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◆1 雇用そして経済政策
今、失業率は5.4%。失業者数は353万人。年間で自殺をする人は、3万人を超えている。失業者を増やす政策を取り続けて、景気が良くなるとは思えない。
需要と供給ということで言えば、今の日本の社会では、供給のほうに問題があるのではなく、需要のほうに問題がある。きちんとした需要・受け皿を準備しない限り、景気は良くならない。
通常国会では、解雇のルールが議論される予定である。今まで判例上整理解雇には4つの要件が必要だとされてきた。解雇は働くものにとって死刑判決のような面もあることから、せめて4つの要件が必要とされてきたのである。労働判例で積み上げられてきたことが、ポイと葬り去られるのではないかという強い危惧を持っている。首切り法案が出ることは、絶対に止めさせたい。
今、ホームレスが増え、刑務所は満杯である。
初犯で、窃盗・恐喝・強盗をする人が増加している。失業者の増加と刑務所の収容率の増加は、関連している。社会は、失業の増加に対して大きなコストを払っている労働者の数をできるだけ増やして、税金を払ってもらい、保険料を払ってもらい、社会を支えてもらうほうが良いはずなのに、雇用保険を受給する人を増やすような政策を取ってどうするのだ。
(1)雇用の確保(2)再就職支援(3)雇用の拡大(雇用の創出)の3つが、雇用にとっても、経済政策としても重要である。特に、雇用の拡大ということで言えば、国会の中で自然エネルギー促進法を成立させることに苦労しているが、こうした法律を早く作って、デンマークなどのように環境ビジネスを育成し、何十万人という雇用創出をしていくことが必要である。小泉内閣の規制改革のみで、景気が良くなるわけではないのだ。
a.雇用における全ステージを対象として安易な解雇や不当な労働条件の引き下げを防止し、b.時間外・休日労働・サービス残業などへの実効ある規制措置を入れ、c.同一価値労働・同一価値賃金の実現をし、d.家族的責任と仕事の両立を確保する、そんな法律の制定を目指している。
◆2 あれも家族、これも家族
『あれも家族、これも家族−個を大事にする社会へ』(岩波書店)の本を書いたのは、個人と家族と社会についての考え方をいろんな事例を通して示して、「ひとりでも生きられる、でも一緒に生きられるといいね」という社会、生き直しができる社会を作りたいと思ったからだ。
目次は、結婚のゆくえ、結婚届を出さない共同生活、子どもをめぐって、これからの家族、世帯単位から個人単位へ、高齢者会を生きる、これからの死に方、となっている。
結婚の中も外も、家族の中も外も変わってきている。私は、家族は、暖かく私を支えてくれているものと思うけれど、他方、家族の中での児童虐待や夫から妻への暴力など、今まであまり問題にされて来なかったことも重要な人権問題として提起されるようになってきた。今の日本の社会は、女の人が子どもを抱えて食べさせていけるだけの賃金を得ることがまだまだ難しい面があることを、離婚事件を担当すると痛感する。女性が結婚の外で生きることがまだ困難であれば、妻は、夫に暴力をふるわれようと家の中で我慢するだろう。
子どもは、実の親と暮らすことが一番良い場合は多いだろうけれど、虐待を受けている場合などは、家族の外で、別の形で子どもが(別の家族の中などで)生きられることも、社会で作っていく必要がある。
女性や子どもが(男性にとってもそうかもしれないけれど)、結婚の中でも外でも、家族の中でも外でも生きられるようにする必要があると思う。
ある生き方をすると、極端に不利になるというより、シングルでも、パートナーと離別・死別をしても、共同生活でも、3世代同居でも、いろんな形で生きられる社会、個人を単位とした社会、多様化した家族の中でいろんな生き方ができる社会を作るべく、みんなと楽しくがんばりたい。
◆3 有事法制
自衛隊の海外派兵に反対する大きな集会で、公共事業の問題に取り組む天野礼子さんが素晴らしいスピーチをした。「公共事業の問題に取り組む私たちは、戦争に反対します。なぜなら、戦争は、最大の公共事業であり、最低の公共事業だからです」と。
女性差別、そして、様々な人権問題や環境問題に取り組む人たちは、労働組合などとともに、戦争反対の声を挙げてくれた。戦争は最大の女性差別であり、最大の人権侵害であり、最大の環境破壊であり、天野さんが言うように、最低、最大の公共事業である。
外に向かって無理な戦争をしていくときは、内側で反対が起きないように、締めていく。
ヒトラーは、ユダヤ人などを大量虐殺したし、ハンディキャップのある人やゲイの人たち、その他の少数民族を弾圧したのは有名な話だ。第2次世界大戦中、アメリカは、日系アメリカ人を、スパイを働く危険性があるとして、強制収容所に収容した。後から、あれは、「戦時ヒステリー」だと反省が行われたが、紙切れ1枚で、職と住まいを奪われ、強制収容所に入れられることを当時止めることはできなかった。
今回のテロをきっかけに、アメリカとイギリスでテロリストと疑わしい人物は、裁判所の令状なくして、身柄を拘束できるという法律が成立した。テロリストと疑わしき人物って何だろう。1980年代、ネルソン・マンデラさんは、サッチャーさんから、「テロリスト」と呼ばれていた。彼は、南アフリカ共和国の初代大統領になった。誰がテロリストと判断するのか、そして、また、人種差別などの排外主義が起きる可能性も高い。
ヒトラーも法律をどんどん作っていって法律を空洞化し、最後に権利を奪っていった。「有事」であれば、人の基本的人権が吹っ飛ぶような法律は、「百害あって一利なし」である。誰のための法律かと思う。有事法制を国会に提出させるべきではないし、ましてや成立させるべきではない。
◆4 エネルギー
国のエネルギー政策をどうやっていくのかというのは、役所にまかせっきりにしないで、みんなで大いに議論すべきことである。
今、国会で、エネルギーについての法律案で、議論になっているのは、(1)エネルギー基本法案と、(2)自然エネルギー促進法案と、(3)役所が作っているグリーン証書についての法案の3つである。
つまり、(1)自民党の議員立法であるエネルギー基本法案と、(2)市民と議員が作っている自然エネルギーについての法案と、(3)役所と議員が作っている自然エネルギーについての法案、といったらいいだろうか。
エネルギー基本法は、原子力発電押しつけ法、あるいは、位置づけ法である。「原子力発電は設置から運転から後始末も含めてすごくコストがかかって効率にあわないと、電力会社の腰がひけないよう、国が責任を持つからやってほしい」という法案であると思う。原子力発電の既得権の温存のための法律と言ってもいいのではないか。
この法案は、国・地方公共団体そして事業者の「責務」を定める。電力会社が経済的理由で原子力発電所の立地を中止したり、都道府県知事がプルサーマルに反対したりすると、責務に反することになりかねない。これには電力会社の内部からさえ国家統制的だとの批判があがっている。原子力発電にとにかくもっとお金をつぎ込めるようにしようとするものだが、国も電力会社も自治体も国民も「原子力発電」の不良債権に、にっちもさっちもいかなくなるだろう。これまた、大規模な金食い虫の公共事業であるからである。
自然エネルギー促進法案とグリーン証書法案との違いは何だろうか。地方分権なのか中央集権なのか、ゴミ発電を促進するのか、循環型エネルギーにするのかということなどが違いである。雇用の創出、地方分権、環境という点から、自然エネルギー促進法を成立させたい。
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