■憲法調査会
国会で最も要注意なのは憲法調査会ではないだろうか。なんと言っても憲法は最高法規である。憲法を変えれば、法律も規則も条例も全部影響を受ける。なんせ国会は、日本国憲法なんか大嫌いという人が数多く牛耳っているのでとにかく油断もスキもありゃしない。
衆議院は50人、参議院は45人で構成されており、私は参議院のメンバーである。衆議院は、憲法制定過程についての審議から始まった。「押し付け」憲法という主張は、むしろ審議のなかで粉砕されたのではないだろうか。
これに対して、参議院の審議というか調査は、パフォーマンス型に思える。2回フリートークを行い、大学生を20人参考人として呼んで質疑応答を行った。次に参考人を呼び、5月2日は、GHQで憲法草案作りにかかわったベアテ・シロタ・ゴードンさんとリチャード・プールさんを呼んで意見を聞いた。2人は当時最高の憲法を作ろうと情熱を込めて憲法草案作りをしたこと、日本の学者や各政党・団体の憲法草案を数多く参考にしたことを述べ、これまた「押し付け」憲法論は、完全に粉砕されたと思う。次にまたフリートークを行い、5分間ずつ意見を述べた。その後参考人を呼んだ。暉峻淑子(てるおか・いつこ)さんは、湾岸戦争のときの問題、女性や子どもなどが多く犠牲になったこと、戦争の現実について語ってくれた。5月31日には、読売新聞社長の渡辺恒雄さん、評論家の佐高信さん、ジャーナリストの野中ともよさんが呼ばれる予定だったが、不信任決議案が出たので流れた。なお、参議院の憲法調査会のメンバーで、ベアテ・シロタ・ゴードンさんたちを主人公にして作られた演劇、「真珠の首飾り」(ジェームズ三木さん脚本)を見に行った。憲法調査会では、海外視察として、イタリア・ドイツ・イギリスに視察に行く予定である。何を視察してくるのか要注意である。いろんなことをやっているけれど、何かバラバラでじっくり調査をするという感じにはなっていない。
ところで、私は、論憲、創憲なんてウソっぱちだと思っている。環境基本法に「環境権」を入れることに抵抗し、情報公開法のなかに「知る権利」を入れることに絶対同意をしなかったのは、政府与党である。環境権も知る権利もプライバシー権も今までその気になればいくらでも法律に入れることができたのである。にもかかわらず絶対に入れなかったのに、環境権や知る権利が憲法にないので、憲法改正すべきであるとはおためごかしもいい加減にして欲しい。今からでも法律に入れればいい。
国会での議論ではっきりしているのは憲法9条がターゲットであるということである。そしてもう1つは、基本的人権などを、「公共の福祉」の概念を拡大解釈してもっと変えて制限していこうという動きである。
9条のことで言えば、「集団的自衛権」の国会での議論は、ひどくリアリティのないものである。自分が海外派兵をされて傷つくとか、自分の知り合いが負傷をすると国会議員は思っていない。「机上の空間」で、バーチャルリアリティのなかで戦争が語られている。
憲法調査会でやるべきことは、憲法を生かすための調査である。社会のなかの差別ひとつひとつをみても憲法違反のことは一杯ある。何が課題なのかきちんと明らかにする必要がある。9条について言えばどうやって平和外交、軍縮外交を実現していくかの調査が必要である。
今度の衆議院議員選挙で21世紀の憲法のあり方が決まる。4年後では遅いのである。
■児童虐待防止法・ストーカー規制法
5月に、児童虐待防止法とストーカー規制法が超党派で成立した。私は、「今年実現すること」を1月1日に20項目立てた。そのなかに児童虐待防止法とストーカー規制法の制定が入っていた。この2つは、通常国会で成立した。児童虐待防止法には、「何人も、児童に対し、虐待をしてはならない」という条文が入った。当たり前のことだけれども「児童虐待は人権侵害である」と宣言し、制度を強化し、啓発をしていく必要がある。様々な職種の人たち、学校の先生、当事者である子どもに対する啓発も必要である。
ストーカー規制法ができたことで、救済される人が1人でも多くなるようにと心から願う。社民党の案は、困っている人が裁判所に保護命令を出してもらい(例えば、○○に○○メートル以内に接近するな)、反すれば現行犯逮捕もできるというものであった。だが成立した法律は、公安委員会の禁止命令によることになった。司法的チェックがなされないことは心配である。また、警察などの意識の変革が必要である。
■家庭内暴力防止法
参議院の共生社会に関する調査会のもとに超党派のプロジェクトチームが設けられ、私もその一員になった。家庭内暴力禁止法(ドメスティック・バイオレンス禁止法)が来年の通常国会で提出される可能性が極めて高くなった。
ストーカー規制法が、バタバタとできてしまったという感じが強いので(すみません)、家庭内暴力禁止法は、今まで社民党で法案を作ってきているし、いろんなヒアリングもやってきたので、時間をかけて、みんなで議論をしていいものを作りたいと思っている。
ところで、既にストーカー規制法が成立している。ドメスティック・バイオレンス禁止法もストーカー規制法と同じように公安委員会の禁止命令で解決するというようにはしたくない。個人的には、アメリカやイギリスの制度のような保護命令を盛り込みたいのだが。婦人保護事業との整合性をどうするのかという問題はあるが、ドメスティック・バイオレンス防止センターは各地に必要ではないだろうか。
■脱原発プログラムアクション
国会のなかで、東海村のJCOの事故について質問をしたり、高レベル放射性廃棄物処分法案の質疑を行ったり、超党派で自然エネルギー(太陽光・風力・バイオマスなど)促進法案を作成し、質問をしてきた。何とか日本の原子力政策を変えていきたいものである。
社民党は、去年、脱原発原子力政策プログラムを作成。それをわかりやすく今年、脱原発政策プログラムアクションを作った。
(1)新規の原発は建てさせません。既存原発は建設から30年を限度に段階的に廃止します。
(2)自然エネルギー促進法を成立させ、太陽光発電や風力発電の普及を促進します。
(3)省エネルギーを強化し、電力需要の伸びを極力抑制します。
(4)プルトニウム政策をやめさせます。プルトニウムを生み出す再処理を中止し、原発でのMOX利用を中止させます。
(5)高レベル放射性廃棄物は管理可能な状態で貯蔵します。
(6)原子力安全委員会を廃止し、安全規制を完全な第三者機関に委ねます。
資料の欲しい人はどうぞ。
■人種差別禁止法
人権啓発・教育基本法の制定をめざしている。そして、もう1つめざしているのが、人種差別禁止法の制定である。
アナ・ボルツさんというブラジル人の女性は、宝石店に入ったところ「外国人はお断り」と拒否された。彼女は提訴し、慰謝料請求が認められた。彼女を含めたいろんな人に「人種差別禁止法を作って欲しい」と言われている。
石原慎太郎さんの「三国人」発言のように差別と排外主義が大手を振って肩で風切って歩いている時代である。人種差別撤廃条約は批准されたが、具体的な法律はないので、制度も意識もあまり変わっていないという面がある。
イギリス、フランス、カナダ、スウェーデン、オーストラリアなどは法律を持っているし、最近スウェーデンは企業内の人種差別撤廃について強化する法律を作った。
私たちも法案づくりを始めました。
■子育て支援策、自立支援策
少子化社会対策基本法という議員立法が国会に出ていたが廃案になった。国民の責務という条項があり、「生命の尊厳」「不妊治療」が強調されている。少子化社会対策というより、子育て支援法、もっと言えば女性への自立支援法ができないかと思う。
ノルウエーの女性議長が来日をされ、いろいろ話ができるチャンスがあった。「子育て支援策、男女ともに仕事も家庭も大事にできるための政策を、社会民主主義政党こそもっともっとやって欲しい」とうんと励まされた。
女性への自立支援も日本ではとっても弱い。
(1)パート保護法の制定(同一価値労働、同一賃金など)
(2)女性の年金権の確立・世帯単位を個人単位へ
(3)男女両方への子育て支援策
(4)女性に対する暴力への取り組み
(5)女性の健康基本法
―などが必要だろう。既に取り組んでいるものもあるが、もっとネジ巻いてがんばるぞ!
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