参議院 厚生労働委員会議事録 2007年04月10日
◆質疑
◆育児休業給付制度について◆
◆中国人強制労働について◆
◆育児休業給付制度について◆
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
育児休業給付制度について、この制度の拡充は歓迎をいたします。しかし、育児休業法の恩恵を受けている労働者は、相変わらず規模の大きい事業になればなるほど制度が整備されており、実際に休業を取得する割合も高くなっております。より広く育児休暇を取得できる環境整備が必要ではないかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 御指摘のとおり、大企業になるほど育児休業の取得率やこの規定の整備率が高くなっておりまして、そういう実態にかんがみますと、中小企業におきます育児休業の取得促進というのは重要な課題であると、このように考えております。
厚生労働省は、このような観点に立ちまして、次世代法に基づく行動計画の策定、実施を中小企業におきまして促進をするということ、それから第二には、育児休業取得者が初めて出た場合の中小企業に対する助成制度を創設して、これによって育児休業取得の促進に資したい、こういう制度を設けていること、それから、平成十九年度予算におきましては育児休業制度を利用しやすいような職場風土の改革に取り組む中小企業に対して助成制度を創設すると、こういうようなことをやっておりまして、このような取組によりまして、企業規模の大小にかかわりなく、希望する労働者が気兼ねなく育児休業制度を利用できる職場環境の整備に努めていきたいと、このように考えております。
○福島みずほ君 育児休業給付を受け付けた期間を基本手当の算定基礎期間から除外することは、子供を産み育てる環境づくりの方針と逆行するのではないですか。
○政府参考人(高橋満君) 育児休業給付の在り方につきましては、今回、労働政策審議会で様々御議論がございました。そうした御議論の経過といたしまして、一つは、被保険者期間にかかわります何らかの調整規定を設けることが必要ではないかと。ただし、慎重にその場合には規定すべきとの労働者代表の意見もあったわけでございまして、こうした点を十分踏まえながら検討をいたしたわけでございます。
検討に当たりまして、私どもこの育児休業給付につきましては、一つは比較的長期間の給付を受けられる制度であると、またその間賃金が支払われない、したがいまして、保険料が納付されないということがほとんどであるといったことを踏まえまして、被保険者間の公平性の観点から慎重に検討いたしました結果、御提案を申し上げているとおりの、基本手当の算定基礎期間に育児休業給付を受給した期間を算入しないと、こういう措置をとることにいたしたわけでございますが、この措置をとることに当たりまして、労使の合意をいただいた上で御提案を申し上げたわけでございます。
なお、今回の改正によりまして、現行制度に比べて確かに所定給付日数が短くなるケースがあるということは、もちろん私どもも承知をいたしております。ただ、この基本手当の所定給付日数と申しますのは、言うまでもございませんが、受給し得る上限の日数を定めたものでございまして、そういう意味では、私どもは、どういった受給資格者でもできる限り早期に再就職をしていただけるよう様々な支援を申し上げていきたいというふうに考えているところでございます。
○福島みずほ君 問題があると考えますので、この点について本当に問題があるので、今後もこの点の改善は必要だということを申し上げます。
◆中国人強制労働について◆
次に、中国人強制労働についてお聞きをいたします。
三月二十六日の宮崎地方裁判所も、三月二十七日長崎地裁も、強制連行・労働は、国が政策決定し、県は施策の実現に関与、企業も原告の身体、自由を違法に侵害したとして国と県、企業の不法行為を認めました。この認識を大臣も持っていますか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 本件につきましては、裁判が係属していると承知をいたしておりますけれども、いずれにしても、本件は所管外の問題でございまして、厚生労働大臣として直接的に何か申し上げる立場にはないと、このように考えております。
一般論で申し上げれば、このような方々が、戦争下という異常な状況の中とはいえ、半強制的な形で来日、厳しい労務に就いてその中で多くの苦難に遭遇されたということは極めて遺憾だと考えております。
○福島みずほ君 大臣は、強制労働そのものは問題であるというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 私は、所管外のことでありますので、そうしたことについて事実を確認することにおいてもその立場にはないものと考えておりますが、もしそうしたことがあれば、それは私も極めて遺憾な状況だと思います。
○福島みずほ君 除斥、時効、国家無答責などによって中国人被害者の請求は棄却されているケースも多いけれども、少なくとも、明白な被害事実に関して国の労働行政の責任者として大臣は被害者に謝罪をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これも先ほど申し上げましたとおり、私はこれは所管外の問題であるという認識に立ってございまして、そうした謝罪ということのようなことであれば、なお厚生労働大臣として直接的にこれについて何か御答弁を申し上げるということは控えたいと、このように思います。
○福島みずほ君 所管外だということは事前にも聞いているんですが、他方、強制労働に関すれば、これは日本も当時ILO条約を批准しておりまして、ILO条約は強制労働を明確に禁止をしています。ですから、裁判が指摘しているように、ずっと指摘し続けているように、強制労働ということであれば、あるいは強制労働という事実については、これは私は労働を担当する大臣としてこの問題については、強制労働に対してどうしていくかという問題については是非考えを言っていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(柳澤伯夫君) これは先ほど来申し上げておりますように、強制労働というか、そういうことを一般論として申し上げるということであれば、これはもう今委員からILO条約のことに御言及がありましたけれども、そういったことも総合的に考えまして、極めて遺憾なことであるということでございます。
しかし、この中国人の方々についての戦時中の強制労働については私は、重ねて申し上げますけれども、これは所管外のことであるので、お答えする立場にはないということでございます。
○福島みずほ君 一九七二年日中共同声明によって国としての請求権は相互放棄をしたが、個人の請求権に関しては、一九五六年日ソ共同宣言、一九六五年日韓請求権によって消滅していないのと同様に消滅していないと思うが、いかがですか。
○政府参考人(小松一郎君) 法的な観点の御質問でございますので、私から御説明をさせていただきます。
この点につきましては、政府より繰り返し答弁しているところではございますが、いわゆる中国人強制連行の問題も含めまして、さきの大戦にかかわる日中間の請求権の問題については、一九七二年の日中共同声明発出後、存在しておらず、このような認識は中国側も同様と理解しております。
なお、委員の方から日ソ共同宣言等のいわゆる条約の請求権相互放棄条項といわゆる個人の請求権との関係について御質問がございました。この点について政府が従来から答弁しているのは次のことでございます。
まず、これらの条約によりまして、戦争請求権の問題はいわゆる個人の請求権の問題を含めまして法的に完全に解決済みであると。次に、これら条約の条項自体は、日韓請求権・経済協力協定第二条の実施に伴ういわゆる措置法が定めているような形で、相手国国民などの日本国内法上の権利を国内法的な意味で消滅させたものではない。
以上申し上げた上で、この関連で、第二次世界大戦中のオランダ人元抑留者を原告といたしまして国を被告とする損害賠償請求訴訟がございまして、平成十三年十月十一日に東京高裁が判決を出しております。これが次のとおり判決をしているわけでございます。サンフランシスコ平和条約第十四条(b)の請求権放棄条項により、連合国及びその国民と日本国及びその国民との間の相互の請求権の問題は終局的に一切が解決されたものと認められる。すなわち、連合国国民の個人としての請求権も連合国によって放棄され、これによって連合国国民の実体的請求権も消滅したと解するのが相当である、以上でございます。この東京高裁判決は、その後最高裁が原告の上告を受理しなかったことにより、平成十六年三月三十日に確定していると承知しております。
○福島みずほ君 中国政府外交部は、中国人を強制的に徴用し労働させたことは日本軍国主義の侵略戦争における重大な犯罪行為の一つで、日本が歴史に責任を負い、真剣かつ適切に処理するよう希望すると表明をしています。
中国のこの見解に対して政府はどう答えるのでしょうか。
○政府参考人(小松一郎君) 政府としては、いわゆる強制連行問題につきまして、当時多数の方々が不幸な状況に陥ったことは否定できないと考えてございまして、戦争という異常な状況下とはいえ、中国の多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは大変遺憾であったというふうに考えている次第でございます。
他方、法的な問題といたしましては先ほど来御答弁を申し上げておりますところでございますけれども、さきの大戦をめぐる日中間の請求権の問題については、七二年の日中共同声明発出以後存在しておらず、このような認識は中国側も同様と理解しているところでございます。
○福島みずほ君 外務省にお聞きをいたします。
三月二十六日の宮崎地裁、三月二十七日長崎地裁も、強制連行・労働は国が政策決定し、県は施策の実現に関与、企業も原告の身体、自由を違法に侵害したとして、国と県、企業の不法行為を認めています。この認識を外務省は持っていますでしょうか。
○政府参考人(小松一郎君) 私の理解したところによりますと、今の御質問は係属中の訴訟に関する御質問というふうに理解いたしましたので、それについては三権分立の観点から、行政府からコメントすることは差し控えたいと考える次第でございますが、法的なこの理解ということにつきましては先ほど来御答弁をしている次第でございます。
○福島みずほ君 いや、三権分立ではなく、客観的な事実の認識を政府がどう思っているかについて国会の場で質問をしているのです。
強制連行・労働は国が政策決定し、県は施策の実現に関与、企業も原告の身体、自由を違法に侵害したという認識を政府は持っておられるのでしょうか。
○政府参考人(小松一郎君) 繰り返しになって恐縮でございますが、いわゆる強制連行問題について、政府が累次申し上げているところでございますけれども、当時多数の方々が不幸な状況に陥ったということは否定できないと、戦争という異常な状況下とはいえ、中国の多くの方々に耐え難い苦しみと悲しみを与えたことは非常に遺憾であったと。これは厚生労働大臣からもお答えがあったところでございます。
他方、その法的な理解、関係ということにつきましては先ほど来御答弁を申し上げているところでございます。
○福島みずほ君 客観的な事実としてどう理解するかであって、戦争が悲惨であり、多くの人に耐え難い苦痛を与えるというのは、これはもう当然のことであります。政府としてそれをどう考えているかについては、強制連行という事実、あるいは国が政策決定し、県が施策の実現に関与したということは認めないということなんでしょうか、どうなんでしょうか。
○政府参考人(小松一郎君) 誠に繰り返しになって恐縮でございますが、地方裁判所の判決に書かれたその認識についてどうかと、政府の認識はどうかという御質問でございますので、これは、今現在係属中のその案件についてお答えをするのは適当ではないと考えております。
他方、強制連行問題についてどのように考えているかと、政府の認識はどうかということにつきましては先ほど来、繰り返しではございますけれども、答弁を差し上げているところでございます。
○福島みずほ君 裁判の中でどうかではなく、客観的に強制連行というものがあり、政府が政策決定し、県も関与していた、この認識を政府が持っているかどうかについてお聞きをしています。どうですか。
○政府参考人(小松一郎君) 誠に申し訳ございませんけれども、先ほど来お答えを申し上げていることが政府の見解でございます。
○福島みずほ君 戦後六十二年がたって、客観的な資料も出てき、本人たちの証言もあり、裁判もあり、裁判所はどういうことで強制連行が、強制労働が、強制連行・労働が行われたかということは認定をしているわけですよね。責任も違法行為も認めています。除斥や時効で棄却にしていっても、その客観的事実とそれの評価はやっているわけですね。この期に及んで、戦後六十二年たって、政府がその点について、これは国の施策であった、あるいは企業も関与し、県も関与していたという事実そのものを認めないということについては全く私は理解ができません。
これは、客観的な事実についてきちっとやっぱりやるべきだというふうに考えておりますが、いかがですか。あるいは、裁判の結果を待つというのではもう時間がたち過ぎると思いますが、どうでしょうか。
○政府参考人(小松一郎君) 御要求がございましたのはこの請求権、戦争にかかわる請求権の問題についての日中共同声明関連の条約との関係という関係で御請求、御要求がございましたので私出席をして御答弁申し上げているところでございますけれども、一つは、今委員の御質問の点につきましては係属中の訴訟にかかわることであるということが一つと、それから、その事実関係についての認識ということになりますと外務省の方からお答えをすることが所掌として適当かどうかという点もございますので、大変恐縮ではございますけれども、先ほど来お答えを申し上げているところで御理解をいただきたいと思います。
○福島みずほ君 時効の援用を退けた西松建設訴訟、広島高裁の判断があります。今最高裁に上告中ですが。二十六日の宮崎地裁の判決には、本件強制連行、強制労働の事実にかんがみると、道義的責任あるいは人道的な責任という観点から、この歴史的事実を真摯に受け止め、犠牲になった中国人労働者についての問題を解決するよう努力していくべきものであるとの付言が付されております。裁判で請求は棄却されてもなお不法行為の事実は残り、問題は解決をしておりません。歴史的、政治的責任をどう受け止め、この問題をどのように解決しようとしているのか、お考えを教えてください。
○国務大臣(柳澤伯夫君) 高裁の判断ということでございますが、また御引用は地裁の判決ということでございますが、いずれにいたしましても、この問題につきましては、裁判が係属している段階でございまして、そういうことからしてここで何らかのことを申し上げるということは適切でない。加えまして、この問題については厚生労働大臣としては所管外の問題であるということでございまして、そういう観点からここで委員の御質疑に対して何らかのことを申し上げるということはそういう立場にないということを御理解を願いたいと思います。
○福島みずほ君 事実の究明と問題の解決と、きちっとどう解決していくのかという点はとても重要だと思います。特に今日お話ししたのは、客観的事実についてどう認識し、どう解決していくべきと考えるかという点について、政府の各部門で是非この点について推考していただきたい。その点について国会の中でも取り組んでいきたいと考えております。
以上で終わります。
▲上へ戻る
|