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2007年

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参議院 厚生労働委員会 2007年11月27日

◆労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題


◆労働契約法案並びに最低賃金法の一部を改正する法律案の原案及び修正案について◆
◆反対討論◆
◆社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案への反対討論◆


 

◆労働契約法案並びに最低賃金法の一部を改正する法律案の原案及び修正案について◆

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今年三月二十日に開催された厚生労働委員会で、就業規則の変更の合理性を判断するため裁判となった場合、立証責任は使用者側にあるという答弁を青木局長されていますが、それで間違いないですね。

○政府参考人(青木豊君) 就業規則変更により労働条件を変更したことを原因とする紛争が生じた場合におきまして、就業規則の変更が合理的であることに関する証明責任というのは、お尋ねのように労働契約法案の成立した後も使用者が負うものと考えております。

○福島みずほ君 就業規則の変更について合理的で有効に変更できたということであれば、その時点で効果が生ずると前回青木局長は答えています。
 就業規則の不利益変更が行われました、合理性がある、ないという判断、例えば合理性はないという判断が裁判で下されました。無効です。そうすると、無効ということですから、これは就業規則の不利益変更をされた段階から無効だということでよろしいですね。さかのぼるということでよろしいですね。

○政府参考人(青木豊君) おっしゃるとおりであるというふうに、今もそうだと思いますし、この法案が成立した後にも同様だというふうに思っております。

○福島みずほ君 九条ただし書ですが、「ただし、次条の場合は、この限りでない。」、これは九条ただし書による使用者の権利行使、これは形成権なのですか、請求権なのですか。

○委員長(岩本司君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○委員長(岩本司君) 速記を起こしてください。

○政府参考人(青木豊君) この九条ただし書は権利を規定したものじゃありませんので、請求権でも形成権でもないというふうに思います。

○福島みずほ君 権利というのは、通常、形成権か請求権かに分けられると思うのですが、使用者の就業規則の変更権が請求権になるのか形成権になるのか。形成権だった場合、使用者の一方的な変更の意思表示で法律関係に変動を来すことになる。請求権だとしたら、形式的には労働者が受け入れるまでは法律関係に変動がないということになるんですが、形成権でしょうか、請求権でしょうか。

○委員長(岩本司君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕

○委員長(岩本司君) 起こしてください。

○政府参考人(青木豊君) これは請求権だというふうに思っております。

○福島みずほ君 請求権、就業規則の不利益変更の使用者の権利が請求権だった場合、労働者が受け入れるまでは法律関係に変動がないとすれば、合意しない労働者に対して拘束力がないということでよろしいですか。

○政府参考人(青木豊君) 元々、九条で、使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働条件を一方的に不利益に変更することはできないというふうになっております。

○福島みずほ君 請求権だとしたら、請求するわけですよね。それに納得しない労働者がいる、異議申立てをする。そうすると、異議申立てをしている人はその請求権に対して納得していないわけですから、それはなぜ拘束力を持つんですか。請求権に対し、請求権なわけですから、納得しない労働者には拘束力を持たないということでよろしいですね。

○政府参考人(青木豊君) これは第十条の話をおっしゃっているんだと思いますが、第十条で、一定の手続、一定の要件に当たる場合には、これはこの法律第十条をもって変更後の就業規則に定めるところによるということに規定を、法律上なっているということであります。

○福島みずほ君 請求権だとしたら、納得しない労働者は、というか、これはなぜ、請求権だとして、丸ごとじゃ拘束力が生ずるのか分からない。異議申立てをする、例えば裁判を起こした労働者に対しては拘束力を持たない。裁判、例えば私が起こしますね、ということでよろしいですか。

○政府参考人(青木豊君) 先ほど来の裁判については、これはむしろ御議論は、この合理性の中身についての争い、紛争がある場合について、その決着を図るために裁判に出ると、こういうことだろうというふうに思います。これの中身が裁判で、実際には神の手によって決着が付いているわけですが、現実の場面では裁判で紛争の決着が付くということだと思います。

○福島みずほ君 請求権だった場合、裁判を起こした労働者はその請求権に対して同意をしていないわけですよね。そうだとすれば、裁判の判決が出て初めて無効になるのではなくて、その異議申立てを、裁判で提訴した、異議があると、あるいは裁判を起こさないまでも異議があると言った人間に対しては拘束力を生じ得ないんじゃないですか。

○政府参考人(青木豊君) 第十条で言っておりますのは、ちょっと繰り返しになりますけれども、一定の手続、変更後の就業規則を周知をさせると、それから幾つかの条件の下に、中身が合理的である場合には、もうその法律第十条により、その労働条件というのは変更後の就業規則に定めるところによるものとするということでなっているわけです。そういうことで、その時点で決着をしていると。
 しかし、合理性でありますとか、手続あるいは周知についての争いがある場合については、これは当然争いについては裁判に訴えるその権利はだれしもあるわけですから、その場合には争いとなって、その争いが裁判において決着をしたときには、その効果は変更をした時点から効果を生ずるということだというふうに思っております。

○福島みずほ君 刑事事件で無罪の推定があります。そして、挙証責任は検察官にあります。有罪となるまでは無罪なわけですよね。
 私が奇妙に思うのは、就業規則の不利益変更に関して、挙証責任は会社側にあると言いながら、就業規則の不利益変更をした時点でその法的拘束力がすべてに及ぶのであれば、立証責任を企業側が負うとしても、実質的には拘束力に全部伏してしまうという非常に変な問題がある。つまり、この法案は労働契約法案というよりも、そこのけそこのけ就業規則が通る、就業規則万能法案になっているわけです。法的拘束力があるとすることは問題ではないですか。
 挙証責任は会社側が負うのであれば、合理性の立証はされてないんですよ。裁判で合理性があると挙証責任を負っている会社側が勝つまでは、その合理性は担保されてないんですよ、挙証責任、会社側が負っているわけですから。だとすれば、異議を唱える労働者、異議を申立てをしている労働者に対しては法的拘束力を持たないというのが論理的ではないですか。

○政府参考人(青木豊君) 何度も申し上げますように、就業規則の拘束力はいつから発生するのか、また裁判で有効とされたりあるいは無効とされた場合いつから無効となるかについては、これは現在も法案が成立した後も変わらないものだというふうに思っております。
 先ほど来申し上げておりますように、この手続あるいは事情勘案、勘案すべき事情の内容、これらについてこれが合理的であるということについて争いになった場合には、これは使用者側が立証責任を負うというものであります。そこで立証できなければ使用者側が敗訴をするということになりまして、就業規則の変更についてはもう無効だということになりますし、裁判で決着したときから振り返ってみればあたかもさかのぼったようになるわけですけれども、その変更したという時点からはそれは無効になるということでございます。

○福島みずほ君 三月二十日の厚生労働委員会で、最高裁の判例では就業規則の変更には高度の必要性が求められるとしているが、法案では労働条件の変更の必要性となっていることが問題だと質問しました。当時、青木局長は、労働条件変更にどの程度の必要性が求められるかは個別事案に応じ総合的に考慮されると答弁しております。
 現段階で考えられる変更の必要性の程度とはどんなケースが想定されるか、高度な必要性ということでよろしいですか。

○政府参考人(青木豊君) 御指摘の点については、これは大曲市農協の最高裁判決以来、そういう高度の必要性に基づいた合理的な内容である場合に就業規則が労働契約の内容を規律する効力を生ずると、そういうことであるということは承知をいたしております。
 今回の労働契約法案というのはこの判例法理を修正するものではなくて、個別の事案において具体的な当てはめにおいては、判例法理において示された具体的な考え方が引き続き存続し考慮されるものと考えておりますので、そういう意味では、お尋ねのとおり、高度の必要性についてもお尋ねのとおりだというふうに考えております。

○福島みずほ君 足しもしなければ引きもしないというのはよく答弁でされているのですが、前回、私の質問に対して、第四銀行の七つの要件が四つになっているが、三つは含まれているということを青木局長は答弁をされました。
 では、司法の場面で司法の判断をそれは拘束しますか。法案に書いていないことを裁判所は考慮できるんでしょうか。司法を明確に拘束するということでよろしいですね。

○政府参考人(青木豊君) これは司法はもちろん法律に基づき、その法律に基づき判断をするということでありますから、その法律をきちんと適用するということだろうと思います。
 私が申し上げているのは、第四銀行事件の判決で言っている七つの考慮要素というのを整理をいたしまして、今度の法案の第十条で規定をいたしたということでありますので、私としては、労働契約法案が成立した暁にはそういった旨の運用が適切になされるようにパンフレット等を作成していきたいというふうに思っております。

○福島みずほ君 矛盾していて意味が分かりません。
 前回、私の質問に対して、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等、そして代償措置その他関連する他労働条件の改善状況の要件は今回含まれているとおっしゃったんですよ。しかし、裁判所では書いてないことを判断できないじゃないですか。どっちなんですか。書いてないことを裁判所は判断できないですよ。でも、局長は含まれていると言ったじゃないですか。含まれてないですよ。

○政府参考人(青木豊君) 何といいますか、言葉、文言そのものを、これは前にも議論があったかと思いますけれども、判例法理を条文にするというときも言葉、文言そのものを一字一句変えずに規定をするということではなくて、そこに通有する考え方を条文として規定しているわけであります。
 そういう意味では、判例で言っている七つの考慮要素については四つに整理をして、含まれる形で規定をしたということでございます。

○福島みずほ君 いや、前回、私の質問に対して、代償措置その他関連する他労働条件の改善状況は入っていると答えたんですよ。裁判所は、それどうやって判断するんですか、法案にないのに。

○政府参考人(青木豊君) いや、法案の中にそういったものを含めて書いたということでございます。(発言する者あり)
 したがって、そういうことで具体的な裁判に当たりましては、これまでの判例法理もこの法律によって変えるところはないわけでありますから、それに沿ってきちんと処理がされるというふうに考えております。

○福島みずほ君 いや、でたらめですよ。書いてないことを裁判所は判断できないですよ。裁判に引用したら、その裁判官は大ばかやろうになりますから、そんなことできないですよ。それにもかかわらず、入っているという変なこと言うからですよ。入ってないって正直に言ったらいいじゃないですか。でも、入っているとしか言いようがないし、私たちはこの判例を後退させたくないんですが、明確に後退しているんですよ。
 裁判所は判断できないですよ。裁判所は、この議事録を私たちは示して判断せよと迫ります。判例に引用せよと迫ります。しかし、法案には書いてないんですよ。厚生労働省が落としたんですよ、これについては。
 その次に、第十条の「労働組合等との交渉の状況」、この労働組合の定義と等に何が含まれるかを改めてお聞きします。

○委員長(岩本司君) どなたにですか。局長でよろしいですか。

○福島みずほ君 はい。局長、お願いします。

○政府参考人(青木豊君) 労働組合等の等というのは、これは多数労働組合も当然含みますし、少数労働組合、あるいは個別の労働者あるいは親睦団体、そういったものを広く労働者の声を反映するものとして規定をいたしているものでございます。

○福島みずほ君 労働組合というものには全部入るわけですね。少数組合もいろんな組合も入る。あるいは、これは組合でないといけないんでしょうか。

○政府参考人(青木豊君) 労働組合は組合でないといけないと思いますが、労働組合等でありますので、広く組合以外のものも入るということでございます。

○福島みずほ君 例えばどういうものでしょうか。会社が指定をした代表者会議やいろんな人たちの意見を聴けば、この要件を満たされることになるんでしょうか。

○政府参考人(青木豊君) これは、もちろん今お挙げになりました会社の一定のグループということも労働組合等という中には入り得ると思いますけれども、ある特定の、例えばこの条文の意味は、多数組合であっても多数組合とさえやっていればいいんだということではなくて、そういったものとの交渉の状況、そういった少数組合も含む広く労働者の意見、そういったものが反映するように、広くそういったものとの交渉の状況を総合勘案して初めて合理的かどうかというものが判断できるのであって、ある特定のものだけ話をしたら済みだと、終わりだと、結構だということではないということであります。

○福島みずほ君 そうすると、複数組合が会社の中にある、あるいは一人の人が外部のユニオンに加入しているという場合、局長のお考えでは、それらの少数組合や個人加盟のユニオンの人たちとの交渉もきちっとしない限りは合理性については問題があり得るということでよろしいですね。

○政府参考人(青木豊君) そこはまた非常に微妙なところで、要するに、全部話をしなければ、交渉しなければいけないんだということではないわけです。ですから、お尋ねのように、あり得るかということであれば、それはそうだということでありますけれども、そうであるのかというと、全部やらなければいけないということでもないわけです。総合的に勘案して判断をするということであります。

○福島みずほ君 質問、変えます。
 複数組合がある場合の差別的取扱いというのは不当労働行為に御存じなりますよね。ですから、話を聴くときに、原則としてというか、基本的に厚生労働省としては、複数組合があったりする場合には、交渉で意見を聴くときはすべての労働組合に聴くのが望ましいと考えているということでよろしいですね。

○政府参考人(青木豊君) 労働組合だけではなくて、この条文の趣旨は、広く労働者の意思を代表する者を含んで、そういう人たちと十分交渉したり、話をしたりすることによって初めて合理性が出てきますよということでありますので、できるだけそういう意味で反映する形での協議、交渉というのが望ましいというふうに考えているわけです。

○福島みずほ君 すべての労働組合と交渉するのが望ましいということを確認をさせていただきました。
 さっきの七つの要件にまた戻りますが、局長の考えだと、法案には書いていないけれども、裁判所は当然それが含んでいるので考慮するだろうということですよね、メルクマールとして入っているという答弁ですから。
 では、このパンフレットやいろんなもの、つまり、事業主はこの法案を見て、ふむふむ、これだけがあればいいのかとか思うかもしれないですね。でも、実際は七つの要件が必要なわけじゃないですか、局長。だとしたら、パンフレットにはそれを全部、フルに書かれる、賃金については高度の必要性が必要だという判例もあるということまできちっと周知されるということでよろしいですね。

○政府参考人(青木豊君) もちろん、様々な裁判例が蓄積されておりますので、そういったものも十分パンフレット等にできるだけ載せて、それからいろんな例も載せて分かりやすいものを、実際の様々な現場で生ずる事態に参考になるようにパンフレットというのは作りたいというふうに思っています。そういう意味では、おっしゃるようなものも当然含めてできるだけ、ただし、分かりやすくすることは必要だと思っておりますけれども、そういう形でできるだけ周知に努めていきたいというふうに思っております。

○福島みずほ君 就業規則が合理的でない場合がある、基準法違反の場合があるということを前回、質問をいたしました。私が入手したものでも、外資系のITで、業務成績向上プランを作成、指導し、それが達成しない場合は解雇するという就業規則があるものもあるんですね。
 ところで、お聞きをいたします。
 労働基準監督署に提出される就業規則は監督官並びに就業規則点検指導員がチェックすると聞いていますが、労働基準法違反のチェックはどのようにしていらっしゃるでしょうか。

○政府参考人(青木豊君) 労働基準監督署には、お話しのように、就業規則、事業主が作成をすればこれを届け出るということになっているわけであります。
 そして、監督署の窓口で、届けられた場合には、就業規則の内容を点検いたしまして、労働基準法等に違反する内容が定められていることを把握した場合には、法令の内容を説明いたしまして、法令に合致したものとなるように変更を指導しているところでございます。

○福島みずほ君 労働基準監督署の監督官の数は、ILOが指針として定める労働者一万人につき監督官一人という割合でいけば、日本には五千人ほどの監督官が必要と思われます。現在三千人しか監督官がいない現状をどのように考えるか。十分なチェック機能が期待できないと考えますが、いかがですか。人員増は必要ではないですか。

○政府参考人(青木豊君) 労働基準監督官におきましては、申告、相談等の様々な情報も精査いたしまして、問題があると考えられる事業所を的確に選定をすると、効率的な監督指導を実施しております。また、集団指導など効率的な指導方法を取るというようなこともやっております。そういうことで、できるだけ効率的にやるということを考えております。また、状況に応じては、法令違反の指摘、改善方策の説明などを行った上で、更に悪質な事業者に対しては厳しい厳正処分をするということで、指導も効果的に発揮されるように努めているところでございます。
 それで、労働基準監督官の数でありますけれども、これまでも増員に努めてまいりまして、非常に厳しい定員事情の中ではありますけれども、監督官はわずかではありますけれども増えてきているわけであります。今後とも、そういう中でありますけれども、労働基準関係法令の遵守徹底のためにできるだけ努力をしていきたいというふうに思っております。

○福島みずほ君 就業規則の中身が労働契約になってしまうと。今までだと、労働基準法があって、就業規則があって、それにより労働契約があるということだったのが、就業規則万能主義になっちゃうんじゃないかという心配をとてもしています。だからこそ、合理的でない、場合によっては法違反である就業規則をはじき飛ばしていく、排除していく、あるいは就業規則の不利益変更の合理性が本当にないものをきちっとあらかじめ排除していく、存在するものは合理的でなくて、きちっと労働基準監督署でそれら合理性がないものや法違反を不利益変更も含めて排除していくということが必要だと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(青木豊君) 今でもそういう合理性のものについては、これは監督官の権限ではありませんので、出てきて、もしそういうことで紛争があれば、労働局の個別労働関係紛争の事務の方を紹介するというようなこともやっているわけであります。この労働契約法案が成立した暁には、当然、監督署の方に本来のルートではなくても来ることは予想されますので、窓口に対しても、十分指導できるように、パンフレットなり手引なり等を作成して事務処理に当たらせたいというふうに思っております。

○福島みずほ君 労働契約法、最低賃金法について、まだまだ問題が極めてあると思い、審議を尽くしたいと思いますが、この中身について、特に労働契約法については反対であるというふうに考えます。
 以上です。

◆反対討論◆


○福島みずほ君 私は、社民党・護憲連合を代表し、内閣提出労働契約法に反対、最低賃金法の一部を改正する法律案に賛成、共産党提出の修正案に賛成する立場から討論を行います。
 まず、労働契約法案は、就業形態の多様化、個別労使紛争の増大などに対して労使間の良好な関係づくりを図るルールと期待されていましたが、この法案内容では労使間の対等性が全く担保されておらず、さらには労働者保護がなされていない点が問題です。
 第二の理由として、使用者側が一方的に就業規則を変更できることとなっていることです。
 九条で使用者が労働者と合意することなく労働者に不利益な就業規則の変更をすることができないとしていながら、十条に例外規定を設けています。労働者への周知と合理性があれば変更できるとなっていますが、周知とは具体的にどのような場合を指すのか、変更された就業規則の合理性の判断要素とは何であるのかなど、この厚生労働委員会における答弁でも十分に明らかになりませんでした。また、これまで積み重ねられてきた判例が過不足なく立法化されていることも確認できず、労働条件が使用者側の一方的な都合で切り下げられる事態が起きてきます。この法案は言わば就業規則万能法案です。
 第三の理由は、参議院では参考人による審議が行われましたが、徹底的な審議が尽くされたとはまだ言えないからです。
 労働契約法が新しく大きな法律であるにもかかわらず、立法化によって現実に労使にどのような影響を与えるのか、この労働契約法の重要性が国民の前に明らかになっていません。拙速な採決は避けるべきとの立場からも法案に反対いたします。
 次に、内閣提出の最低賃金法の一部を改正する法律案及びその共産党提出の修正案について賛成意見を述べます。
 内閣法の改正法案では産業別最低賃金が特定最低賃金になり、罰則規定がなくなることで実質廃止の方向になってしまったことは問題です。産業別最低賃金は、公正な賃金決定の確保、労使交渉の補完的な役割を持っていた観点から継続することが望ましいと考えます。また、全国一律の最低賃金基準を設けるべきと社民党は訴えてきましたが、この点について盛り込まれなかったことは不十分であると指摘せざるを得ません。
 しかしながら、ワーキングプアの問題が深刻化している中で、地域別最低賃金が強化され、大幅引上げにつながっていくことが求められている現状で、本法案の改正は一歩前進と評価できます。最低賃金の不払に対する罰則規定も引き上げられ、憲法二十五条が改めて明記され、今後の引上げの強化や改善が図られることが期待される法案であると考えます。
 また、共産党が提出された修正案は、全国一律の最低賃金制などを修正案として盛り込み、原案に対する補強、強化するものであるという考えから賛成するものであります。
 今後、改正された最低賃金法がすべての労働者の最低限度の賃金が保障されるセーフティーネットとして実質的な効果をもたらし、十分機能していくよう、関係機関の更なる環境整備と御努力を期待し、私の賛成討論を終わります。

◆社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案への反対討論◆


○福島みずほ君 私は、社民党・護憲連合を代表し、内閣提出、社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律案に反対する立場から討論を行います。
 私は、介護・福祉ニーズが多様化、複雑化する中で、社会福祉士、介護福祉士の定義、義務や資格の取得方法などを見直すという今回の法改正については基本的に評価をしています。しかし、本法案に准介護福祉士という新制度が導入されている点について容認できません。
 その第一の理由は、本案は、介護福祉士の資格取得方法を一定の教育プロセスを経た後に国家試験を受験する形に一元化するものであるにもかかわらず、准介護福祉士制度の導入は法改正の趣旨に反しているからです。介護福祉士国家試験の不合格者や未受験者のために新制度を導入する合理性はなく、逆に、国家試験に挑戦する者の意欲は高まらないばかりか、人材の資質や介護サービスの質の向上につながらないことが懸念されます。
 第二の理由は、政府は、准介護福祉士の導入は経過措置であり、養成施設の卒業者は、当分の間、准介護福祉士の名称を用いることができるとしていますが、当分の間の期限について明確な答弁が得られないからです。慢性的な介護施設の人手不足、将来的な労働力人口の低下を考えれば、准介護福祉士の導入は経過措置ではなく、介護福祉士でなくても働くことができる土壌をつくることになります。
 看護の分野で看護師と准看護師の統合が実現できず身分差別が根強く残っているように、制度は一度導入されてしまうとその解消は非常に困難です。また、公布後五年の経過規定を置く修正では歯止めになりません。
 第三の理由は、准介護福祉士が安上がりの労働力として位置付けられ、また安易な外国人の受皿となりかねないという懸念があるからです。EPAは、今後の介護や福祉分野における外国人労働者の受入れの基本的な枠組みとなるものです。人の移動を伴う初の試みは、厳しい枠組みの中で行われるべきです。また、看護・介護分野における外国人労働者の導入については、広範な議論と国民の合意形成が必要であり、拙速な導入は避けるべきです。
 最後に、介護労働者の確保と質の維持や向上を図るためには、やりがいのある職業としての魅力を高めること、賃金等の労働条件の向上、離職者の防止、再活用など、介護労働をめぐる環境整備が最優先されるべき課題であることを申し添え、私の反対討論を終わります。


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