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2007年

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参議院 厚生労働委員会 2007年05月17日

◆短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案に関する質疑


◆呼称パートについて◆
◆福利厚生について◆


 

◆呼称パートについて◆

○福島みずほ君
 社民党の福島みずほです。
 昨日の参考人からもありました二〇〇二年七月厚生労働省パートタイム労働研究会最終報告によると、呼称パートについては問題であるという報告がされております。一般的にパートという概念が、短時間労働者という意味だけでなく、正社員でない者という意味で用いられている実態があることを示しているというふうになっております。
 しかし、このいわゆる呼称パートについては、今回手付かずで放置になっております。放置し続けてよいのか、その点について答弁お願いします。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 いわゆる呼称パートでありますけれども、これは御承知のとおり、パート労働法上の短時間労働者の定義を拡大すべきという意見もありますけれども、パートと呼べば適用になり、別の呼び方であれば対象とならないといった問題もありますことから、通常、その方法が有期契約であるという性格に着目して、有期契約労働者の問題としてこれは整理する必要があるというふうに考えるわけであります。
 この有期契約労働者の均衡待遇につきましては、労働政策審議会労働条件分科会におきましても審議が行われまして、労働条件に関する労働者間の均衡の在り方について、労働者の多様な実態に留意しつつ必要な調査等を行うことを含め、引き続き検討することが適当であるという答申をいただいているところでございます。
 これの引き続き検討を行うことにつきましては、一昨日、本委員会でも大臣より御答弁を申し上げたとおりでありますけれども、厚生労働省といたしましては、さらにこの労働条件分科会におきまして検討がなされ、できる限り早い機会に必要な法的整備がなされるように努めてまいりたいという考えでございます。

○福島みずほ君
 有期の問題については後ほど聞きますし、今有期のことなど聞いておりません。呼称パートということについて聞いているわけで、問いに対して答えをわざとねじ曲げているとしか考えようがありません。有期のことなど聞いておりません。後ほど聞きます。
 私が聞いたのは、呼称パートという問題について、つまり、厚生労働省自身が二〇〇二年の報告書ではっきり言っているわけです。つまり、パートという概念は、短時間労働者という意味ではなく、正社員でない者という意味で用いられている実態があることを示している。これは一般の人もそうですよ。パートというのは正社員でないという意味で使われていて、正社員より長く働く人も、正社員でなければパートとみんな思っているわけですよ。
 この問題について、有期かどうかじゃないですよ。呼称パートの中には契約期間の定めのない人もいます。ある人もいます。
 この呼称パートについて、なぜ手付かずで今日まで放置し、かつ今回のパート法に盛り込まないか、答弁ください。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 今、最初の前段で申し上げましたように、この呼称パートの問題につきましては、これはさっき申しました見地から労働条件分科会において審議をいただいているということでありまして、このパートタイムの労働法につきましては、むしろ労働時間が短いということに着目しての労働条件の均衡等整備に資するということでありまして、私どもの方で提案しておりますこのパート法につきましてはそういった取組でありますから、それ以外のいわゆる労働条件につきましては、現在、別途分科会で検討しておるということで御理解賜りたいと思います。

○福島みずほ君
 いや、理解が全くできません。
 要するに、パートと呼ばれている人たち、正社員でない人たちをどうやって差別をなくして応援するかという視点がないので、昨日の参考人からも、何かばらばらで全体のビジョンが見えないと厳しく批判されたのは本当にそのとおりだというふうに考えています。なぜ呼称パートを除外するか。
 それから、八条の短時間労働者という概念ですが、午前中も櫻井委員からも質問がありました。短時間労働者という概念について、これはパートの指針では、例えば、所定労働時間が正社員とほとんど同じパートタイム労働者は正社員としてふさわしい処遇をしてください、パート指針、所定労働時間が正社員と比べては短いものの、その程度が一割から二割程度までには至らないパートタイム労働者のこととされているとされています。
 じゃ、三時間、三割ほど少ない人はどうなるのかという点などについてはどうなんでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 このパートタイム労働法に言います短時間労働の考え方でありますけれども、これは基本的に絶対の四十時間とか所定内労働の時間の基準があるわけではございません。
 これは、この法律の立て組み上、通常の労働者と均衡を取るという考え方に立ちますから、通常の労働者と比べるということになるわけでありまして、その通常の労働者についての考え方について、朝方の御議論もありましたけれども、その会社自身が四十時間ということで通常の社員であれば、それはその数時間短い人ではそれはもう短時間労働者になりますが、その会社自身が通常の社員が三十五時間ということであれば、これはその三十五時間が通常の社員の基準になるということでありまして、そこは相対的に決まっていくわけでございます。

○福島みずほ君
 そうしますと、短時間労働者というこの法的概念は、通常の正社員よりも労働時間が短ければ全部入るんですか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 この法律要件としましては、その同一事業所における通常の労働者よりも所定内労働時間が短いということが唯一の要件でございます。

○福島みずほ君
 八条の一項による短時間労働者ということなんですが、そうしますと、業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度が通常の労働者と同一であれば、労働時間が半分であってもこれに当てはまるということでよろしいですね。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 これにつきましては、今の労働時間の定義についてはそういうことになりますので、それ以外の部分が、三要件が全く同じであれば、それは例えば週二十時間勤務の差別禁止の労働者という形態はあり得ると考えております。

○福島みずほ君
 審議会の中での労働者委員からも出ておりますが、なぜ賃金などについての比例原則を厚生労働省は採用しないのでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 このパート労働法の賃金の考え方でありますけれども、これは絶対的な賃金の職務分析による基準というものがないという中で、その職場において通常の労働者との均衡において考えていかざるを得ないということで、今比例的に何割とか、ある職場で、例えばここは七割とか八割ということを法律で一義的に決めるということは、これはなかなか難しいと考えております。

○福島みずほ君
 私は、賃金に関しては、やはり家族責任があるので短く働きたいが、時間に合わせて賃金は保障してほしいと多くの人は思うと思います。ですから、丸子警報器事件もそうですけれども、時間単位においてどうかという概念をすべき。ところが、福利厚生だとか通勤手当や、それは労働時間に関係なくその事業所で働く労働者であれば、これはきちっとやるべきであるというふうに考えておりますが、このような考え方についてどうお考えでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 賃金につきましては、それぞれの事業所内におけるまた判断、労使のまたバランスというものがあろうかと考えております。それから、今のそういうものでない、福利厚生とかそういったことにつきましては、これは個々の項目にはよりますけれども、そういった比例原則ではなくて、その項目項目によってそれが全く同一であるのか、そういったことについて決めていくことができると思います。

○福島みずほ君
 丸子警報器事件、この委員会でも何度か取り上げましたが、時間給に直した場合にその差が余りあるのは、これは公序良俗違反と、これは厚生労働省は是認をされるわけですね。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 判例を是認するかどうかという表現は不適当であると思いますけれども、今回の差別禁止の言わば法律の立て方にかんがみまして、丸子警報器のような事件であれば、かなりの蓋然性として我々としては差別禁止事例というふうに考えてもいいんじゃないかというふうに考えているわけでございます。

○福島みずほ君
 丸子警報器事件は差別禁止事例でありますが、あの判例は、正社員とパートタイマーの人たちの一時間当たりの労働単価を、賃金を比較しているという点もあると思うんですね。そうしますと、一方が八時間、一方が六時間だとしても、単位時間当たりに直して極端な差がある場合は、これは比例原則の観点から問題だと考えますが、いかがですか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 丸子警報器に引き付けて申し上げますと、私どもの今回の提案している法案であれば、それが差別禁止に当たるというふうに要件が言わば事実認定されれば、むしろ十分の十ということで、時間当たりでいけば十分の十であると。それが例えば一日の時間で六時間であれば、八時間に対する六ということで八分の六であるということは、言わば時間当たり十分の十というふうに考えているわけであります。

○福島みずほ君
 八条についてですが、これが差別取扱いの禁止ですが、転勤要件については、正社員の中でも、例えば転勤はあるとされながら、すべての正社員が転勤があるわけではありません。だとすれば、この転勤要件については、転勤のない正社員との比較になるということでよろしいのでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 この転勤ということについての考え方でありますが、まずもう一度この原点に立ち返って議論をしますと、そのパート労働者が通常の労働者と同視すべきと考えるときに、先ほどの職務あるいは契約期間とは別に、転勤を含めた人材活用の在り方が同じかどうかということを見るときに、同じ人に、言わば対象とすべき人に準拠しようということであります。
 ということになりますと、その対象とすべき労働者がもし転勤をしない人であるとするならば、これは転勤する必要がないわけでありまして、言わば転勤要件という言い方が、私どもちょっと誤解を招くと考えているわけでありますが、転勤は必須なのではなくて、その比べるべき通常の労働者が、それが転勤しているということであればその方と比べるべきでありまして、その同じ職場に比べるべき労働者で転勤する人といない人がいて、そこの職務内容がもし同じであれば、転勤しない人と比べて差別禁止を判断するということはできるというふうに考えているわけであります。

○福島みずほ君
 この配転、転勤の有無を基準とする日本型均衡処遇ルールをやるということは、残業、配転、転勤の有無で処遇を分けるのは間接差別に当たるというふうに考えます。パート労働指針は、労働基準法、最低賃金法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの労働関係法令を遵守してくださいと企業に言っております。私たちが改正したというか、男女雇用機会均等改正法では転勤要件は間接差別になっておりますし、厚生労働省も省令としてきちっと認めておられます。事業主に対して労働法令を遵守せよというのであれば、この転勤要件をこの条文に入れることは間接差別に当たるのではないですか。この間もお聞きしましたが、納得しませんので、お聞きします。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 この男女雇用機会均等法と間接差別との関係でありますけれども、これ今お話がありましたように、昨年改正されました男女雇用機会均等法の中で、これは三つの類型を間接差別として限定的にそこでまずは法律で定めたわけであります。
 ただ、そこの考え方にありましても、総合職の募集、採用において、例えば支店、支社もない場合に、全国転勤要件を果たすといった、この不合理な転勤要件を果たすということが禁止されたわけでありますけれども、合理的な理由がある転勤要件を果たすことまでは、去年の法律改正の際にもこれは禁止されていないというふうな解釈でございます。
 今度、翻りましてパート労働法でありますけれども、この法案の差別的取扱い禁止の対象者の判断に当たりまして、この転勤を含む人材活用の仕組みが同一であると要件を定めているわけでありますけれども、これは均等法の間接差別に該当するような転勤についてまで正社員とパートと同一かどうかということを比べるという趣旨ではないわけであります。
 なお、その人材活用の仕組みの要件につきましては、正社員と同一と判断されるために転勤が必要とされているものではなくて、転勤が、これ先ほど申しました、ない正社員との比較も、これは当然あり得るわけでありますから、今回のパート労働法について、間接差別を前提として、言わばその要件を設定したという御批判は、これは当たらないんではないかと考えております。

○福島みずほ君
 圧倒的に女性がパートが多くて、転勤要件や、こういうふうにすることが、結局パートの構造にメスを入れることにはならないと、この点は極めて問題であるというふうに思います。
 八条に関して、どの一体だれがこれに当たるのかというのは、この委員会でも参考人からも指摘がありました。日経新聞では、ある大手スーパーでは該当者はゼロだという回答を、そこはやっております。一体どこにいるのか。今日も辻委員の方からもありましたが、厚生労働省として統計を取るべきではないか。
 これについて、八条にどんな人が当たるのか、どれだけの人が当たるのか、これについて改めてお聞きしますが、厚労省として調査あるいは統計を取られたんでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 この八条に該当するパート労働者の方がどれぐらいおられるかということで、これにつきましては再三御議論をいただいているところでありますけれども、その要件を定めるに当たりまして、これは昨年暮れまで審議会で、公労使三者で、どういう要件が最もまあ言わば公平であるか、合理的であるかということで、これぎりぎりまで議論があって、その段階でセットされた三つの要件でありますので、その三つの要件がどんぴしゃであるデータがその時点であったわけではないわけでありまして、繰り返しになりますが、過去にあったものの中で最も近似値というか、それがうかがい知れるものの一つの尺度として現在申し上げているわけでございます。
 そこで、じゃ、今の時点で、その三要件で調査をすることについてということになるわけでありますけれども、これは結論から申しますと、なかなか難しいんではないかと考えております。
 幾つか理由がございまして、例えば、この法律でもうこれは差別禁止ではあってはならない法律違反ということで確定した三要件でありますから、これ事業主にアンケートで聞いたところで、おたくに差別禁止がいますかといって、いるというふうに答える回答はなかなか期待できないだろうと。一方で、その労働者が過去のデータから見ましても、それは自分はやっぱりこういった要件に当たるというふうに判断される方も多いわけでありますが、その辺り、そのアンケート調査みたいな形ではなかなかこれ仕組めない。
 委員も御承知のとおり、訴訟とか個々の事実認定で、これはぎりぎり確定される要件であるわけでありまして、そういう意味で、今再調査して、じゃ、正確なデータが取れるということにはなかなかならないというふうに考えているわけであります。

○福島みずほ君
 この八条は結局無力じゃないですか。今の答えは、もう怒りを通り越して、何かもう笑い転げるほどひどい答弁ですよ。つまり、差別禁止が当たるから、企業はこんなアンケートに答えないだろうという答弁でしょう。こんなんだったら私たちは、差別禁止をしてパートタイマーの人たちの差別をなくしたい、これ安倍内閣の、安倍政権の目玉ですよ。でも差別禁止の人たちは、アンケート取っても、企業は差別禁止に当たっているから出てこないだろうという答弁ですよ。どこにいるのか、ツチノコを探しに行くのかという話ですよ。存在しないものを、存在しない人、データとして出てこない人を差別禁止したところで、どういうことですか。全く理解ができない。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 今、前提において若干誤解があったのではなかろうかと思いますが、簡単に調査をしてアンケート調査等で得られるような項目ではないというふうに申し上げたわけでございます。これで参考人の質疑等、衆議院等でもあったわけでありますけれども、これ中小企業の経営者等に問い合わせますと、やはり自分のところはそうではないかということで問い合わせなどが相当あるということで、その実態が存在しないということではなくて、それについて数が確定して申し上げることができないということが一つ、申し上げているのが一つであります。  それから、その次の反対解釈というふうにおっしゃったわけでありますけれども、この法案には、これ均等法案と均衡法案というのは基本的には違う種類の法案でありまして、均等法案というふうになりますと、これは男女雇用機会均等法はそうでありますが、均等法案に反するものはそうでないという反対解釈が成り立つわけでありますが、この私どもの法案は基本的に均衡法案でありますから、違うものをどう接近するかということを定めているわけで、同一なものは同一であるというふうに今回差別禁止にしましょうと言っているわけでありますが、均衡法案という立て方になりますと均等でないものは均衡で処遇するということが法の原則になるわけでありまして、言わばここは原則はこれ均衡からスタートしている法案ということで、さっきおっしゃった均等でないものはナッシングということではない法案の立て組みだというふうに是非御理解賜りたいと思います。

○福島みずほ君
 均衡も均等も差別をなくすということじゃないですか。一番のポイントは差別禁止ですよ。パートの中における差別をなくしてほしい、これがパートで働く人たちの願いだし、個人で裁判やるのはとてつもなく大変なので法律がそれを応援しようということじゃないですか。
 結局答弁の中で、調査をする時間はなかった、三要件が審議会の中でできたので、いとまがないから調査をする時間はない。今からやったってそれは出てこないという答弁だとしたら、八条は一体だれのための、何のためのなのかですよ。実際、パートの人たちは分かんないわけじゃないですか。最後、裁判をやれば裁判で決めると言うけど、裁判がやれる労働者がどれだけいるかというのは、司法的救済がどれだけ大変か、最高裁まで争うのにどれだけ大変かということは物すごくよく私は分かりますよ。できないということですよ。八条が無力だということであれば、パートの人たちに届かない条文ですよ。それを差別禁止だ、でもそれはどこにいるのか、データは取ってないし、これから出てこない、今日に至ってもデータなんて出てこないじゃないですか。
 少なくとも、なぜこんなに急いでこんなにデータの裏付けのない法案を作る必要があるのか、全く理解することができません。時間を掛けてきちっとした差別禁止をやるべきなのに、何で大急ぎで作らなければならないのか、それは強く抗議をしたいと思います。

◆福利厚生について◆


 それで、福利厚生についてお聞きをいたします。
 これは、パートの指針についてはもっと広範囲に福利厚生について規定をしています。福利厚生施設について正社員と同様の取扱いをしてください。パート指針です。給食、医療、教育、文化、体育、レクリエーション等の福利厚生施設の利用については、パートタイム労働者に対しても正社員と同様の取扱いをするようにしてくださいと書いてあります。ところが、今回の法案では、十一条で「配慮しなければならない。」、しかも厚生労働省令で局長は三つしか言いません。
 このパート指針を大幅に後退する中身になるということについて、なぜ後退しているのか全く理解ができませんが、いかがですか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 今回法律で明記するものが三つになったということでありまして、これも、従来の指針であったものがこれ国の法規範として、配慮義務としてむしろ格上げになったわけでありまして、そこについては、言わば設置義務について現状よりもこれは強化されているというふうに考えるわけでありますし、それから、指針は今後の議論になりますが、それ以外にあったものは今回廃止するわけでありませんから、従来のものは引き続きこれは指針としても存在して企業に、これを事業主に求めていくということは変わらないと考えますので、そういう意味で今回法律に明記されたものだけが生き残るということではないということを御理解賜りたいと思います。

○福島みずほ君
 法律では限定していません。厚生労働省で限定するからそこは問題で、厚生労働省令で限定しないでくれということを言っているわけです。
 指針でははっきりいろんなもの等とやって、同様の取扱いをするようにしてくださいと言っているんですよ。だとしたら、十一条は、昨日参考人からも出ましたが、限定しないで配慮しなければならないとすればいいじゃないですか。
 つまり、ロッカーの話がありました。ロッカーはというか、ロッカーはできれば、トイレで着替えるというパートの人たちは困るわけで、ロッカーはやっぱりあった方がいいわけですよね。だけれどもスペースの関係でないのであれば、配慮したけれどもできないという反論ができるじゃないですか。
 つまり、条文は「配慮しなければならない。」となっているわけで、配慮をしたという立証を企業がやればいいわけですよ。だとすれば厚生労働省令で三つに限定する必要は全くないと考えますが、いかがですか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 まず、前提には、法律に基づく指針に存在しているものについてそれを法律で配慮義務に格上げしたということで、その三つに格上げされたものについては、現行よりも企業の配慮しなければいけない度合いというものは、これは強まったというふうに考えるところでございます。
 また、その配慮につきましても、これは確かに配慮をしたということの判断はいろいろ御議論があるところでありますけれども、例えば今回の配慮義務という考え方であれば、施設に余裕があるのに使わせないとか、そういうようなことはこれはあり得ないというところはもう法律ではっきりしているわけでありますから、そのスペースがあるのに使わせないというような事例があったような場合に、これは、もしそういう事例があって事業主との交渉が成り立たなければ、これは労働局に御相談いただければこれは配慮が必要であるという判断が下されて、必要な指導まで勧告等があると思うわけでありますが。
 一方で、配慮ということの限界というのは、じゃ全員収める場がないので増築しなければならないといった場合に、そこが企業の経営上無理だったということを言った場合に、それが配慮義務としての限界かどうかと、こういったところで表れてくると思いますが、少なくとも現行の指針よりは前進しているものと考えております。

○福島みずほ君
 いや、それは違いますよ。だって、現行の指針は、給食、医療、教育、文化、体育、レクリエーション等の福利厚生施設の利用については同様の取扱いをしてくださいと書いてあるわけですよ。ところが答弁で、十一条について、配慮すべきものは厚生労働省令で決める、限定することに法案上なっています、しかも厚生労働省令で言っているのが三つだと言っているじゃないですか。
 とすると、これは明確に後退ですよ。つまり、法律上、厚生労働省で決める三つ以外は、三つについて配慮せよというふうに書いているわけだから、それ以外については配慮しなくてもいいことになりますよ。
 とすれば、今局長が言うように、ロッカーについても様々なものについてもレクリエーションについても配慮すべきということであれば、それは厚生労働省令で限定すべきではないと言っているんですよ。いかがですか。私は、差別禁止をしてほしい、でも百歩譲って配慮しなければならないということであれば、厚生労働省令でなぜ限定するのか。指針よりなぜ狭めるのか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 これは、一昨日もこちらで申し上げましたとおり、それについて審議会の席でも相当の御議論があったところであります。
 そこで、まず前提として、今回指針が廃止になるのであれば、三つだけが配慮義務になってあとは消滅するわけでありますが、指針にあるものは今回はもう、これから指針はこれで決めていくわけではなくて、全部存置されているわけでありますから、そこにおいては変わらないと。
 しかし、法が介入してそれは配慮すべきだというふうに明記したものが三つということで、従来全部あったものの上に三つ強化されたということでありますから、その前の状態の方が処遇として良かったという御批判については理解しかねるわけであります。

○福島みずほ君
 いや、これ明確に後退ですよ。だって、指針が残っているにしても、法律ですよ、国会で作った法律の方が指針よりも強いわけでしょう。厚生労働省令は三つに限定して、福利厚生施設についてはそれだけ配慮すると、配慮すべきだってやるんだったら後退ですよ、指針の方が広いんだもん。首ひねっていらっしゃる。だったら何で、理解ができない。指針の方を全部法案に載っけるか、厚生労働省令で限定しなきゃいいじゃないですか。指針と同じ中身を入れて何が悪いんですか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 これは、いろいろ項目のある中で、法が介入しても、これはもう実施を担保するということについては、これは法律で省令にゆだねると書いたわけでありまして、それがその三項目でありますけれども、ほかのものがこれ消滅するわけじゃありませんので、ほかのものは従来どおりの言わば指針として生き残るわけでありますから、決して後退していないと考えるわけであります。

○福島みずほ君
 何のためにパート法作るのか、全く理解ができません。厚生労働省令を三つに限定することに強く反対をしていきます。指針にあるんだったら書けばいいじゃないですか、後退しないというんだったら書けばいいじゃないですか。同じように指針が大幅に後退をしているので、そこも問題にいたします。
 十二条が正社員に転換する条件を法案で決めております。ところで、指針はもう少しいいことを書いてくれているんですね。正社員に応募する機会を付与してください。指針です。正社員を募集しようとするときは、現在雇用している同種の業務に従事しているパートタイム労働者に対して、あらかじめ募集を行う旨と募集の内容を周知するとともに、正社員として雇用されることを希望するパートタイム労働者に対し、応募する機会を優先的に与えてください、それから、指針の十、正社員へ転換するための条件を整備してください。指針はここまで書いているんですね。
 しかし、法案は、応募する機会を優先的に与えるということは全く法案にはありませんし、条件整備についても指針が細かく書いているようなことは書いてありません。これは明確に後退ではないですか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 これは先ほどの指針と法案との関係について同じ議論になるわけでありますけれども、私どもの審議会での議論の経過から見ましても、なかなか法律化できなかった項目は、言わば従来、法律改正何度か試みてとんざしているわけでありますが、その中で指針としてできるだけの方向を定めたと。しかし、今回の法律改正の議論の中でそれを何とか法律化しようということで労使が合意して、法律化できるものは法律の規定での法の介入によって強制をすると。しかし、そうでないものは引き続きおさらいをしていこうということになっているわけでありまして、そういう意味で、今回も転換につきまして、もちろん従来の姿勢を後退させるわけではありませんが、法によって担保しようというやり方について、これは労使も合意できた項目はこの三つということでありますから、やはりその法律に一部、格上げという言葉が適切かどうか分かりませんが、明記したということが、他のものを言わば削除するという意味にはならないということに考えているわけであります。

○福島みずほ君
 明確に指針の後退になっているという点について、このパートがなぜ後退したのかというふうに思います。その点がまず問題です。
 それからもう一つ、パート指針があっても実はパートの人たちの格差是正にならなかったという現実があります。パート指針にあった努力義務規定は機能しなかったけれども、そのパート指針の努力義務規定によって成果は上がったのでしょうか。調査はしていらっしゃるんでしょうか。努力義務規定、配慮規定で成果のあったものを提示してください。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 指針についてのお尋ねでありますけれども、このパート労働法に基づく事業主の努力義務の実施状況につきましては、平成十七年のパートタイム労働者実態調査におきまして調査を行っております。この調査の結果を平成十三年の同様の調査結果と比較しますと、その法律上の努力義務につきましては、例えば労働条件を文書で明示している割合は、平成十三年の五二・九%から十七年には八七・五%に伸びています。また、就業規則の作成に当たりパート過半数組合又は過半数代表者からの意見聴取を行った割合は、平成十三年の二四・四%から平成十七年には五七・四%に伸びております。
 次に、今お尋ねの指針でありますが、指針上の努力義務につきましても、賃金の昇給決定要素について個人の職業能力の向上が、これ平成十三年の五一・八%から平成十七年には七二・七%へ、また、個人のこれまでの業績が、平成十三年の二六・三%から平成十七年には五一・六%と伸びております。また、賞与制度の適用状況が、平成十三年の四五・五%から平成十七年には六五・七%と伸びているわけであります。こういった意味で、指針につきましても一定の改善が見られたという調査がございます。

○福島みずほ君
 賃金格差が少しも縮まらないことと、パートで働く人たちが非常に増えていると。女性は二人に一人、二十四歳以下だと三人に一人、非正規ですし、格差がむしろ拡大をして人数がとても増えていると。私は、この努力義務規定で実効性が本当に上がっているのかというふうに思っています。
 ですから、今回の法案で努力義務規定が書いてありますけれども、それがどれほどの効力があるのかという点についてはいかがでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 この法案の努力義務規定でありますけれども、これは過去の例を見ましても、先ほど申しましたように、努力義務についてこれは一定の成果が上がっているという実績は申し上げました。
 今回、かなり新しいまた詳細な切り口で努力義務規定が入っているわけでありますけれども、今回やはり法律でその事業主が努力すべき内容を明定しているわけでありまして、これは現行法に比べてもより具体的な内容となっておりますとともに、これは努力義務でありましても、都道府県の労働局長の助言あるいは指導、勧告という行政指導の対象にしておりますので、こういったことで努力義務によって更に処遇が改善されるということが見込まれると考えているわけであります。

○福島みずほ君
 福利厚生にちょっと話が戻って済みませんが、先日も慶弔休暇について質問をいたしました。法律になじまないということの答弁がありましたけれども、一生においてそんなにたくさん取るものではありません。また、もちろん短いパートの人もいらっしゃるかもしれませんが、それだとしても、慶弔休暇すらこの法案は言及できないというのは非常に問題だと考えています。
 その点について改めてお聞きすることと、その他の福利厚生に対して、パート労働者の意欲に対してどのように働き掛けていくのか、あるいは均衡処遇の実現に向けて、パートタイム労働者が差別的な扱いを受け、是正すべき福利厚生には何があると認識していますか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 この改正法案におきましては、法律上の配慮義務としての均衡の確保を図るべき福利厚生の措置等規定したわけでありますけれども、これら以外の措置でありましても、これ、通常の労働者が受けている措置についてこれはパート労働者も受けるようにする、できるようにすることは、これは均衡の観点から当然望ましいものというふうに考えておりまして、今回審議会で出た幾つかの論点を含めまして、これは今後の重要な課題として取り組んでいきたいと考えるわけであります。
 いずれにしましても、これは職場において公平な配慮を行うことでそれが円滑な業務遂行に資するということに考えているわけでありまして、今回法律で強制することになじまなかったということにつきましても、これは職場における御尽力を賜るよう啓発に努めてまいりたいと思います。

○福島みずほ君
 条文の中にそういうものがないので非常に心配をしているわけです。
 職場の中で、この間紹介した鴨桃代さんのブックレットの中にも、パートさん、派遣さんなどと呼ばれ名前で呼ばれない、机の名札が正社員はフルネームで書かれるのに派遣は派遣のHとしか書かれない、仕事で必要な会議や研修に参加できない、業務上必要なパスワード、アドレスなどが与えられない、職場旅行に参加できない、誕生祝い、クリスマスケーキなどの祝い事の対象にならない、社員名簿に載らない、正社員にはブレザー、同じ仕事をしている非正規にはジャンパーが支給される。
 よく、名札の例えばリボンの色が違うとか、机がちゃんと与えられない、ロッカーがない、あるいは食堂で正社員の人たちに与えられる補助とそれからアルバイトの人たちとその補助が違うとか、そういう日常的なことが実は非常に差別でとても働きづらいと思うという、そういうことはよく私たちは聞くわけですが、このパート法案は、そういう様々な差別、同じように働いているわけですから、基本的には差別禁止あるいは配慮すべきとばしっとやるべきなのに、極めて限定的なので、その点について厚生労働省としては、そういういろんな待遇上の差みたいなことをどのように具体的に解決されようとお考えでしょうか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 今回の改正におきまして、パート労働者の処遇の改善について相当多くの項目の改善を見たところでありまして、これは審議会の席でも労使の議論の中で、事業主側も相当の配慮をされたというふうに見るわけでありますけど、しかしながら、すべての希望が合意されたというわけではありません。
 そういう意味で、法律的な強制になじまないというようなものもあれば、まだ時期尚早という、いろんな種類の未合意のものがあったわけでありますけれども、しかしながら、そういった様々な論点につきましては、今後とも引き続きこの制度の改善の中で検討を続けていくわけでありますし、それから啓発等、この事業の周知を図る中でそういった議論があったことは紹介し、啓発してまいりたいと考えております。

○福島みずほ君
 十条の教育訓練のところも、二項で、いろんなものを考慮して努めるものとするという程度なんですね。これだとやっぱり研修に入れない、会議に入れないという事態が起きるんじゃないか。
 自民党の席からも、差別しちゃいかぬとか、この間も通勤手当ぐらい払ったらどうかという意見がやっぱり出ました。賃金は一番シビアですが、ただ、そういう通勤手当なんというのはもう払うのが当たり前なのに、条文上、この間も言いましたが、九条でわざわざ通勤手当と退職手当は除外がされています。両方私は必要だと思いますが、通勤手当についてはこれはもう必要なものなので、厚労省としてはこれはもう払うべしという行政指導をとことんやるべきだと思いますし、先ほど私が挙げたような事例は、検討とかじゃなくて、もう本当に行政指導でびしばしと言ってほしい、もう指針とか省令作ってやってくれと思いますが、いかがですか。

○政府参考人(大谷泰夫君)
 行政指導というものにつきましては、これはいろんな制約というものがあるわけでありまして、これはやはり労使含めて全体のコンセンサスを高めていく中で実現していかなきゃならないと考えておりますが、ただ、そういった議論のプロセスというものは、その都度の改正のための、次の前進のまた一つの課題になって残っていくというふうに考えます。

○福島みずほ君
 終わります。



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