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2007年

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参議院 厚生労働委員会 2007年11月22日

◆労働契約法案及び最低賃金法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題


◆参考人質疑◆


 

◆参考人質疑◆

○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
 今日は、参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず、紀陸参考人にお聞きをいたします。
 労働法制の規制緩和と労働契約法との関係について、どうお考えでしょうか。

○参考人(紀陸孝君) 私ども、基本的に労働をする上で一番労使が納得度を高めるとか満足度を高めることが必要だというふうに思いますんで、そこはやっぱり労使の自治というのが基本にあるべきだと思うんですね。そういう意味で、規制というと、細かい点まで配慮をよく加えずに、どちらかというと一律的になされる場合が多いと思いますので、そうすると、できるだけ最低のところだけ規制してあとは基本的に労使に任せていくという、そういうのが基本的な関係ではないかというふうに思っております。

○福島みずほ君 労働契約法案は労働法制の規制緩和の趣旨に合致するとお考えでしょうか。

○参考人(紀陸孝君) 基本的にこのねらいは、労使間、特に個人の問題でトラブルを回避しようというねらいに趣旨があると思っておりまして、その範囲での新たな法規制を織り込んだもの、あるいは焦点になります就業規則と契約の関係の法理を明らかにしたものと、そういうようなものというふうに理解しております。

○福島みずほ君 紀陸参考人に、個別事件の解決とおっしゃいましたが、今の日本の社会で個別事案の解決がうまくいっているという認識でしょうか。

○参考人(紀陸孝君) 個別事案の解決で一番望ましいのは、会社の中で本当の意味で納得ずくで解決が付く、それが一番望ましい形だと思っております。
 ただ、現実には、先ほど荒木先生からお話がございましたように、様々な分野でADRの活用だとか正に新しくできた労働審判の活用とかという面で個別労働紛争の事案が増えている。そこはやっぱり、会社の中で十分に解決できない部分も増えている、あるいは本当はもっとその会社の中で解決事例が増えているのかもしれませんけれども、それはちょっと把握しようがないので、ただ、結果から見ると、事案が増えている、外に出ている事案が増えているという点から見ると、会社の中で完全に対応し切れていない問題も出てきているのかなと、そういうような、大ざっぱですが、観測をしております。

○福島みずほ君 伊藤参考人にお聞きをいたします。
 非正規雇用労働者からの労働相談の実例や、特に最近の格差が拡大されたと言われている中での不利益変更の実情などを教えてください。

○参考人(伊藤みどり君) 今日皆さんにお配りした資料の中の非正規雇用の場合という、こういうペーパーを配っていると思いますけれども、これ、私どもが今年の五月のホットラインをしまして、そのときの統計を取ったものです。
 これによりますと、正規雇用よりも非正規雇用労働者の労働条件の不利益変更が多いという、そういった結果が出ました。例えば、ちょっと幾つか事例を言いたいんですけれども、販売員の場合、六時間パートで十年間働いてきたが、退職しても人が補充されない。四人体制が三名体制となり、仕事が過密で上司に改善を申し入れたが、対応してくれない。二のところで見ますと、九時半から十二時半の勤務時間を三十分短くされ、十二時にタイムカードを押してから残業しろと言われる。就業規則を勝手に作って、無期契約から有期雇用に変更された。八百五十円で七時間でパートで働いてきたが、三月から午前十時から午後六時勤務を午後一時半から夜八時半の遅番勤務にされて、時間も三十分短縮され、夜が家事に響くので、食事代もカットされ、同僚がたくさん退職した。その後は学生アルバイトがやっているというような、挙げたら切りがないほど労働条件の、ただでさえパートタイムの人たちは労働条件悪いのに、その上にまた更に労働条件を引き下げられるという実態がたくさんあります。

○福島みずほ君 長谷川参考人にお聞きをいたします。
 先ほど周知性の件でお話をしてくだすったんですが、合理性についてお聞きをいたします。
 この委員会の中でも、厚生労働省は、合理性のチェックは労働基準監督署ではしていないということを明言をしたわけですが、結局裁判しか救済の対象はないんですねと言ったら、そうですというお答えだったんですが、労働就業規則に合理性があれば労働契約の中身になる、就業規則の不利益変更は一定の要件で合理性があればいいとした場合、最終的に裁判しか救済の対象がないわけですが、合理性の担保というのはどういう形でなされ得るのかとお考えなのか、教えてください。

○参考人(長谷川裕子君) 先ほど私が申し上げましたように、今の現状が何ら今回の契約法で変わるものでないと言ったのは、正に先生がおっしゃったように、労働条件の変更をやるときには、一つは基本的にはやっぱり労働者と使用者の合意がなければ変更はできませんね、契約変更はできないわけですよね。それから、それを就業規則でやる場合がいろいろ起きてきて紛争になるわけですけれども、労働条件の不利益変更をやると。そのときに、就業規則による労働条件の不利益変更をやったときに、それがどうなのかというのは全部訴訟で争われてきたわけですね。訴訟で争われてきた判決が出て、だから、先ほど言われた秋北バス事件から第四銀行事件までずっとあるわけですけれども。
 ただ、具体的にじゃ職場の実態で何があるかというと、賃金が四割下げられて六割になったと、六割になったんだけれども、でもこれはおかしいというふうに労働者は思いますよね。そういうときに、労働者は、一回目は会社でやると思うんですよ、おかしいおかしいと。それでも会社は曲げないと。それで、そのときに労働相談に行くと思うんですね。労働相談に行ったときにどうしましょうかねと言って、会社うんと言ったんですか、どうですかと言われて、いや、私はこれは納得しませんと。じゃ、これは、まあこれだと訴訟で争いますかどうですかと言って、訴訟で争ってきたのが現状だと思うんですよ。そういうのが何ら変わらないことは事実だと思うんですね。
 納得して、労働条件がこんなふうに四割カットされて六割になるということを納得すれば、それはそれで働いているんだと思うんですけれども。その合理性の判断というのは、ある意味では訴訟の場面に行けばこういうことですよということで、訴訟以外で話し合って解決する場合もあるだろうし、例えば都道府県の労働局に行って、労働局があっせんでやる場合もあるだろうし、それから労働組合に来たときに労働組合の相談された人が会社といろんな協議やることがある。その場面はいろいろだと思うんですよね。
 ただ、今回のやつは、その合理性の判断はじゃ最終的にはどこですかと言われたら、それは訴訟の場ですよねということは、私も同じだというふうに思いますけれども。

○福島みずほ君 伊藤参考人にお聞きをいたします。
 就業規則の不利益変更の裁判例は、いずれも残念ながら労働者の側が負けて合理性があると認められたケースであること。第四銀行の最高裁判決の要件を三つ減らしている、中身を今回の法案の中に盛り込んで三つの要件が落ちていると一見見れることなどあると私は考えているのですが、判例を積み上げてきたものを労働契約法案に盛り込むと、判例以上にはいかない、判例以下になってしまうという危惧を感じているのですが、判例は個別解決でよく獲得することができる。今回までは負けたけれども次は勝つかもしれない、それがこの労働契約法案が上限になってしまうという問題を考えているのですが、現場で判例が優先されていくことをどのように考えていらっしゃるでしょうか。

○参考人(伊藤みどり君) 私は、もう判例法理を盛り込んだからいいんだという、この考え方自体に反対です。
 そもそもパートタイムや派遣の人たちが裁判を起こすということはとっても大変なことです。女性たちは、例えばセクシュアルハラスメントの判例を何回も何回も裁判をやって負け続ける中で、少しずつ改善してきました。だから、判例というのは常に変わるものでなくてはならないと思うんですね。それを固定化したら、今度はその使用者が、じゃその要素を満たせば不利益変更ができるんだということを、すぐそこを悪用する人たちがとても増えてくるというのは、私は、現実でも今でもそういったことがほかの法律でも起きていますので、更にこの判例を使った使用者側の不利益変更が増えると思っています。

○福島みずほ君 生熊参考人にお聞きをいたします。
 今回、最低賃金法案の修正案に関して、産業別最低賃金に係る違反については罰則の対象から除外をしているわけですが、失礼、もっと正確に言い直します。今回の最低賃金法案は、産業別最低賃金に係る違反について罰則の対象であることを除外しているわけですが、これについて問題があると考えますが、いかがでしょうか。

○参考人(生熊茂実君) 最低賃金が法律で決まるというのは、言ってみれば賃金を強制力を持っている法律ってこれしかないわけですよね。それが、産業別最賃だろうが地域別最賃だろうが、それを違反した者に対して罰則を行わないということは、それは強制力のある最低賃金法とは言えなくなる。そういう面で私は、除外するというのは間違いではないかというふうに思っています。

○福島みずほ君 長谷川参考人にお聞きをいたします。
 過半数代表制度の中で民主的な選挙が十分に確保されているのかという地方連合からの声も上がっていたと書かれておりますが、この修正案でどうやって透明性や正当性を担保をしていくのかということについてどうお考えか、教えてください。

○参考人(長谷川裕子君) 先生、まず、今回のこの労働契約法には、当初、六月二十七日の段階までに盛り込まれた過半数代表による合意だとか、それから労使委員会の合意によって合理性を推定するという項目は削除されていますので、もし、先生の今のおっしゃる御質問は労働基準法の過半数代表の話でしょうか。

○福島みずほ君 はい。

○参考人(長谷川裕子君) だとすると、私どもは今の過半数代表には問題があるというふうに思っています。過半数代表をどのように選ぶのかということについて明確でありませんし、それから、一人だけというのが本当にいいのかというふうなことも問題だと思っていますので、私は、最近の雇用就業形態の多様化の中で、我が国にも労働者代表制を取り入れて多様なる労働者の意見を聴くという、そういう仕組みをつくった方がいいのではないかというふうに考えております。既に連合は労働者代表制法案骨子も出しておりますので、多様なる労働者の意見を聴く、そういう仕組みを日本でもつくるべきだというふうに考えています。

○福島みずほ君 では、長谷川参考人にお聞きをします。
 今回の労働契約法案ではそこまでいっていないので、今後とすれば、様々な、本当は労働組合の合意が必要だというふうに私はした方がベストだとは思いますが、どういう人の、どういう労働組合のどういう意見聴取をしたかどうかということについて、今後検討の余地が大いにあるのではないか、正当性や透明性の担保をするために必要ではないかという点についてはいかがでしょうか。

○参考人(長谷川裕子君) 今回の労働契約法には、さっき言いましたように、合理性の推定に労働者代表の関与がございませんので、この話は別にして、現在、広く労働法の世界に登場している過半数代表ですね、まず三六協定の過半数代表から始まって、直近では高齢者雇用安定法の労使協定のときに、過半数代表など六十、七十項目ぐらいあると言われているわけですけれども、その過半数代表についての選び方については、私はやっぱり、ドイツなんかは四年に一遍に労働者代表選挙を全国的に展開するわけですけれども、そういうふうに従業員代表をいろんな分野から選ぶような、そういう選挙制度を、労働者代表制をつくるということが必要なんではないかというふうに見ます。
 是非、機会があったらば、連合の労働者代表制について御披露させていただける機会があればいいと思います。私どものやつは、正規の労働者も、それから契約の労働者もパートタイム労働者からも、物によっては、要するに内容によっては派遣労働者とか請負労働者からの意見も聴取できるような、そういう仕組みにしてあります。そうすればいろんな方の意見を吸い上げることができるというふうな形にはしてあります。是非我が国でそういう制度をつくるべきだというふうに思っています。

○福島みずほ君 長谷川参考人に再びお聞きします。
 この労働契約法の就業規則の不利益変更の条文では労働組合等というふうになっているわけですが、その部分についての解釈についてはどうお考えでしょうか。

○参考人(長谷川裕子君) 審議会の中で議論したときは、恐らく今回の参議院のこの委員会の中でも、前回の委員会で質問に対する答弁にも出ていると思うんですけれども、第四銀行事件の労働組合とのという、そういうところを引用しました。だから、労働組合等というのは、労働組合といったって一杯あるわけですからね。労働組合及び従業員の意見を聴くというふうなことだというふうに私は理解しておりますけれども。

○福島みずほ君 荒木参考人にお聞きをいたします。
 例えば、届出でない就業規則は労働基準法違反であるものも入っているでしょうし、合理性の担保は労働基準監督署に届けられているものについても、合理性があるというものも、でないものも多く含まれていることは御存じのとおりだと思います。だとすると、合理的なものが労働契約の中身になるというのは非常にやはり現実的に難しいのではないか。というのは、合理的でないものもたくさんあるわけで、先ほども私が言いましたように、裁判でしか争えないわけですよね。ということについてどうお考えでしょうか。

○参考人(荒木尚志君) 現在、裁判所で通用しているルールが、合理性のある就業規則は労働者を拘束するというルールでございます。それが裁判にならない限りは分からないではないかと、そういう御質問だというふうに考えます。しかし、現実に裁判所を支配しているルールはそういうことでありまして、私はより問題なのは、合理性があると、合理性がなければいけないということが周知されていないことの方がより重大な問題だというふうに思います。
 たまたま、先ほど東武スポーツの事件が話題になりましたのでその関連でいいますと、これは正に無期契約を就業規則で有期契約に変えると、そういうような事案でした。ところが、これが訴訟になりましたところ、使用者の方は就業規則の一方的不利益変更は有効であるという主張はしないというように主張を撤回しているわけです。
 すなわち、今大事なことは、就業規則の不利益変更には合理性が必要なんだということが国民に知らされることが大事でありまして、そうでない限りは同じように不合理な就業規則を変更してそれを事実上労働者に押し付けるような状況が改まらない、そういうことになってくるというふうに考えますので、現状を改善するためにもこの契約法のようなルールを定めることの必要性があるというふうに私は考えています。

○福島みずほ君 私は就業規則の不利益変更には合理性が必要だというキャンペーンを厚生労働省がやればいいのではないかと個人的には思っております。
 生熊参考人にお聞きをいたします。
 もし本当に労働者の権利を守るということであれば、労働契約法が一般的に必要であることは私も認めますが、むしろ、労働基準法を強化する、あるいはその労働基準法のキャンペーンをきちっとする、あるいは労働基準法違反の就業規則は認めないというふうにするということなどで労働者の保護をすべきではないかというふうに考えますが、いかがですか。

○参考人(生熊茂実君) 私も、労働契約は労働者の保護というふうな面、まあ目的がそうされていますけれども、実質上はそうはならないという非常に懸念を持っています。そういう面で、今おっしゃられたように、労働基準法の強化あるいは抜本的改正によって労働者を守るということが大事なんだろうというふうに思います。
 ちょっと申し訳ないですが、合理性の問題、先ほどお話ありましたけれども、やっぱりいろんな形で、例えば経営が本当に厳しければ労使で十分に話し合って賃金を下げるということもあり得るわけです。それはやっぱり本当の意味で労使で十分に協議とそれから合意がなされれば、それがある面では本当に合理性ということになるんではないか。法律で一律的に合理性というふうなことを簡単に決める、そんなことはできないでしょうし、就業規則によって合理性があるものは変えてもいいんだと、こういうふうにすることは許されないんではないか、そういうふうに思っています。

○福島みずほ君 私はあと一分しか、三十五分までなので、では伊藤参考人に一分間だけ、現状のワーキングプアや女性の現状について一言お願いします。

○参考人(伊藤みどり君) 最近、貧困の問題が言われていますけど、貧困の質がもうかつてとは全然変わってきた。例えば、パートタイムの人たちは、以前だったら賃金が安くても労働時間が短いということがあったと思うんですけれども、今賃金が安い上に責任が重い、残業もある、有休も取れない、配転もある、責任を持たされる、そして、貧しくて生活できない、労働時間も長い、本当に働いても働いても生活できないという。だから、貧困の質が全く変わってきたということをもっと強く皆さんに認識してもらいたいというふうに思います。

○福島みずほ君 終わります。ありがとうございました。


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