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2007年

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参議院 厚生労働委員会 2007年05月31日

◆雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案に関する質疑・反対討論


◆雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案に関する質疑◆
◆雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案に関する反対討論◆


 

◆雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案に関する質疑◆

○福島みずほ君
 社民党の福島みずほです。
 法案の一条で、現行法では「国民経済の均衡ある発展」、これが「国民経済の均衡ある発展」と「完全雇用の達成」という二つあるんですが、これが削除になっています。「国民経済の均衡ある発展」を削除をなぜしたかという点は、先日、櫻井委員が質問されましたけれども、改めてお聞きをいたします。「均衡ある発展」の「均衡」、これを削除した理由は何でしょうか。

○政府参考人(高橋満君)
 今回の法改正案におきましては、人口減少等の中で今後とも我が国の経済社会の安定等を図るという観点を明確にする必要があったということと、他の労働関係法令の規定ぶりも参考にしながら、「経済及び社会の発展」という文言を付け加え、今御指摘のような「国民経済の均衡ある発展」ということが削除されておるわけでございますが、ただ、従来の地域あるいは産業などの視点から見た国民経済の均衡ある発展という概念、これをも含んだより広い概念として私どもはとらえておるところでございます。

○福島みずほ君
 均衡ある発展ということと発展ということは違うように思います。発展というのはどこか発展すればいいんですが、均衡ある発展というのはやはり地域間の格差是正や均衡という概念が入っています。なぜこれを落としたのか。

○政府参考人(高橋満君)
 繰り返しの答弁になりますが、そうしたこれまでの地域や産業などの視点から見た国民経済の均衡ある発展、こういうことをも含んだ広い概念ということで経済及び社会の発展という形で表させていただいたということでございます。

○福島みずほ君
 経済及び社会の発展ということと均衡ある発展というのは違う概念です。でも、答弁がそのとおりですと、法案は均衡という言葉が削除されたけれども、均衡という概念を当然含んでいると。地域間の不均衡の是正ということ、これは厚生労働省としてもきちっと努力するという確認をさせてください。

○政府参考人(高橋満君)
 今回のこの改正法案の第四条第一項第十一号で、国が講ずべき施策ということで、「地域的な雇用構造の改善を図るため、雇用機会が不足している地域における労働者の雇用を促進するために必要な施策を充実すること。」と、こういうふうに書いてございまして、正に地域間のバランスある発展ということをも念頭に置いた国として講ずべき施策を掲げたというものでございます。

○福島みずほ君
 バランスある発展と均衡ある発展は概念が違います。均衡というのは、やはり格差は良くない、均衡ということはちょっとバランスという概念とは違うわけですね。
 改めて、均衡ある発展ということ、国民経済の均衡ある発展、これは厚生労働省としては努力するということでよろしいですね。

○政府参考人(高橋満君)
 当然、私どももそういう観点から努力をしていくと。

○福島みずほ君
 第一条の、「労働市場の機能が適切に発揮され、」というふうになっています。これは、「労働市場の機能が適切に発揮され、」ということはどういうことでしょうか。つまり、規制改革会議労働タスクフォースなども、労働市場の機能が適切に発揮されると。これはある意味、均衡ある発展がなくなって労働市場の機能が出てきたことで、ある種、労働市場主義、自由競争原理の強化に切り替えたのではないかとすら思えるのですが、この点いかがですか。

○政府参考人(高橋満君)
 この点、先ほどもお答え申し上げたところでございますが、一般に労働市場の機能と申し上げるときに、一つは外部労働市場、企業の外での需給調整を図る機能と、それから企業の中で労働者が安定的に働けるようにするようないわゆる内部労働市場の機能と、こういう二つの概念があろうかと思います。
 それで、雇用対策法におきましては、正に労働者がその有する能力を有効に発揮できるようにすることを目的といたしておるわけでございますが、そのために需給の均衡を促進する、その前提として労働市場の機能が適切に発揮されると、こういうことであるわけでして、私どもとしては、外部労働市場という観点からいえば、職業紹介や労働者派遣と労働力需給調整のルールが適切に設定また遵守されると。また、内部労働市場という観点からいえば、企業の中で職業能力の開発及び向上あるいは雇用の継続等が図られるといったことなどを通じまして、適切にこの労働市場の機能が発揮されるということを期待しておるものでございます。

○福島みずほ君
 では、改めて聞きますが、この労働市場の機能が適切に発揮されということは、規制改革会議労働タスクフォースなどと方向は同じではないということでよろしいですね。

○政府参考人(高橋満君)
 今申し上げたような趣旨にかんがみて、規制改革会議の労働タスクフォースの意見の内容という点を見ますと、労働政策の在り方としては、相当納得できない点が含まれておるという意味では、私ども、今回の改正はこのタスクフォースの意見書とは同一の方向性のものではないと考えております。

○福島みずほ君
 OECDの対日審査報告書それから国連のESCAPの報告書によっても、日本においてジニ係数が大きくなっていること、正社員と非正社員との給料の格差があること、若い世代で非正社員の数が増えていること、正社員への移行が難しいこと、雇用者は企業の利益に比べて給料が増加していない点などが指摘されています。ESCAPの指摘を大臣はどう受け止めますか。

○国務大臣(柳澤伯夫君)
 御指摘のESCAPの報告につきましては先日発表をされたところでございますが、日本の経済社会の現状に対して様々な分析がなされているものと認識をいたしております。
 一方、日本経済の現状を見ますと、足下では景気の持続的拡大や、政府がこれまで講じてきた各般にわたる雇用対策の効果によりまして、完全失業率の低下や正規雇用者数の五四半期連続の増加や、さらには新規学卒者の就職内定率の改善など、状況の改善が着実に進んでいるところであります。
 したがいまして、私どもといたしましては、本日御審議いただいております雇用対策法及び地域雇用開発促進法を始めとして、一連の労働法制の整備に全力で取り組むことによりまして、これら雇用面におきます改善の動きを確実なものとしてまいりたい、このように考えております。

○福島みずほ君
 先日の発表でも、パートや派遣社員、非正規社員は六十三万人増、千七百二十六万人、ついに三三・七%に達したということが発表をされました。このように、雇用がESCAPやそれからOECDの報告書で指摘されるひどい労働の劣化が生じていて、これは取りも直さず、労働法制、厚生労働省、政府の政策の根本的な誤りがあるというふうに考えております。これは是非、現時点においても非正社員が増え続けているということはやっぱり改善が持たれていないと、これから労働法制の根本的な転換をしない限りこの改善はないというふうに考えますが、いかがですか。

○国務大臣(柳澤伯夫君)
 確かに非正規雇用者も増加いたしまして、この割合としては増加ということになりましたが、同時に正規雇用者も増加をいたしております。非正規雇用者の増加の非常に大きな部分が女性によって占められているということをどう考えるかということもあろうかと思いますけれども、いずれにいたしましても、このようなことで雇用全体が増えている、正規雇用者も増えている、しかしまた非正規雇用者も増えているという状況でございまして、委員御指摘のように、雇用市場の全部の局面において劣化が進んでいるというような見方を私どもはいたしておりません。

○福島みずほ君
 OECD報告書、それからESCAPの報告は、日本の中において二極化の拡大や非正規労働者の拡大、パートタイム労働者の低賃金など、格差拡大の原因としてきちっと指摘をしています。それをどう克服していくかということが政府にも立法にも期待をされているところであり、格差の是正の方向をやるべきであるというふうに思います。
 次に、先日、外国人雇用状況の届出について質問しましたが、再度お聞きをいたします。
 厚生労働省の外国人雇用者についての情報は、離職した際に廃棄されるということでよろしいでしょうか。再就職をした際には前の職場の情報は厚生労働省に残っていないという理解でよいでしょうか。

○政府参考人(岡崎淳一君)
 外国人雇用状況報告につきましては、基本的に雇用保険の得喪届の中で在留資格等を外国人の場合には付加して出していただくと、こういうことにしています。
 これのうち、企業ごとに就職、離職の状況、これは在職期間中は企業ごとにどういう方がそれぞれの企業で働いているか、これを管理していくわけでございますが、一方、個人の情報としましては、これは日本人も同じでございますが、雇用保険の情報としてその後の再就職支援とか職歴に基づきます様々な支援その他に使うという意味におきまして、それは日本人の場合と同じような形では残っていると、こういうことになります。

○福島みずほ君
 日本人と同じように情報が残る。

○政府参考人(岡崎淳一君)
 残ります。雇用保険の情報として取っておりますので、そういう意味においては残ります。
 企業ごとの雇用管理の状況としては、それは離職した時点でその管理が終わると、こういう状況になります。

○福島みずほ君
 厚生労働省から入手した情報は、法務省は離日した際に破棄されるのか。また、再来日することもありますが、その際には以前の情報は破棄されているという理解でよろしいのでしょうか。また、再就職した際には前職場の情報は法務省で保有されるのか、廃棄されるのか。法務省、いかがでしょうか。

○政府参考人(稲見敏夫君)
 お答えいたします。
 厚生労働省さんから提供を受けました情報につきましては、出入国審査、在留審査、退去強制手続などの各事務ごとに情報提供を求めました目的が終わるまで保有し、保有する必要がなくなったときは、出国、再就職といった事実の発生と関係なく速やかに廃棄するということになります。
 それから、御質問の再度来日したときに以前の情報は既に廃棄されているのか、あるいは再就職した際には前の職場の情報は廃棄されているのかという点につきましては、私どもが提供を受けました大多数の情報は御質問の時点、再来日あるいは再就職の時点のその前に廃棄されていると考えております。
 大多数と申し上げましたので、例外があるわけでございます。若干細かくなりますが、例外として想定される点、二点ほど御説明いたしますと、一つは、いただきました情報に基づきまして退去強制手続違反調査を開始した、そのときから時間が当然違反調査でございますので掛かることがある、その間に再就職された。この場合には、再就職の情報がありましても前の情報は私どもは保有させていただきます。これが一つ。
 それからもう一つは、退去強制をいたしました、その情報に基づきまして退去強制をしたということになりますと、これは私どもの処理の上ではその退去強制をいたしました外国人の個人記録の中に編綴いたします。この場合には、その個人記録としての廃棄期限に従って処理をするということになります。
 でも、委員御案内のとおり、退去強制した人間につきましては上陸拒否期間がございますので、大半の場合は再度の来日の前に廃棄することになるんですが、これも御案内のとおり、上陸拒否期間でございましても、特別な事情がある場合には上陸特別許可を与えるということがございます。この場合には、再来日のときも情報を持っているということが起こり得ると、こういう例外的な場合はあると想定しているところでございます。
 以上でございます。

○福島みずほ君
 書類の中に入れていくわけですよね。そうすると、それはかなり実は残って編綴されていくのではないですか。可能性としてはまた再来日することもあるわけですから。

○政府参考人(稲見敏夫君)
 委員御案内のとおりで、年間私どもが退去強制取っている件数、五万六千件でここ数年推移しております。そのうち、今後のことになりますが、厚生労働省さんからいただきました情報に基づいて退去強制手続が取れるものがどのぐらいあるかということになるわけでございまして、そんな大量な案件、それはあれば大変でございまして、全部逐一対応してまいりますが、そんな大量な案件になるとは考えていないところでございます。

○福島みずほ君
 根本的な質問ですが、法務省はなぜ厚労省に情報の提供を求めるのか、厚労省はなぜ法務省に情報を提供するのか。

○政府参考人(稲見敏夫君)
 私ども、御案内のとおり、適正な在留管理、所管しております。また、その中で今政府全体で取り組んでおります不法就労対策、不法残留対策という観点からも情報をいただきたいということでございます。

○福島みずほ君
 厚生労働省は、厚生労働という観点からこの管理というか、外国人に関しては届出制度を今回初めてきちっと採用するわけですね。
 とすれば、法務省の入管局における不法就労対策は、今までパスポートやいろんな形の入管法の改正をおやりになってやっているわけで、厚生労働省が行うこの制度によってそれを法務省にやはり上げるという、要するに、はっきり言えば入管の下請として厚生労働省が働くというこのシステムはやはり理解ができないのですが、法務省は法務省として不法就労対策をやればいいわけじゃないですか。

○政府参考人(稲見敏夫君)
 今、政府挙げて不法滞在者、不法就労者の削減に取り組んでいるところでございます。もちろん、年々効果は出ておりましてその総数は減少しておりますが、直近のデータ、今年の一月一日現在でございますが、いわゆる在留期間を徒過して不法に在留している者、不法残留、これは電算である程度検索ができるんですが、これが十七万、それからあと船舶等で密航してくる者、これが約三万、合わせて二十万の不法滞在者がいると推測しております。
 この二十万のうちの大半の者が不法就労に従事しているということでございますんで、まだまだ、政府全体、私どもとしましては、厚生労働省さんを始めすべての省庁と連携いたしましてその削減に努めていく必要があると考えているということでございます。

○福島みずほ君
 今の答弁によっても、不法就労対策のいわゆる現場として厚生労働省がこの届出制度を採用するんじゃないか。それはやっぱり厚生労働省としてどうなんだろうか。しかも、この間の答弁で、常識によって判断をすると、外国人かどうか、というのがありました。それも、大変、外見上あるいは日本語能力から見て明らかに外国人であっても日本国籍の人は相当います。外見で判断させることは差別の助長であり、日本が批准している人種差別撤廃条約に抵触するおそれがあるのではないですか。

○政府参考人(岡崎淳一君)
 各国ともそうだと思いますが、それぞれ在留資格等を定めまして、その範囲内で外国人の場合は就労できると、こういうシステムを取っています。諸外国におきましても、届出をするかしないかとかいろんな差異はありますけれども、やはり外国人を雇う場合には在留資格等をちゃんと確認して雇うようにと、それぞれいろんな形で制度化されております。我が国においても、そういうことを今回きちんと法律で定めまして、就職の際には、外国人の場合には在留資格を確認してそれを更に届け出てくださいと、こうしたわけです。
 したがいまして、そういう意味におきまして、だれが外国人かというのはその前提にあるわけでございますが、これはそれぞれ通常の判断力でもって基本的にはまず判断していただくということにならざるを得ないんではないかと思っていますし、そうしたからといって、それが人権条約等々に違反するということにはならないんではないかというふうに考えております。

○福島みずほ君
 在留資格を確認をして人を採用するという問題と、それを厚生労働省に必ず届け出なくちゃいけない。それが、場合によっては罰則の規定によって左右されるという、ここが問題だと思います。
 外国人を採用する場合に在留資格を確認するということは従来の政策上も一応まあ分かるわけですね。ところが、今回のポイントはそれを全部届け出させて、事業主にですね、すべての事業主に特別在留許可以外の人たちについては全部届けさせて、それが法務省の求めに応じて出すという、ここの仕組みを新しく導入している点が全く違うと思います。だから、なぜ日本人でやらないことを全部やるのかというところがこの法案は全く理解ができません。
 厚生労働省は、外国人雇用状況届出制度によって外国人就労の実態が分かれば労働条件や労働環境の改善が図られると答弁しています。では、今の時点で就労実態が完全に把握できている外国人技能実習制度において、なぜ人権を無視した労働環境が放置されて、労働環境が悪いのでしょうか。

○政府参考人(奥田久美君)
 外国人研修・技能実習制度につきましていろんな問題が起きているわけでございますけれども、まず、研修生の身分の間のいろんな問題がございます。これにつきましては、現行の制度ですと労働法の保護が及ばないということがございまして、そういった問題が起きているということがございます。
 それから、実習生の段階になりましての問題につきましては、先ほど小池議員の議論の中にもございましたけれども、実習生が置かれている状況、言わば多大の管理費を払っているというふうなことで、第一次受入れ機関に不正があった場合には自分たちも強制退去させられてしまうというようなこともありまして、なかなかそういったことを監督署に申出ができないというようなことも事情としてあるのではないかというふうに思っているわけでございますけれども、そういったようないろんな状況の下で、先ほどお答えをいたしましたけれども、不正が起きないようにということで各種の対策を講じているところでございます。

○福島みずほ君
 この外国人雇用状況届出制度が外国人の人にとって何かメリットがあるかとやっぱり根本的に疑問に思います。きちっと把握をされている外国人技能実習制度においてむしろ労働環境が悪く、放置されているわけですね。自分たちの実態を把握してもらえれば、じゃ労働環境が改善するのかと、その担保が実はないというふうに思います。
 法務大臣が求める情報は、入管法、外登法に定める事務の処理に関し、外国人の在留に関する事項の確認のために限定されるといいますが、これは極めて広範な範囲となり、限定がないに等しいと思います。法務省から要求され、厚生労働省が情報を提供するに足る理由について、基準をきちっとお示しください。

○政府参考人(岡崎淳一君)
 これは、私ども厚生労働省としましては、法務大臣からの求めに応じて対応するということでありますので、法務大臣の方から、今先生の読み上げられました、要するに入管法等に定める事務の処理のために必要な理由、これを示していただいて、その理由を見た上でこの二十九条に当たっているかどうかを判断していきたいと、こういうふうに考えております。

○福島みずほ君
 いや、それが極めて広範囲なために、これ全部入るじゃないですか。外国人の在留に関する事項の確認のためって非常に広い。厚生労働省が把握している外国人の人たちの届出に関して法務省から言われたら、拒否できなくなりますよ、そうしたら。厚生労働省は自分たちのイニシアチブできちっと情報管理、個人情報保護法に基づいてやらないと、向こうが言ってきた基準に合わせるということでは、この法案、駄目ですよ。

○政府参考人(岡崎淳一君)
 法務省として入国管理、在留管理をする際にどういうことで必要かということは、まず法務大臣の方から示していただくというのが前提であろうと。それは、私どもの方で雇用対策法の二十九条に基づきまして適切に判断させていただくということだろうというふうに思っております。

○福島みずほ君
 法務省、基準を示してください。

○政府参考人(稲見敏夫君)
 詳細につきましてはこれから厚生労働省さんと協議させていただきますけれども、基本的に、情報提供を求める際につきましては、入管法で定める事務処理に必要な理由、これを示して、かつその提供を求める情報、例えば氏名、在留資格、在留期間というものをこれこれの理由で必要だから下さいというようなことで申し上げるということでございます。
 具体的に一つ申し上げますと、例えば外国人の氏名、在留資格、在留期間などの身分事項でございますが、これにつきましては外国人を特定するために必要不可欠な情報であるということに加えまして、その人物、当該人物が在留を認められている者かどうか、すなわち人物の成り代わりとかすり替わりがないかと。退去強制手続等において確認するために必要だから提供してくださいというようなことを申し上げて提供をお願いするということになろうかと考えております。

○福島みずほ君
 法務省は、顔識別機能だとかパスポートや外国人登録証で非常に努力を、いいか悪いかは別にして、されていらっしゃいますよね。こちらの、厚生労働省が持っている情報は、そういうものはないんですよ。どうやってその成り代わりや成り済ましの判断をするんですか。

○政府参考人(稲見敏夫君)
 一番簡単なのは身分事項を、私どもが承知しておりますのは、不法就労をする者の中にはいろんなブローカーにお金を払いまして、偽変造された外国人登録証明書等を使って不法就労しているという事実がございます。そこで使われている氏名は、はっきり言えばイミテーションのものでございます。私どもが正確に持っている実際のデータと突き合わせれば、成り代わり、成り済ましは分かってくるということでございます。

○福島みずほ君
 そうしますと、広範囲にそれをやるんでしょうか、個別にやるんでしょうか。

○政府参考人(稲見敏夫君)
 現時点ではそこまで、どういう場合にどの程度、まとめてとか個別にと、そこまでまだ細かく検討はしておりません。

○福島みずほ君
 だったら非常に問題です。すべての情報を提供しろといって全部照合するのか、Aという人物が問題になったときにやるのか、どの範囲でどう情報が共有されるのか、現時点で明らかになっていない。これ、国会で判断できないですよ。

○政府参考人(稲見敏夫君)
 ちょっと説明が不十分でした。個別に照会するということは当然にございます。それはもう前提にしている。
 包括的な場合につきましては、包括的な照会も当然あり得ると考えておりますが、具体的な場合、どの程度の範囲というのは今後検討させていただきたいということでございます。

○福島みずほ君
 重要な行政官庁間における、どういう情報が行くのかに関して、かように個人のプライバシーに関する情報がどういう範囲で行くのか分からない。個別の照合はさておき、包括的もあり得ると。どういうふうに、この法務省と厚生労働省、全く趣旨の違う官庁同士でどう情報が行くのか、本日に至るも全く明らかになっていません。これはやはり非常にブランクで、極めて個人情報保護法上、あんなに頑張って国会で議論をしたにもかかわらず、極めて問題です。情報が全部スルーしていくかもしれない、その可能性が今日の答弁であり、極めて問題です。全く納得することはできません。
 次に、外国人労働者の社会保険の加入状況が低いので、雇用状況届出制度を加入促進に役立てるとしています。しかし、雇用保険の届出は職安、社会保険は社会保険事務所、健保組合等と違います。通常、職安と社会保険は事務を共有していません。社会保険の点はどのように改善するのでしょうか。

○政府参考人(岡崎淳一君)
 これは日本人の場合も同様でございますが、最近は、社会保険と労働保険の適用につきまして、ハローワークと社会保険事務所は連携しながら仕事をしております。したがいまして、外国人の方につきましても日本人の場合と同様に、ハローワークでの把握した情報の中で未加入等の疑いがあるという場合には、社会保険事務所と協力しながら企業等に加入、適用を指導すると、こういう形でやっていきたいと、こういうふうに考えております。

○福島みずほ君
 外国人の人は、日本語はしゃべれても書くことが苦手とか、様々なハンディがあります。どうやって雇用の応援をしていくのか、ハローワークや職業訓練において、例えば言語の指導をする、日本語の教育指導をする、多言語で対応するという理解でよろしいのでしょうか。職業訓練に日本語教育も入るという理解でよろしいでしょうか。

○政府参考人(岡崎淳一君)
 ハローワークにおきましても、外国人専門に支援する外国人雇用センターも二つばかり置いておりますし、それ以外に外国人の方を支援するためのコーナー、そこには、その地域のそれぞれの状況に応じまして必要な言語の通訳等も置いているというようなことでありまして、私どもとしましては、それぞれのハローワークにおきまして必要な語学等の問題も含めましてきめ細かに対応していきたいと、こういうふうに考えております。
 それから、職業訓練等につきましても、必要な範囲で日本語の点を含めまして対応していきたいと、こういうふうに考えているところでございます。

○福島みずほ君
 最後に一言。先日、小池委員の方からレストボックスについての質問がありました。私も一言話を聞きたいと思います。
 これは、問題なのは、単に住居を借りれないんですよ、住居は借りれない。要するに、そのレストボックスに入るためには、雇用契約を結んでそこで働かなくちゃいけない、だからウ飼いのウみたいな形になっていて、自分は泊まりたいということができないんですね。ですから、これは強制労働を禁止している労働基準法違反となり得るのではないか。この点についていかがですか。

○政府参考人(高橋満君)
 宿泊事業を営みながら例えばそういう派遣就業等々にもあっせん等々行います場合、職業紹介事業の許可をもちろん持っているということであるならば兼業禁止については今基本的にないわけでございます。ただ、専らその宿泊者のみに職業紹介を行うということに実態としてあるということになると、これは職業紹介の許可基準にそぐわない、基準から見てそぐわないということで許可されないということがあろうかと思います。それから、支配従属関係にある中で労働者を他人に雇用させるという実態にもしあるということになれば、これはいわゆる労働者供給事業等に当たりかねない。
 こういうことで、いずれにしましても、実態に即して職業安定法等に違反するような状況があれば、これは監督指導を行って是正を図らせていくということでございます。

○福島みずほ君
 聞きたいことがほかにも山ほどありますが、時間ですから終わります。

◆雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案に関する反対討論◆


○福島みずほ君
 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、内閣提出の雇用対策法及び地域雇用開発促進法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
 まず、本法案は目的を大きく変えています。現行法が国民の経済の均衡ある発展としていた部分が変わって、労働市場の機能が適切に発揮されとなっています。これまで国民全体を考えた労働政策が大きく転換することを意味しており、認められません。
 また、本法案は、若者、女性、高齢者、障害者の雇用対策を目的とうたいながら、これまで出されている施策と特段変わったところは何もありません。しかし、一つだけ飛び抜けて変わる点が外国人労働者への政策です。外国人を雇用した雇用主に対して、その外国人労働者の個人情報を厚生労働省に提供することを義務付ける外国人雇用状況届出制度を新設しています。外国人の不法就労をなくし、その雇用環境を改善することを目的としていますが、厚生労働省が外国人労働者の個人情報を把握することがなぜ外国人労働者の雇用状況改善につながるのか、厚生労働省の答弁を聞いても全く納得できません。
 雇用主に対して厚生労働省が外国人かどうかを常識的に判断してという方法は、人を皮膚の色や言葉遣いといった表面的なもので判断することを奨励するもので、人種差別撤廃条約に反する行為でもあることを指摘せざるを得ません。永住者にまで対象とするやり方は、多様な人々を社会の中で受け入れるというのではなく、むしろ区別し排除することにつながるのではないかという点に大変危惧を持っています。
 また、厚生労働省から入手した外国人労働者の個人情報は法務省の求めに応じて提供されることになっています。しかし、その保有の目的も保管条件も極めてあいまいであり、行政機関個人情報保護法違反を疑う制度になっています。雇用管理のためとの答弁ですが、むしろこの制度は、労働の現場から外国人の出入国を管理に資するための制度となるのではないかと思われ、極めて問題があります。
 以上の理由をもって社民党は本法案に反対であることを表明して、反対討論といたします。


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