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外国人の収容に関する質問主意書
(2000年3月7日提出)

外国人の収容に関し、以下のとおり質問する。

一、入国管理局の収容施設の収容者に関する質問に対する答弁書(一九九九年八月一〇日付け)について

1 一〇歳以上二〇歳未満の被収容者に関し、収容期間六月未満の者が三二名、収容期間六月以上三年未満の者が一名との回答を得た。これらの者の中には小学校及び中学校の義務教育課程並びに高等学校教育課程にある者が含まれると考えられるが、これらの者の年齢の内訳、収容の必要性及び合理性を明らかにされたい。

2 六〇歳以上の被収容者に関し、収容期間六月未満の者が二名との回答を得た。これら二名の者の年齢、収容の必要性及び合理性を明らかにされたい。

3 未成年者及び高齢者の収容に関し、入国管理局では処遇面でどのような配慮をしているのかを明らかにされたい。

4 退去強制が執行できない理由について

(1) 「帰国用旅券がない等送還の条件が整っていない者」があわせて一、一六八名とあるが、この「等」には具体的にいかなる場合があるのかその内容を明らかにされたい。

 次に、それらの場合について、送還の条件を整えるためにいかなる措置が採られているのか具体的に明らかにされたい。

(2) 「国籍国と送還について協議中の者」があわせて七名とあるが、このケースは国籍国が送還に関し反対の意思を表明しているケースではないか。もしそうであれば、国籍国がなぜ送還に反対の意思を表明しているのか。

 そのようなケースでなければ、ここにいう「国籍国と送還について協議中の者」とはどのような状況に置かれた者なのかを明らかにされたい。

(3) 「国際機関と送還について協議中の者」があわせて四名とあるが、これらの者は難民を主張しているケースではないか。もしそうでなければ、どのようなケースなのか明らかにされたい。

二、子どもの収容について

 新聞報道等によると、日本の学校に通う外国人の児童生徒が、突然入国管理局に収容され(なかには長期間に及ぶケースもある)、強制送還されるという事態が発生している。

 かかる事態は、明らかに子どもの福祉に反する取扱いであるばかりでなく、日本が批准するいわゆる「子どもの権利条約」の各規定に違反するものである。

 すなわち、この条約は、第二条一項に、「締約国は、その管轄内にある子ども一人一人に対して、子どもまたはその親もしくは法定保護者の人種、(中略)国民的、民族的もしくは社会的出身、(中略)出生又はその他の地位にかかわらず、いかなる種類の差別もなしに、この条約に掲げる権利を尊重しかつ確保する」と規定し、国籍や在留資格の有無に関係なく本条約上の子どもの権利の尊重・確保を宣言している。

 また、第三条一項に、「子どもにかかわるすべての活動において、その活動が公的もしくは私的な社会福祉機関、裁判所、行政機関または立法機関によってなされたかどうかにかかわらず、子どもの最善の利益が第一次的に考慮される」と規定し、行政機関等は子どもの最善の利益を第一次的に考慮すべきことを明らかにしている。

 さらに、第三十七条bに、「・・・子どもの逮捕、抑留又は拘禁は、法律に従うものとし、最後の手段として、かつもっとも短い適当な期間でのみ用いられる」と規定し、子どもの自由の拘束は「最後の手段」で、かつ「もっとも短い期間」である場合のみ許容されることを明らかにし、同条cに「自由を奪われたすべての子どもは、人道的におよび人間の固有の尊厳を尊重して取り扱われ、かつその年齢に基づくニーズを考慮した方法で取り扱われる。特に、自由を奪われたすべての子どもは、子どもの最善の利益に従えば成人から分離すべきでないと判断される場合を除き、成人から分離されるとし、かつ特別の事情のある場合を除き、通信および面会によって家族との接触を保つ権利を有する」と規定し、人道的な、かつその尊厳を尊重した身柄拘束時の取扱いを求め、かつ成人(家族を除く)からの原則分離を求めている。

 以上の子どもの権利条約の諸規定からすると、現在入国管理局が行っている子どもの収容は、それが、「最後の手段」ではないこと、長期間に及んでいること、成人との収容が行われ、かつ家族から分離されていること、処遇環境が劣悪であり子どもの尊厳を尊重しているとは到底言えないことなどから、「子どもの最善の利益が第一次的に考慮」されているとは言えず、その権利を侵害していると言わなければならない。

 かかる観点から、入国管理局に対し、子どもの収容を直ちに中止し、今後新たに子どもを収容しないよう求めるものである。

 そこで、現在の子どもの収容の実態を明らかにするために、以下の諸点について回答を求める。

  1 一九九九年の一年間における子ども(二〇歳未満)の収容の有無

  2 1について、その人数、国籍、年齢構成、男女の別及び現時点までの収容の期間

  3 2のそれぞれの事案について、収容の具体的理由と必要性(「最後の手段性」)

  4 家族との分離収容の有無、分離しているとすれば家族との接触機会の確保の有無、及び態様

  5 他の成人被収容者との分離収容の有無

  6 子ども、特に乳幼児に対する処遇上の配慮の有無及びその内容

  7 収容時に子どもの教育機関等への連絡を行っているか、その有無

  右質問する。

外国人の収容に関する質問に対する答弁書(2000年4月14日)

一の1について

 お尋ねの収容期間が六月未満の者三十二人及び六月以上三年未満の者一人について、その年齢(当時)の内訳は、十九歳の者十一人、十八歳の者九人、十七歳の者五人、十六歳の者六人、十五歳の者一人及び十四歳の者一人である。

 退去強制手続は身柄を収容して進めることとされているところ、これは二十歳未満の者であっても例外ではなく、被退去強制者を直ちに本邦外に送還することができないときは、その送還を確実に実施するために身柄を確保するとともに、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)において定められた在留資格制度から生ずる被退去強制者の本邦における在留活動を禁止する目的から収容することとなり、お尋ねの三十三人についても、このような目的から収容したものである。

 なお、これらの者の中には、収容時において小学校、中学校及び高等学校に在籍していた者は含まれていない。



一の2について

 お尋ねの収容期間が六月未満の者二人について、その年齢(当時)の内訳は、六十九歳の者一人及び六十歳の者一人である。

 退去強制手続は身柄を収容して進めることとされているところ、これは六十歳以上の者であっても例外ではなく、被退去強制者を直ちに本邦外に送還することができないときは、その送還を確実に実施するために身柄を確保するとともに、入管法において定められた在留資格制度から生ずる被退去強制者の本邦における在留活動を禁止する目的から収容することとなり、お尋ねの二人についても、このような目的から収容したものである。



一の3について

 お尋ねの二十歳未満の者及び六十歳以上の者を含め、被収容者については、必要に応じて医師の診療を受けさせるなど健康状態に十分留意しているほか、特に二十歳未満の者については、その親と同性の場合は同室に収容し、その親と性が異なる場合であっても、保護又は看護のため必要があると認めるときは同室に収容するなど、人権に配慮した処遇に努めている。



一の4の(1)について

 「帰国用旅券がない」場合以外の「送還の条件が整っていない」場合としては、例えば、被退去強制者が、自らの負担により、自ら本邦を退去しようとしているが、そのための費用が準備できていない場合がある。

 帰国用旅券がない場合については、我が国にある当該被退去強制者の国籍国の大使館又は領事館等に対して、早期に旅券を発給するよう依頼している。

自費出国のための費用が準備できていない場合については、当該被退去強制者に対して、早期に費用を準備するよう促しているが、自費出国による退去が不可能と判断された場合には、国費により送還することとなる。



一の4の(2)について

 お尋ねの「国籍国と送還について協議中の者」七人については、いずれも国籍国が送還に反対の意思を表明しているが、その具体的理由を明らかにすることについては、当該国籍国との信頼関係が損なわれるおそれ及び当該国籍国との交渉上不利益を被るおそれがあるため、答弁を差し控えさせていただきたい。



一の4の(3)について

 お尋ねの「国際機関と送還について協議中の者」四人については、いずれも自らが難民である旨主張している。



二の1について

 平成十一年の一年間において二十歳未満の者を新たに収容した事実はある。



二の2について

 平成十一年の一年間において新たに収容した二十歳未満の者の人数は五百五十八人であり、その国籍別人数、年齢別人数、男女別人数及び平成十二年三月十四日までの収容期間別人数は、別表一から別表四までのとおりである。



二の3について

 退去強制手続は身柄を収容して進めることとされているところ、これは二十歳未満の者であっても例外ではなく、収容令書による収容は、退去強制手続において、退去強制事由に該当すると思料される外国人の出頭を確保して容疑事実の有無についての審査を円滑に行い、最終的に退去強制の処分が確定したときにその者の送還を確実に実施するため、その身柄を確保することを目的とするものであり、退去強制令書による収容は、直ちに本邦外に送還することができないときに、被退去強制者の送還を確実に実施するために身柄を確保するとともに、入管法において定められた在留資格制度から生ずる被退去強制者の本邦における在留活動を禁止することを目的とするものであり、お尋ねの五百五十八人についても、このような目的から収容したものであるが、個々の事例ごとに収容の具体的理由と必要性を明らかにすることについては、特定の個人が識別され、個人の権利利益が害されるおそれ等があるため、答弁を差し控えさせていただきたい。

 なお、収容令書又は退去強制令書の執行に際しては、年齢、健康状態等にかんがみ、人道的配慮を要する場合には、仮放免を許可するなど、人権保障の観点にも十分配慮した運用を行っている。

 また、児童の権利に関する条約(平成六年条約第二号。以下「条約」という。)第三十七条(b)に規定する「逮捕、抑留又は拘禁」とは、刑罰法規に違反したことを理由として自由をはく奪することを指していると解され、入国者収容所等に収容することはこれには含まれないと解される。



二の4について

 被収容者処遇規則(昭和五十六年法務省令第五十九号)第五条の規定により、男子と女子とは、分離して収容しなければならないとされており、原則として、家族であっても男子と女子とは分離して収容することとなるが、同条ただし書の規定により、収容施設の長が被収容者の保護又は看護のため必要があると認めるときは、この限りでないとされており、保護又は看護を必要とする二十歳未満の者については、その親と性が異なっても同室に収容することとしている。

 家族を分離して収容した場合には、例えば日中は異性の親と同室させるなどしている。

 なお、条約第三十七条(c)に規定する「自由を奪われたすべての児童」とは、刑罰法規に違反したことを理由として自由をはく奪された児童を指していると解され、入国者収容所等に収容された児童はこれには含まれないと解される。



二の5について

 収容施設の管理運営上可能な範囲内で、親と同室に収容した二十歳未満の者については、他の成人被収容者とは別の居室に収容するよう心掛けているほか、それ以外の二十歳未満の者については、親以外の成人被収容者との分離収容は行っていないものの、他の成人被収容者からの悪影響ができる限り及ばないよう居室の割り振り等に配慮している。

 なお、条約第三十七条(c)に規定する「自由を奪われたすべての児童」には、入国者収容所等に収容された児童は含まれないと解されることについては、二の4についてで述べたとおりである。



二の6について

 二十歳未満の者、特に乳幼児に対する処遇については、常に体調の変化等に留意し、必要に応じて医師の診療を受けさせるなど健康状態に十分留意しているほか、入浴の機会を増やしたり、紙おむつを支給するなど衛生保持に配慮し、また、給与する糧食についてもミルクや乳幼児用の糧食を特別に用意するなど、種々の配慮を行っている。



二の7について

 小学校、中学校及び高等学校に在籍している者を収容した場合には、教育機関等への連絡を義務付ける規定はないものの、本人又は本人の保護者から連絡しないよう要望がある場合を除き、在籍中の学校へ連絡するよう配慮している。
別表一(国籍別人数)
国籍 収容人数
中国 285人
フィリピン 84人
韓国 69人
タイ 36人
コロンビア 17人
ペルー 11人
パキスタン 9人
バングラデシュ 7人
インド 6人
ルーマニア 6人
スリ・ランカ 5人
トルコ 4人
マレイシア 4人
インドネシア 4人
ブラジル 3人
ボリヴィア 2人
ヴィエトナム 1人
イラン 1人
イスラエル 1人
ロシア 1人
キルギス 1人
ナイジェリア 1人
合計 558人

別表二(年齢別数)
年齢別 収容人数
5歳未満 104人
5歳以上10才未満 40人
10歳以上15歳未満 35人
15歳以上 379人
合計 558人

別表三(男女別人数)
性別 収容人数
300人
258人
合計 558人

別表四(収容期間別人数)
収容期間別 収容人数
1日以上10日未満 277人
10日以上50日未満 162人
50日以上100日未満 77人
100日以上150日未満 31人
150日以上200日未満 11人
合計 558人



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