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2007年

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参議院 法務委員会 2007年06月13日

◆犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に関する参考人質疑


◆犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に関する参考人質疑◆


 

◆犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に関する参考人質疑◆

○福島みずほ君
 社民党の福島みずほです。今日は四人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。
 まず初めに、細田参考人にお聞きをいたします。
 攻撃、防御というか、訴訟の構成ということなんですが、例えば傷害致死が訴因で争われている。ただ、先ほど業務上過失致死傷の話でもありましたが、遺族の人はやっぱり殺されたという思いなどがあるので、交通事故でも殺した娘を返せというふうになるわけですね。
 そうしますと、訴因とすれば傷害致死、あるいは場合によっては業務上過失致死だったのが、最後に論告求刑で、娘を殺したな、なぜ殺したのかと言うと、訴因はそこでは殺人に変わってしまう。そうすると、何を対象物としてその公判廷で争っていたのかが変わっていってしまうのではないか。それは、本当は公訴事実の同一性の下に訴因変更をするとかいう手続を取らないと攻撃、防御というのはできないわけですけれども、でも普通の人は、子供がいなくなったり身内が死んで、あるいはいろんなことで悲しい、苦しい、自分も傷付いたと思っているので、傷害致死と業務上過失致死と殺人と、やっぱりその辺は厳密に何が訴因かというようなことではないと思うんですね。
 とすると、ちょっと長くなって済みませんが、その訴訟物、訴因が動いてしまうということが、今までの公判廷の訴因を対象にこれが立証できるかできないかとしていたことが変わってきて、攻撃、防御が変わってくるんじゃないか、崩れるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○参考人(細田初男君)
 そういう弊害があると思われたのだと思うんですが、訴因設定権までは、今回の法案で設定権までは認めておりませんので、検察官が設定した範囲の中で被害者の方が参加していく、意見を述べるということなんですが、その枠が被害者の方だと意見を述べる際にどこまでなんだというのがはっきりしないということがあると思うんですね。仮に、公的支援の弁護士で私どもが付いたとして、そこで上手にアドバイスできるかどうか。いや、しかし先生、やっぱり業務上過失致死も死刑を求刑してくれと言われた代理人が、そこで被害者の方と意見の衝突によって解任されるとか、あるいは懲戒問題になっちゃうとか、ちょっと悩むところはあります。

○福島みずほ君
 法廷はやっぱりライブというか生き物なので、裁判をやれば民事でも刑事でも打合せどおりに証人がしゃべらないということは弁護人としてはやっぱりあるわけで、何が飛び出すか実は分からない。そうすると、論告求刑の際に、やはり法定刑はここまでだし、訴因はこうなのでここまでしか言えませんよと言われても、それはやっぱり気持ちというのが出てくるかもしれない。  例えば私自身も、セクシュアルハラスメントや強姦やドメスティック・バイオレンスの被害者の女性の実は弁護や代理人を多く務めてきたので、そうすると、彼を一生刑務所に閉じ込めてくれと言う人が多いわけですよね。気持ちはもう三〇〇%分かる。しかし、それは全員を無期懲役にはできないわけですし、難しいというところでどうやって裁判をやるかという問題で、そうだとすると、論告求刑でやっぱり法定刑は、だって気持ちはやっぱり幾らこう言われていてもそれを超えることだってあるわけですから、その辺についてはどうお考えでしょうか。

○参考人(細田初男君)
 現在の法案には、被害者の方の意見を述べるということで、求刑というふうに、これは検察官の論告求刑と同じような条文ですのでやっぱり求刑なんですよね。求刑はいかがなものかという意見、結構あります。それで、今の意見の中では求刑にこだわられる意見というのは、その求刑が象徴的意味を持つ、つまり応報の象徴的意味を持つ、そういうのでこだわられているのではないかなというふうには思っておりますが、求刑まではどうかなというのが率直な御意見でございますが。

○福島みずほ君
 後藤弘子参考人にお聞きをいたします。
 書いていらっしゃることの中に、法案を読むと、被害者参加人は最後に検察官の求刑のときに意見を言えるけれど、それは証拠として扱わないと書いてあると、感情面だけ裁判員にアピールをということでしょうかという部分があるんですが、そこについてちょっと話をしていただけますか。

○参考人(後藤弘子君)
 先ほどから求刑の話が出てきておりますが、基本的にはやっぱりそこの最後に、参加された方に対して何か言っていただくということがこの制度の主眼だというふうに思っております。
 そうしますと、大変失礼な言い方になるかもしれませんけれども、そこまで参加されたということに対してある意味尊重するということで御意見を伺って、ただ、御意見は伺うけれども、やはりあくまでも訴因を設定した検察官が行った論告求刑を前提として判断するということで、意見は言えたけれどもそれが反映するという形にならないような制度になっているおそれもあるのではないかという意味でそういうことを書きました。

○福島みずほ君
 細田参考人が先ほど、日本の裁判員制度は量刑まで決めるという点、それから死刑制度が日本にあるという点について言及をされ、後藤参考人も死刑制度のことを言及をされました。もう一つ、私は、この間、拷問禁止委員会が日本政府に勧告を出した代用監獄の制度など、量刑の点まで判断する、死刑制度がある、代用監獄の制度がある、この三つが日本の中の特色としてこの制度を動かしていくだろう、変えていろんな影響を及ぼすだろうというふうに思っています。
 ヨーロッパは御存じ、死刑が廃止をしていますので、私もヨーロッパ評議会で死刑についてのことで意見を述べる機会がありましたけれども、死刑制度がある日本で論告求刑はやはり、遺族の気持ちはもう本当にやはり極刑にしてほしいというふうにすごく思うんではないか。そうするとヨーロッパで、死刑がない国のヨーロッパでの被害者や遺族の参加と日本の参加は違ってくるんではないかという点について、後藤参考人、いかがでしょうか。

○参考人(後藤弘子君)
 その点につきましては先ほど述べさせていただきましたように、やはり参加して応報的な感情を十分に述べたとしてもそれが死刑には結び付かないという、そういうヨーロッパ型の参加と、日本のように事実認定手続と量刑の手続が明確に二分されていない、そういう制度の中で行われる場合とでは、おのずから差があるというふうに思います。
 ですから、日本の方がより、先ほどから問題になっていますように、重い刑へとシフトしていく可能性を秘めている、そういう制度になるおそれが高いというふうに思います。

○福島みずほ君
 富山の冤罪事件や様々な冤罪事件が今問題になっておりますが、例えば性犯罪などだと、怖くてやっぱり顔をよく見ていなくて、あの人らしいとか、面通しであの人だと言って、結果的に極めて残念ながら冤罪だったということがあるわけです。それはそれだけが理由ではもちろんないわけですけれども、そうだとすると、今回の論告求刑も含めて、被害者がある種検察官と、一体ではないけれども一部を担って論告求刑をやって、結果的にそれは最終的に冤罪だったとなると、真実の発見とかということに一体これはどうなるのかという点ついて細田参考人、いかがでしょうか。

○参考人(細田初男君)
 ありがとうございます。  二点ほどちょっとお話ししたいんですが、一つは、刑事裁判が始まる前の捜査過程、可視化の問題が今言われておりますが、実は拷問禁止条約の審査で日弁連なんかも行きまして、周防監督の「それでもボクはやってない」という映画を上映したんです。あれは割とリアルなんですが、本当にこれで先進国なのかという、審査に当たった委員たちからの声が出まして、見直すべきだ、例えば二十三日間代用監獄における取調べ時間とか期間とか、一年以内に是正すべきだと強い意見が出ました。
 そういう結果、今度は刑事裁判に入ってくるわけですが、おっしゃるように、痴漢冤罪というのが割と無罪率高いですよね。痴漢は普通は軽犯罪法なんですがちょっと度が過ぎると痴漢でも強制わいせつになるんですね。被害に遭ったという被害者が法廷でやり合って無罪になったときに、その人はどういう責任を取るのかという大変悩ましい問題があるというふうに考えています。

○福島みずほ君
 細田参考人に、先ほど弁護士会の意見書の話がありましたが、正直、裁判官、検察官、弁護士の人たちは今のような制度でいいと言っているのでしょうか。

○参考人(細田初男君)
 この法案ですか。

○福島みずほ君
 はい。

○参考人(細田初男君)
 弁護士会はやっぱりこういう意見書のとおりでございます。
 公式見解はともかく、あちこちでプライベートな会話をしますと、大変だという、何とかならないのという、そういう会話を私の知り合いとはよく交わしております。

○福島みずほ君
 それは弁護士以外の方ででしょうか。

○参考人(細田初男君)
 法曹三者の間の会話です。

○福島みずほ君
 具体的にどういうものか、差し支えなければ教えてください。

○参考人(細田初男君)
 ちょっと、申し訳ありません。

○福島みずほ君
 分かりました。はい、分かりました。失礼しました。
 今日は、高橋参考人にお聞きをいたします。
 なかなか、まだまだ法律ができても被害者の人たちのケアやいろんな情報提供が極めて不十分だということを改めてまた今日証言してくだすってありがとうございます。先ほど後藤参考人も途切れのない援助が必要だとおっしゃったわけですが、それが、いろんな場面で援助も不十分だし、切れているということなどもとても実感をいたしました。
 今度、裁判員制度になれば、一日で例えば法廷が終わってしまうとか、争いがない場合。そこで論告求刑までやるとしても、なかなか手続が理解できないまま意見だけ言わなくちゃいけないとか、よく中身を知らないで遺族や被害者の人が言わなくちゃいけない、準備不足のまま、先ほども苦労して資料入手されたとおっしゃったんですが。
 やっぱり、被害に遭った時点からずっといろんな形での情報の提供やケアやいろんなことがなければ非常に不十分というか、被害者のサポートとしてもまだまだ問題があると思いますが、その点についてお聞かせください。

○参考人(高橋シズヱ君)
 もちろん、これはもう既にスタートした犯罪被害者等基本法、基本計画の中の一つとして行われるのであって、ほかの支援も同時に同時進行するという、充実していかなければいけないものだというふうに思っています。

○福島みずほ君
 ありがとうございます。
 細田参考人に、被害者の方たちの例えば求刑やそういう問題についてどうお考えか教えてください。

○参考人(細田初男君)
 求刑はやっぱり行き過ぎだというふうに思います。

○委員長(山下栄一君)
 もう一度おっしゃってください。

○参考人(細田初男君)
 求刑はやっぱり行き過ぎだというふうに思います。

○福島みずほ君
 後藤参考人に、あるべき被害者救済制度について、かなり教えていただいたんですが、こういうことをもっとやるべきだということについて御教示をください。

○参考人(後藤弘子君) やるべきことは数多くあると思います。
 刑事裁判の参加という点に絞ってお話しさせていただけば、やはりそれは先ほどから出ていますように、検察官との密な、密なだけではなく、裁判に参加するすべての専門家たちが被害者というのはどういう存在なのか、そして被害者が必ずステレオタイプではないというようなことをきちんと理解した上で対応していくと、そのことがとても重要だと思います。
 そういう意味では、今回の参加制度に関しましては、検察官が被害者参加に対してはかなり手厚い対応をされるということが予定されていますが、それと同じ程度の手厚い対応をすべての犯罪被害者に行う、それが私は理想的な被害者参加の制度であるというふうに思っております。

○福島みずほ君
 あと一分ありますので、後藤参考人に、死刑制度のことについて先ほどおっしゃいましたが、あと、刑務所が満杯になるんじゃないかということをおっしゃいましたが、その懸念について一言教えてください。

○参考人(後藤弘子君)
 死刑を例えば求刑したいと、それは被害者のお気持ちとしては当然だというふうに思います。ただ、現実的に、すべての事件について死刑ということが言い渡すことができない以上はそれ以外の刑罰を科さざるを得ない。そうしますと、勢い刑務所にその人たちを収監せざるを得ない。そこで教育を充実させることが、被害者の方が多く望んでいらっしゃるのが、やはり二度と自分と同じような被害者を出してほしくないというお気持ちは皆さん共通にお持ちだと思います。そういう意味では、更生に対する期待というのは真実発見に対する期待と同様に被害者の方がお持ちだというふうに理解をしております。そういう意味では、刑務所での処遇の充実というのが図られなければ被害者の方のお気持ちにこたえることはできないというふうに考えております。

○福島みずほ君
 ありがとうございました。


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