------------------------------------------------|
| 総額 | 258,654 | 299,668 | 41,014 | 対前年度比 15.9%増 |
| 《含む特別枠 | 258,654 | 315,641 | 56,987 | 対前年度比 22.0%増》 |
|------------------------------------------------------------------------------------------------|
注1:
1999年9月。
注2:
*盗聴法関係予算は非重点項目なので、この表には入らない。予算は4億6千2百万円で、62台の‘記録装置‘を導入予定。おそらく装置は、DVD-RAMになる。一台あたり、開発費込みで約745万円。現在DVD-RAMの規格容量は2.6ギガバイトであるが、21世紀初頭をめどに約5.8倍の15ギガバイトの容量を持つ装置が開発されているので、そのくらいの容量になるのではないかとのこと。一台あたり何時間記録できるかはわからないとのこと。また、記録装置は一般競争入札に付す事としているとのこと。記録装置は盗聴先進国の米国等から輸入した方が安くつくのではないかと質問したところ、立会人を置くなどの要件は世界に例のないものであり、既存の装置でその趣旨にのっとった適当な傍受の実施を実現するものは存在しないので無理であるとのこと。記録装置をDVD-RAMにするかどうかは、まだ検討中であるが、音質や性能(不必要部分を消去するといった作業)の面で、今のところテープレコーダーよりも最適と考えているとのこと。
・2000年度警察庁予算概算要求の非重点項目の概要
2000年度予算概算要求額 2996億6千8百万円
内 重点項目額 1051億1千万円
非重点項目額 1945億5千8百万円
主な内訳
・人件費 1106億6千4百万円
・物件費 838億9千4百万円
経常事務経費(警察庁、皇宮、科研等) 570億4千1百万円
警察施設 183億9千9百万円
警察庁、警察大学校移転等経費 67億4千5百万円
千葉県警成田空港警備隊 11億3千3百万円
衆院選取締経費 5億7千6百万円
・2000年度警察庁予算概算要求のうちハイテク機器分
不正アクセス対策用機器
(不正アクセスをした人を割り出す機械) 4億7千7百万円
現場行動確認用監視装置
(主に薬物犯罪用。車の上に載せる望遠・暗視カメラ4台の要求額。
現在まで12台ある) 9億6千万円
指紋自動識別システムの高度化
(ライフスキャナーで採ったものを中央の警察庁指紋センター
に送って識別させる装置の追加導入) 91億9千1百万円
自動車ナンバー自動読み取りシステム
(Nシステム。20台要求予定) 12億8千2百万円
組織犯罪捜査用記録装置
(盗聴法予算) 4億6千2百万円
車種判別装置付自動速度違反取締装置
(大型車80キロ、普通車100キロが制限速度。大型車の速度違反を
判別するためのシステム) 4億2千1百万円
*()内は、事務所による追記
◎法務省の予算 1999年10月21日に法務省刑事局よりヒアリング
3.盗聴法と技術
警察庁は、東京都中野区の警察施設の一部(警察学校の隣)に「サイバーポリス」というハイテク犯罪用の施設を1999年4月に建設しました。
この「サイバーポリス」に関して、10月19日に、警察庁技術対策課よりヒアリングを受けました。以下がその資料です。
警察庁技術対策課の業務等について
1.技術対策課の役割及び業務
サイバーポリスの技術的中核として高度の技術力を備えたナショナルセンターとしての役割(本年4月1日に情報通信局内に設置)
○ハイテク犯罪に関する警察各部門への技術的支援
- 現場臨場による都道府県警察のハイテク犯罪捜査等に関する支援
- 電磁的記録の解析
- 技術的捜査手法の開発
- ハイテク犯罪に係る都道府県警察の活動に対する情報提供等
○国際的に発生するハイテク犯罪に関して警察庁が行う国際捜査協力等に対する技術的支援
- 24時間コンタクトポイント
- 外国警察行政機関との情報交換
○ハイテク犯罪に関する技術的調査、分析
- ハイテク犯罪に用いられた技術の調査、分析
- コンピュータ及び情報通信ネットワークに関する技術的調査等
2.技術対策課の体制
○課長以下20名・・・管理、企画、指導部門 捜査支援部門(技術センター)
(*注1)
3.技術センターの概要
(*注2)
○所在地 東京都中野区中野
○敷地面積 550平方メートル
○床面積 2000平方メートル
○地上六階
(*事務所による追記)
*注1 20人のうち、10人は霞ヶ関に、10人が中野にいるとのこと。
*注2 98年の補正予算で作った。早稲田通り沿い。建物代で10億円、機器類の予算総額が8億円、合計18億円。ハイテク犯罪対策で作られた。
公安やNシステムとは全く関係ないとのこと。
各都道府県警にあるサイバーパトロールで解決できなかったものが集められる形になっている。
六階建ての明細は、1階が教養訓練室、2階が事務室、3階が第一解析室(不正アクセスの手口解明、セキュリティホールの研究、ハッカーサイトの検証、ワークステーション)、4階が第2解析室(高速演算装置で押収データのうちパスワードロックがかかっているものを解読する)、5階が第3解析室(X線非破壊装置、ICカード・磁気カード解析装置)、6階が機械室(衛星を使った送受信のシステム)とのこと。
鳴り物入りで始まったサイバーポリスの情報公開を、今後も求めていきましょう。
これから随時入れていきます。
情報等あればどしどしお寄せ下さいませ。
組織犯罪対策法・盗聴法が成立、本当に悔しい!
1999年8月13日
通常国会の会期末ぎりぎりの8月12日、参議院本会議で20時間を超える攻防のあと、盗聴法が採決され成立しました。8月9日の法務委員会では、与党側が強行採決を企てようとして、まともな採決すらできませんでした。閉会前日の8月12日の本会議では、趣旨説明の時間制限や採決時間も制限して議員の投票権を奪うなど、通常とは異なる運営が行われる中での本会議採決でした。
国会の内外でいろんな人と運動をし、6月に組織的犯罪対策法・盗聴法関連三法案が参議院に送られてきてからの2ヶ月間、この法案をとことん廃案に追い込むための作業を法務委員会で行ってきました。最後の最後まで、力をふりしぼって頑張ったつもりです。それでも、残念ながらあともう一歩が及びませんでした。
今年の初めには盗聴法の存在すら知らない人が圧倒的に多かったことからすれば、連日盗聴法のニュースが流れ、世論調査でも国民の過半数が盗聴法反対というほどになったことは、私たちの必死の頑張りの成果として誇りたいと思います。
それにしても、とんでもない国会になっています。国民総背番号制も無茶苦茶なやり方で12月の本会議で成立してしまいました。国会の中に、市民派の感覚で動く人が少なすぎます。リベラル派・市民派の国会議員による政権を作って、組織的犯罪対策法・盗聴法などを、改めて立法によって廃止したいものだと思っています。
危険な組織的犯罪対策法案
問題点のさらなる議論を
1998年3月の通常国会に、いわゆる「組織的犯罪対策法案」が提出された。盗聴制度の詳細を定める「犯罪捜査のための通信傍受法案」(以下盗聴法案とする)、「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制に関する法律案(刑の重罰化とマネー・ロンダリング規制の飛躍的強化)、「刑事訴訟法の一部改正案」(証人保護)を内容とする組織的犯罪対策3法案である。
この3法案は、組織的犯罪対策法案と呼ばれているが、法文上、組織的犯罪を対象としているのは、「組織的犯罪に対する重罰化」だけであり、盗聴捜査の合法化、マネーロンダリング規制の強化、証人保護のための弁護活動制限などは、組織的犯罪だけが対象とされているわけではない。
・特定されぬ強制処分範囲
まず第一に、盗聴制度の問題点であるが、盗聴制度は憲法に違反すると考える。
まず、盗聴では対象が特定されない。憲法35条は令状が正当な理由に基づいて発せられるべきこと、場所、物の明示が必要であることを規定している。強制処分の範囲を事前に確定するためである。
しかし、盗聴捜査は、個人の内心の秘密を直接侵害するものであるにもかかわらず、すでに存在している犯罪の証拠物件を対象とするのではなく、これから話される個人の会話を対象とするため、強制処分の範囲が全く特定されないのである。底引き網のように、電気掃除機のように、すべてをグゥーと集めて吸い取ってしまう。特定などされない。その人が通話したもの、ファクス、Eメール、さまざまなものは、全部吸いとられてしまう。
・予備的・別件盗聴を容認
次に、将来発生するかもしれない犯罪の捜査が認められることである。法案は将来発生するかもしれないだけで、まだ発生すらしていない犯罪についての盗聴を認めている。将来の犯罪のための捜査という概念を認めると、犯罪の捜査(司法警察)と犯罪の予防(行政警察)の境界が限りなくあいまいになってしまう。「予防逮捕」と聞くとみんなギョッとするだろう。強制処分である盗聴は「予防捜査」である。犯罪捜査が全く変わってしまう。
さらに、法案は、予備的盗聴、別件盗聴を認めている。
盗聴は、NTTのなかに警察がはいって行なうとされている。その地域の電話を技術的には、全部警察は聞けるのである。NTTの職員が、要所要所に立ち会うと政府は答えている。しかし、NTTの職員は、建物や部屋の管理のために、盗聴がされている部屋を訪れることはあっても常に、365日、24時間通信をともに聞くことは全くしないのである。 そもそもNTTの職員が警察官を「監視」などできない。刑事訴訟法は、捜査の場合、立会人を要求しているが、そのような存在でも全くない。
かつて検証令状をとって、通信傍受が行なわれたケースが何件かあるが、裁判所は関係がない会話の場合、切断権があるなど、さまざまな要件のもとで、初めて合法とした。だが、この法案の場合、切断権の規定など一切ないのである。裁判所が要求した要件すら、全く満たしていないのである。
・米でのエスカレートぶり
先日、アメリカ自由人権協会副理事長で弁護士のバリー・スタインハードさんをお呼びして、市民集会、国会議員との勉強会、弁護士との勉強会などで話をしてもらった。彼は、市民集会で、「盗聴法−アメリカで何がおきているか」のタイトルで講演し、アメリカの深刻な盗聴社会の実態を説明し、「日本もその轍(てつ)を踏まないように」と訴えた。
米政府は「盗聴はテロとたたかうため」と説明してきたが、テロに類する犯罪に対し盗聴がされたことはほとんどない。近年、盗聴が急増しているが、政府の報告でも83%は犯罪と関係ない市民の会話の盗聴であった。またコスト的にも割高である。一件の盗聴に6万ドルがかかっている。
盗聴は、政治的動機で使われたり、市民運動の監視に使われたりしている。1960年代初頭、ロバート・ケネディ司法長官は、ルーサー・キング牧師の家や事務所を盗聴することを許可した。ニクソン大統領は、政敵の盗聴を命じ、これがウォーターゲートにつながった。70年代はベトナム反戦メンバーが盗聴された。
日本の令状の却下率は、0.1%以下であるが、アメリカでも却下率は、大変低い。FBIが新しい要求を出している。ニューヨークなどの密集地において、電話回線の1%を同時に盗聴できるように電話会社の能力を向上させるよう要求を出している。また、クリントン政権は、「ロービング・ワイヤタッピング」という特定の人物の特定の電話器だけでなく、使うと思われるあらゆる電話器を盗聴できる法律を準備しており、これが通れば、公衆電話器なども盗聴対象となり、犯罪に関係のない盗聴が急激に増えることになる。
アメリカの例で分かることは、盗聴がどんどんエスカレートしていくことである。
憲法や刑事訴訟法に反する組織的犯罪三法案の問題点をもっともっと議論し反対していくことが必要ではないだろうか。
●この原稿は「法律新聞」に掲載されたものに一部変更を加えたものです。
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