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2008年

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参議院 予算委員会公聴会 2008年3月25日

◆平成十九年度予算案・公聴会



       ◆公聴会・午前◆
       ◆公聴会・午後◆


 


◆公聴会・午前◆



○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。今日は本当にありがとうございます。
 まず、外為特会、外国為替特別会計について河村参考人にお聞きをいたします。
 外為特会は、日本は非常に巨額、ありますし、外為特会はどうあるべきか。
 社民党自身は、今財政が非常に逼迫しており、財政再建の観点から、できるだけ一般財源化にするなり、せめて剰余金二・三兆円を入れるべき。先ほど日本の財政の未来に対する危機を語られましたけれども、外為特会はどうあるべきかという点についての御見解を教えてください。

○公述人(河村小百合君) これほどの規模に膨らんでいてリスクが極めて大きいということは先ほど申し上げたとおりなんですけれども、今、会計制度の問題といいますか、それに助けられているところがあるかと思いますが、日米金利差だけで稼げて、名目的なお金の流れで見れば一般会計に、何でも、何か相続税収に匹敵するような規模なんだそうですが、これがなければ予算が組めないぐらいの歳入を我が国の一般会計にもたらしているということが今事実だというふうに思います。
 でも、だからといってこれをそのまま放置していいのかというと、私は必ずしもそうは思いませんで、黙ってやっていて、過去三十年間、日米金利、アメリカの金利がずっと上だったからこれからもそうだろうというようなことを当てにしてやるのはちょっと危険ではないかと。やはり当然ながらリスク管理は考えるべきであって、過去ひっくり返ったことがないといっても、私調べましたら、七二年には逆転していることがございます。比較する対象の金利がありまして、アメリカの市場金利と日本の規制金利を過去比べておりますので、市場金利同士で比べたらどうなったかというと、もう少し逆転している回数が多いかもしれません。
 そういうことを考えると、目先の繰入れのことだけにとらわれないで、やはり将来的な在り方というものを検討していったらいいんではないか、このバランスシートの大きな規模をこのまま維持するのはやはりちょっと危険ではないかと思いますので。だからといって、じゃ、今すぐにばっと縮小できるかというと、そんな簡単な問題ではないことは重々承知しておりますが、是非ともやはり前向きな、建設的な御検討をお願いできればと思っております。

○福島みずほ君 ディスクロージャーの議論がありましたが、日本政府は米国債をどれぐらい持っているかを明らかにしていません。
 河村参考人はどれぐらいだと試算をしていらっしゃいますでしょうか。

○公述人(河村小百合君) ちょっとこれは試算ができるような筋のものでもありませんで、できるとすれば、過去の外国為替市場介入のオペレーション、ある程度さかのぼった年限のところまではディスクローズされておりますので、実際にはドル買いに介入やっていらっしゃることが非常に多いということがありますので、ドル資産が相当な割合を占めているであろうということは推察はできますけれども、具体的な数字までは私ども一般の国民の立場からは全然分からないものでございます。

○福島みずほ君 アメリカはホームページで公表しているので、大体これぐらいだろうという日本のエコノミストは試算をしておりますが、日本は、私が言うまでもなく、世界の四分の一の米国債を保有をしております、民間と国合わせて。
 サブプライムローンもそうですが、EUが相対的に地位が向上したりする中で、日本の外為特会はもう少しリスク分散をするべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか、河村参考人。──公述人です、済みません。

○公述人(河村小百合君) おっしゃるとおり、よその国の例を見ましても、確かにユーロの地位が上がってまいりました。単一通貨の導入というのは、当初特にアングロサクソン系の国からあんなことができるのかという感じで非常に疑問視されておりましたが、EUはやってのけたわけでございますね。当然ながら、金融市場の競争力も非常に強化されているというふうに私自身も感じておりますし、そういったところの裏返しとして、各国の外貨準備の運用資産の構成を見ても、ユーロの比率がじわじわと高まってきていることは間違いない事実であろうかというふうに思います。ですから、同様の方向での検討を日本としてもある程度は考えてもいいのではないかなということは思います。

○福島みずほ君 両公述人は地方の活性化ということについて非常に考えていらっしゃると思いますが、まず河村公述人に、論文の中で地方自治体の起債マネジメントの方向性という論文を大変面白く読まさせていただきました。
 雪降る夕張に行ったときに、やはり起債をどんどん自治体がやってきて、三位一体ならぬばらばら改悪で蛇口が閉められると、どこの自治体も今、全国本当に疲弊をしていてお金がないという状況があるわけですが、地方財政の再建化、さっき地方分権のことをおっしゃいましたが、地方財政の再建とそれから起債マネジメントはどうあるべきかということについて教えてください。

○公述人(河村小百合君) ここでは、じゃ、自治体の起債についての国と地方の税源の負担の問題について意見を言わせていただければというふうに思います。
 夕張の例を今、福島先生はおっしゃられたんですけれども、やはりあのような小規模な自治体の方が実は起債の規模が都市部に比べて非常に大きい、住民一人当たりの起債額とかを見ると大きくなっているという事実があります。それはなぜかというと、その償還財源をどれだけ自前で賄っているかというと、交付税措置が付いているような関係もあって、必ずしも自主財源で賄っているわけではないと。国からもらえる交付税などを当てにしてたくさん起債ができるようなそういう仕組みが過去ありまして、今もなお続いております。
 私は、これから真の地域経済の活性化などを考える上では、やはり地域格差、経済力の格差が残る以上はある程度の財政調整的な措置は必要だろうと思いますが、本来的な金融取引であります起債の世界に財政調整を持ち込むのはやはりちょっとおかしいのではないかと。抜本的な国と地方の在り方の見直しの中で、是非ともその起債のところで、何かはっきりしない形で地方の起債の面倒を国が見る、これはある意味では意図的にだれが借金を背負っているのかという認識をあいまいに、お互いにあえてあいまいにしてきたようなところがあるんではないのかなというふうに思っておりまして、これはこれほど大きな債務残高を国が抱えた中で決していいことではないと。地方は交付税が来るから自分の借金じゃないと思っており、国はそんなことはない、これは一応名目上、地方の借金だというふうに言って、そんなことは決してよくないわけで、やはりそういった辺りはきちんと切り分けて、起債の世界は起債の世界、そしてあと財政調整が何か残るのであれば、ちょっといろいろ道州制導入すればどうのという議論も当然あってまた別になってくると思いますけれども、やはりそういったところはきちんと切り離して、財政規律が働く形での制度設計を是非とも御検討いただければというふうに思っております。

○福島みずほ君 赤字国債というか国の借金の点について御両人も先ほど少しおっしゃいましたが、赤字国債の残高がもう莫大であると。
 日本の、ちょっと話が大きくなって済みませんが、財政再建はどうあるべきかということについて、山崎公述人、河村公述人、お願いします。

○公述人(山崎養世君) 財政再建を例えば過去果たしたアメリカやイギリスの例を見ましても、必ず二つのプロセスをたどっていると思います。
 最初から緊縮をしたのでは先ほどの実は地方財政と同じでございまして、疲弊している経済主体に更にお金を供給を絞れば、本当にこれはつぶれてしまいますのでそれはできない。そうすると、やはり経済成長を生むしかないわけですね。アメリカの場合はそれを減税を行って、最初は財政赤字が大きくなったけれども後でこれを回収すると。ただ、レーガノミックスでやったことは、金融緩和、そして通信とそして交通の規制緩和をやって航空自由化をやって全国どこにでも住める国にしたんですね。この観点が日本は抜けております。金融自由化やった、通信の自由化もかなりやった、しかし交通自由化をやっていないんですね。だから全国に住める国になっていない。だから、道州制もこのままでは永遠に不可能です。東京にしか経済基盤がない、大企業の四分の三が東京にある、これどんな制度を継ぎはぎしても私はこれは不可能であるというふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、ですから経済成長をやはり生まなきゃいけない。ある程度生み、かつ地方の場合であれば収支の均衡をできるだけの自立性を持たせることがもう一つ必要ですけれども、それができた上で財政均衡法をどこかの段階で入れるんでしょうが、当面はまだ不可能ではないでしょうか。

○公述人(河村小百合君) 二つの観点から意見を言わせていただければというふうに思います。
 一つは、財政再建の在り方なんですが、私も民間シンクタンクにおりますので、国と地方の財政収支のシミュレーションなど簡単なものですがいろいろやってみたりしますけれども、それをやって当然ながら分かりますことは、今やはり非常に低い金利水準にこの国が支えられているということで、金利水準の前提がちょっと狂ってくると本当に大変なことになってまいります。ですから、やはり今の段階で本当に抜本的な改革も含めてやらなければいけないということが大事ではないのかなと思っております。
 もう一つは、増税というオプションは非常に政治的には出しにくいオプションであることは重々承知しておりますが、そのような十年先、二十年先を見据えたようなシミュレーションをいたしますと、例えば、割と比較的近い未来の時点で一定程度消費税を上げるとかいったことをすると、あとの形が、当然ながらそのような税収の基盤がその時点で大きく上がりますので全然違ってまいります。ですから、そういった意味で、この債務残高の現実から目をそらすことなく、どういうふうにすればこの国の財政を持続可能な形にしていけるのかということを、より現実的な視点で国民にも是非語りかけていただいて意思決定をしていただければというふうに思っております。
 もう一つは、抜本的な財政再建を図っていくためには、別の観点ですが、先ほども申し上げましたが、この国の在り方、形を、国と地方の関係、抜本的にやはり見直してやっていくことがなければなかなか達成は難しいんではないのかなというふうに思っております。
 以上です。

○福島みずほ君 前鳥取知事でいらした片山さんが、道路特定財源というふうに特定財源と縛らずに、医療に使うのか、雇用に使うのか、道路に使うのか、道路を走るバスの補助に使うのか、地方自身が選択できるようにすべきではないか、そのためにとにかく地方分権をやるべきだというのは私たちのあるべき姿をやはり示しているのではないか。
 道路が必要だと思う自治体は道路をそれは本当に造るわけですし、医療がやっぱりここは大事だと思う自治体はそこにお金を振り向けるでしょうし、もし、もしというか、河村公述人が地方分権やいろんな点についてかなり語ってはくだすったんですが、先ほど財源の問題、財政の分担の問題、国と地方の関係についておっしゃったんですが、地方の疲弊が地方に行くと本当に心にしみるので、その点についてのアドバイスをお願いします。

○公述人(河村小百合君) 今、福島先生おっしゃられたとおりに、やはり自立のための緊張を持って各地方が自分たちの地域で必要なものは何かについて優先順位をそれぞれ付けていくような意思決定の枠組みが是非ともこれから財政再建を達成していく上では必要ではないのかなというふうに思っております。
 でも、地方分権をどのような形で進めるにしても、ある程度成長力を持っている地域とそうでない地域の差はやはりどうしても残ってしまうと思いますので、しかるべき形で財政調整の仕組みを残すことは必要になってくるであろうと。しかしながら、でもその財政調整の仕組みが今のような形で何かするとちょっとひょっとしたら財政規律の緩みを生んでしまうような、そういった形のものにならないようにやはり制度設計の上では十分に工夫して制度をつくっていくことが必要ではないのかなというふうに考えております。

○福島みずほ君 高速道路無料化の点についての山崎公述人の御意見、非常に論文も含めて面白くというか、非常に参考にさせていただきます。
 もう一つ、論文の中に郵政民営化のことがありますので、郵政民営化した後の今の現状と郵政民営化についての御意見を教えてください。

○公述人(山崎養世君) 私、九九年に小泉当時の議員が「郵政民営化」という本を書かれたときには非常にこれは感銘を受けまして、つまり、財政投融資システムで、郵便局が問題なんじゃなくて、このシステム全体を、言わばその主役であるのは大蔵省であると、そこでの財政システムの問題だというのがいつの間にか郵便局が悪いということになったわけですね。郵便局というのは国にお金を預けた預金者なんですよ。そして、大蔵省がお金を特殊法人に貸した。貸し手と借り手の責任を問わずに預金した人に責任を押し付けたということが私、郵政民営化の一つ非常に大きなゆがみであったと。
 じゃ、郵便局の経営という形で、特に郵貯の金融機関としての経営を見たときは、実は民営化されたにもかかわらずほとんど問題は解決しておりません。というのは、やはりまだ百兆円以上の定額貯金が残っております。これは、あしたにでも引き出しできる預金でございます。つまり、これは負債でいえば日にちが一日しかない負債。持っているのは、一番多いのは十年国債。国債の金利が、これはどこかで日本の国債が大暴落すること、どこかで参ります、これは五年、十年以内に。二%一日で暴落をした途端に郵便貯金は、これは郵貯銀行は自己資本がきれいになくなるんですね。自己資本比率わずか二%しかない。
 この問題を私は生田さんにも指摘いたしました。生田さんは、確かにあなたのおっしゃるとおり、そのときには破産しますとおっしゃったんですね。この問題はいまだに手を付けられていないというふうに私は思っております。

○福島みずほ君 では河村公述人、済みません、一分なので貴重に使って。
 社会保障費などの二千二百億円のカットを何とかやめさせたいと思っているんですが、財政全般の削減や今の予算の在り方についての御意見を一言教えてください。

○公述人(河村小百合君) 社会保障費、なかなかやっぱり難しい問題があることはよく承知しておりますが、やっぱり全体的なそのバランスの問題もありますし、非常に大事なのは、負担と給付の公平性を是非とも確保していただいて、効率性はなるべく追求する形でバランスを取ってやっていただければというふうに思っております。  以上です。

○福島みずほ君 どうもありがとうございました。



◆公聴会・午後◆


○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は御両人、どうもありがとうございます。
 社民党は、二〇〇二年から格差是正ということで、経済財政諮問会議、規制改革会議の方針に真っ向から対決をしてきました。
 八代公述人にまずお聞きをいたします。
 二千二百億円ずつ毎年形式的に社会保障費をカットしたことで、全国を回りますと、もう本当に悲鳴が上がっています。骨太方針二〇〇六で、相変わらず、これから五年間、二千二百億円社会保障費をカットすると提起がありました。形式的にカットする、ギリシャ神話で、ベッドに合わせて手足を切るという神話がありますが、形式的に二千二百億円カットすることで現場の人が悲鳴を上げる。
 八代公述人、この二千二百億円社会保障費のカットに関して、舛添大臣ももうやっていけないと、はっきりそう言っています。八代公述人の現在の御意見をお聞かせください。

○公述人(八代尚宏君) これは先ほども議論になったところでございますが、確かに、今の制度を変えずに一律に二千二百億カットしていくというのは大変なことだと思います。ただ、一方で、今の制度にはかなりの無駄がある、効率化の余地があるんではないかと思っております。先ほども申し上げましたようなジェネリックの問題とか、あるいは地域間格差の問題とか、あるいは日本の医療というのはまだまだ標準化ができていないと、つまり病院によって同じ病気に対しても違う治療が行われていると、そういう標準化が行われていないことで様々な無駄が起こっている。
 あるいは、よく言われていることですが、出来高払という診療報酬体系が残っていると。出来高払というのは、ある意味で、お医者さんがいろいろなことをする行為に対して払われるわけでありますが、普通のサービス業であれば、客が言わば受け取るサービスに対して値段が付けられるわけであって、それを供給側はできるだけ効率的にサービスを提供するというのが常識である。ところが、医療の場合には、残念ながら医療費を掛ければ掛けるほど医療機関が収入が出るという仕組みがまだまだ残っているわけです。ですから、それは包括払いといいますか、これは先進国ではあちこちでやっておりますが、そういう形で患者にとってサービスの質を維持しながらコストを効率化させていく余地というのはまだまだあるんじゃないか。
 残念ながら、そういう制度改革になかなか結び付かないことがまだまだ残っているというのが残念でありますが、今の制度のままでこういう効率化というのをやめてしまうと今後の高齢化社会では大変なことになるわけでありまして、これは是非医療の質を落とさないような形でコストの削減をしていくことを厚生労働省と一緒に考えていくべきではないかと思っております。

○福島みずほ君 私たちも反対ですし、厚生労働省ももうできないとはっきり言っているわけです。経済財政諮問会議は間違っていると思いますが、どうですか。私が手法が間違っていると明確に思うからです。ベッドに合わせて手足を切る。つまり、国会でもそうですが、ここに無駄がある、ここに無駄がある、道路特定財源のこの使い方はおかしいじゃないか、この議論なら分かります。しかし、経済財政諮問会議は二千二百億円カットする。今まで五年間やってきて、二〇〇六年からまた五年間形式的に二千二百億円ずつ自動的、形式的、機械的にカットをする、これは手法として間違っている。つまり、どこをカットすればいいか、もう死に物狂いでやって現場がもうおかしくなっているんですよ。その自覚はあるでしょうか。

○公述人(八代尚宏君) 今、福島議員がおっしゃった点は必ずしも正確ではないと思います。単に形式的に二千二百億円をカットしているだけではなくて、厚生労働省と一緒になって医療、介護の高コスト構造是正プログラムというのを同時にやっておりまして、そこには私が先ほど申し上げましたようなジェネリックの問題とか、あるいは公立病院の医療費の効率化とか、いろんな点を厚生労働省と協力してやっているわけでございます。そちらの方はきちっと厚生労働省が今いろんなプランを作っていただいている最中でございます。

○福島みずほ君 では、厚生労働省がここに無駄があるしここはこう考えるという提言を経済財政諮問会議は尊重されたらいかがでしょうか。厚生労働省はもうできないと言っているんですよ。つまり、二千二百億円を形式的に押し付けるから現場が悲鳴を上げているわけで、経済財政諮問会議の手法に極めて問題があるというふうに思います。
 次に、労働ビッグバンのことについてお聞きをします。
 規制改革会議の第二次答申ですが、確かにこれの労働法の部分など、問題意識の部分というふうにされていますが、これも政府の公式の文書です。労働ビッグバン路線そのものですが、同じ考え方でしょうか。

○公述人(八代尚宏君) 今、福島議員が問題意識とおっしゃいましたが、それはひょっとして規制改革会議のペーパーのことではないですか。

○福島みずほ君 そうです。

○公述人(八代尚宏君) 私は、残念ながら規制改革会議のメンバーではありませんので、規制改革会議がどういう答申を出して、どういうことをやっているかというのは十分に存じませんが、規制改革会議というのは諮問会議の下にある組織ではございません。別の組織でありますので、規制改革会議の方に聞いていただきたいと思います。

○福島みずほ君 これが出しているものが労働ビッグバン路線そのものだと思ったもので、そういうふうに質問をいたしました。
 この間、経済財政諮問会議は労働法制の規制緩和を提案をずっとされ続けてきております。御手洗さんは、派遣法に関しては事前面接をなくせ、あるいはもっと業種の制限を全部撤廃すべきだというふうにも言っております。このような労働法制の規制緩和に関して八代公述人、どうでしょうか。
 舛添大臣は、先日この委員会で、ディーセントワーク、人間らしい労働とは何を指すと考えるかということに関して、常用雇用、直接雇用が望ましいというふうに答えました。八代公述人は、過去、再チャレンジ支援策の中心は労働市場の流動化だというふうにおっしゃっています。労働法制の規制緩和を、派遣法の規制撤廃とを一貫して主張し、見直しをリードされてこられたわけですが、間違っていたんではないですか。

○公述人(八代尚宏君) まず、労働ビッグバンという言葉はいろんな意味に使われていますが、単なる規制緩和ではないわけで、これは規制の組替えであります。つまり、今の私の理解では、派遣法、パート法、高齢者雇用安定法というように、労働者の属性ごとに別々の法律があると。これを言わば金融ビッグバンと同じように、一つの法律、例えば均衡待遇の重視といいますか、そういう方向に変えていく、それによって言わばその派遣と請負との間のすき間に落ちるような人たちをきちっと救済していくということが大事であるわけです。
 これは私が総合規制改革会議にいたときの第三次答申でありますが、こういうことを書いております。派遣労働者と常用労働者の均衡待遇が実現すれば、派遣対象業務や派遣期間の制限は不要であり、これを撤廃した方が労働者の働き方の選択肢拡大という観点から労働者の利益になるということでありまして、無条件に派遣とか派遣の規制を撤廃しようというのは、私がいたときの規制改革会議で少なくともそういうことは言っておりません。ですから、ビッグバンというのはあくまで労働者にとって働きやすい規制に変えていくということが大事なわけであります。
 この労働専門調査会では今まで三つの報告書を出しておりますが、第一がワーク・ライフ・バランスの実現のためにどうしたらいいかということ。第二番目が外国人労働者の問題と在宅勤務を増やすためにはどういう形が必要か。最後の報告書は、高齢者の雇用を増やす、特に高齢者が言わば定年退職後は一年間の有期雇用を継続しているのがほとんどであるという現状を改革し、どうしたらもっと責任のある形で働けるかというためにはどうしたらいいかということを検討した報告でありまして、いずれも単なる規制緩和ではありません。すべて労働者が質の高い働き方をできるためにはどうしたらいいかという観点からの言わば提言をしているわけでございます。

○福島みずほ君 労働者派遣法の期間を撤廃したり、労働者派遣法の規制を緩和することが質の高い労働にどうつながるんですか。

○公述人(八代尚宏君) 今申し上げましたように、単純に派遣の期間とか派遣対象業務を自由化するんじゃなくて、あくまで一方で均衡待遇ということを進めるというふうに、一緒にやるということが第一です。
 それから、派遣の期間の問題でいえば、御承知のように、一年間の就労よりは三年間の就労、五年間の就労というふうに、同じ企業で例えば長い期間働ければ働くほどその企業に特有な技能を吸収できやすい。その意味では、短い派遣期間より長い派遣期間の方が労働者にとって望ましい場合もあるわけであります。
 もちろん、これは福島委員がいつも言っておられるように、派遣の固定化につながるとすれば問題でありますが、同時に、それは三年ごとにあるいは二年ごとに派遣労働者が企業を変わらなければいけないという状況になれば、なかなか熟練形成というのは進まないんじゃないか。その意味では、一定の条件の下で派遣の期間の見直しといいますか、より長くするという方向は派遣労働者の熟練形成にはプラスになる面も大きいんではないかと思っております。

○福島みずほ君 三年あるいは五年、今は三年もありますが五年、長く働くのであればなぜ直接雇用にしないのか。均等待遇は本当に進んでいません。
 舛添大臣は、ディーセントワークに関して、ILOが言っているように直接雇用、常用雇用が望ましいと言いました。私もこれはそのとおりだと思っております。この点についてはいかがですか。

○公述人(八代尚宏君) 常用雇用が望ましいかどうかは、やっぱり労働者の判断もあるわけで、無条件に望ましいとは言えないと思います。
 それは、今の正社員というのは、御承知のように、雇用の保障を年功賃金の代償として長時間労働とか絶え間のない転勤とか配置転換という犠牲を払っているわけであります。派遣社員にアンケートを取りますと、正社員になりたいけれどもやむを得ず派遣社員になっている方というのも当然おられますが、最初から派遣社員で働きたいという人もかなりの数おられるわけでありますから、一方的に常用雇用だけが望ましい働き方で、派遣はすべて悪い働き方だということは必ずしも正しくないんじゃないかと思います。
 大事なのはその中身でありまして、常用雇用でもひどい働き方もあります。派遣でも、専門職であれば極めて質の高い、ある意味では給料の高い派遣もあるわけで、問題は働き方の中身であって、派遣は一律に悪い、常用雇用は一律に望ましいという形の切り口というのは別の問題があると思っております。

○福島みずほ君 派遣が全部悪いなんて言っていません。非正規雇用が拡大をした結果、年収が二百万円以下の人が今四分の一にもなった現状、あるいは多くの派遣の人たちに今まで会ったからです。
 正社員が長時間労働だというふうにおっしゃいました。正社員の働き方も問題です。では、お聞きをします。日本版エグゼンプションについて、これは導入すべきだという論者でありますが、現在もこれを維持されますか。

○公述人(八代尚宏君) その前に、今、福島議員がおっしゃった点でありますけれども、いろんな派遣社員があるというのは全くそのとおりだと思いますが、常用労働でなければいけないのかという点につきまして、それは、メリット、デメリットがあるというのは既に申し上げたとおりであります。
 ちょっと言いたいことを忘れてしまったので次に行きますが、ホワイトカラーエグゼンプションでいきますと、私は、ホワイトカラーエグゼンプションというものが非常に誤解されているというふうに思います。
 これは、法律を出した厚生労働省の責任もあるんじゃないかと思いますが、つまりホワイトカラーエグゼンプションというのがあたかもただ働き残業を正当化するというような批判がされたわけです。しかし、厚生労働省が出した原案には、きちっとその歯止めは実はあるわけです。つまり、ホワイトカラーエグゼンプションの対象になった労働者については、年間百四日の言わば強制休暇というものを義務付けられるということであります。
 ですから、今の働き方であれば、集中的に働く、その仕事が終わったらまた別の働き方をするということで休む暇がないわけです。ところが、このホワイトカラーエグゼンプションがきちっと法律どおり実施されたといたしますと、言わば集中的に働いた後は年間百四日の休暇を取らなければいけないわけで、これは事業主に義務付けられているわけですよね。ですから、そういう意味で、今の言わばだらだら働くやり方と比べてセーフティーネットがきちっと付いているわけです。ですから、問題は、今それすらない状態のことと比べて、私は、これはある意味では一つの労働者にとって選択肢を広げるやり方ではないかと思っております。
 問題はその運用でありまして、福島議員もいつも言っておられますように、現在サービス残業というのが横行していると、これはきちっと基準監督署が取り締まらなければいけないと、これは当然のことです。ですから、最初から違法を前提にして、規制緩和はけしからぬという言い方はおかしいわけで、規制緩和をしようがしまいが、きちっと法律どおりに、のっとった労働行政をしてもらわなきゃいけない。しかし、ホワイトカラーエグゼンプションの厚生省原案の考え方というのは、そういうふうに一種の規制緩和と規制強化を組み合わせた仕組みであるということを御理解いただきたいと思います。

○福島みずほ君 今、名ばかり管理職というものがマックなどの判決で出ておりますが、ホワイトカラーエグゼンプションは管理職一歩手前の人間に関しても労働時間規制をなくすもので、先ほど八代議員は、正社員だって長時間労働だとおっしゃいました。私たちは、正社員の本当に死ぬほどこき使われる、非正規雇用は死ぬほど安くこき使われる、そういう労働法制をどう変えていくか、日本版エグゼンプションなんて論外だというふうに思っております。
 福田総理は賃金の引上げを経団連会長に求めましたが、日本の低賃金は、派遣や請負等の非正規労働者を増やしたり、今までの労働法制の結果だというふうに考えませんか。

○公述人(八代尚宏君) 今の最後の点で思い出しましたが、労働規制緩和によって非正社員が増えたというのが今の福島議員のお話だと思いますが、それは私はちょっと事実に反しているんじゃないかと。つまり、非正社員が増えた最大の原因はやっぱり長期停滞であるわけでして、この九〇年代以降の一・五%という低成長の中で、これまで過去の高い経済成長の下では、少ない非正社員をバッファーにして正社員の雇用を守ってきた日本的な雇用慣行というものが低成長によってより多くの非正社員を必要としているわけです、正社員の雇用を守るために。これは、企業の行動原理としてある意味ではやむを得ないことであるわけでありまして、それを規制しようとしたら、逆に行ってもっと正社員の雇用が減ってしまう、少なくとも企業は新規採用を抑制することはできるわけですから。ですから、ある意味で、そういう長期経済停滞をいかにして早く脱出するかということが非正社員を減らすための最大の目的になるわけであります。
 ホワイトカラーエグゼンプションのことに戻りますが、繰り返し申しますが、今の名ばかり管理職の問題は私は論外だと思います。管理職というのはきちっと自分の裁量で働ける人たちであって、働けない人を名ばかりの管理職にするということは基本的にやっぱりそれは今の法令違反であって、きちっと取り締まられるべきだと思いますが、ホワイトカラーエグゼンプションというのは、繰り返し申しますが、その対象となった人には強制休暇が義務付けられるわけであります。これが労働者にとってメリットかデメリットかというのは明らかではないかと思います。

○福島みずほ君 賃金は九年間、御存じのとおり、みんな下がり続けていますし、労働分配率も年々下がっています。企業が空前の好景気でありながら労働者の生活が良くない、そして、少なくとも労働者派遣法の規制緩和が日雇派遣、製造業まで及んで、日雇派遣が製造現場に拡大をしたと、明確に法律の結果だというふうに思います。  市場化テストについてお聞きをいたします。
 八代公述人も加わった市場化テスト評価委員会の中で、民間実施地域において求人確保が十分に進まなかったことは当該地域の求職者の就職機会の観点から大きな問題と言えるというふうにされて、問題点が指摘されております。要するに、官の方が良かったという結果が明確に出ております。ですから、ハローワークに関する、特に市場化ですね、これはやめるべきではないですか。

○公述人(八代尚宏君) 市場化テストの前に、規制緩和されたことによって派遣が製造業の現場に及んだということで、労働者にとってマイナスになったという御主張だと思います。
 ただ、じゃ、派遣が製造業の現場に及ばなかった前は何が起こっていたかというと、今派遣の人がやっていることは請負労働者がやっていたわけでして、この請負労働の方が派遣より本当にいいかどうかというのはまた別の問題であります。
 ですから、規制で物事を何でも解決できるというのはやっぱり別の問題でありまして、やはり労働市場の実態に応じて多様な働き方を実現できるような効率的な法整備というのが必要なわけであって、派遣が問題である、だから請負は構わないというわけにはいかないんじゃないか。ですから、請負も、派遣とか、そういう働き方の違いにかかわらず、均衡待遇を実現するような新しい法整備が私は必要だと思っております。
 市場化テストの観点に関して福島議員がおっしゃっているのは、今のハローワークの市場化テストの前の段階として、言わばモデル事業として、先ほども言いましたように、キャリア交流プラザ等求人開拓事業、ほかにも幾つかありましたと思いますが、そういうものを厚生労働省がこれまで疑似市場化テストという形でやってきているわけであります。おっしゃったとおり、特にこの求人開拓事業において民間事業者が予想したほどの結果をもたらしていないというのは全く事実であります。
 ただ、これはあくまでも、繰り返し申し上げますが、ハローワークの中の仕事の一部を切り出して、なぜかこれだけを民間の事業者にやらしたわけでありまして、いろんな結果が出ておりますが、これが果たしてハローワーク本体について同じように当てはまるかどうかは別であって、ハローワーク全体を一体として市場化テストに掛けるということによってどういう結果が出るかは全く分かりません。
 いずれにしても、ハローワークの民間開放が必要かどうかは市場化テストの結果決まることであって、最初からそういうモデル事業の結果だけで本体の市場化テストをやめる、あるいはそれをやることを恐れるという必要性は全くないんじゃないかと思っております。

○福島みずほ君 偽装請負があるから派遣は製造業にも導入すべきだとしましたが、請負にもメスを入れず、派遣を製造業にも拡大をした結果、現状ではひどい状況になっていることは八代公述人は御存じだと思います。  社会保障費の二千二百億円のカットや労働法制の規制緩和や様々な構造改革が人々の生活を破壊したという思いがとてもあります。経済財政諮問会議はその役割を終えるべきではないかということを、個人的には、というか、社民党は思っております。
 今日はどうもありがとうございました。


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