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2007年

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参議院 本会議 2007年01月31日

◆施政方針演説に対する質疑



◆格差問題◆
       ◆生活再生◆
       ◆地域再生◆
       ◆憲法改正◆
       ◆共謀罪とゲートキーパー法◆
       ◆男女平等◆
       ◆民法改正◆
       ◆政治とお金の問題◆
       ◆美しい国について◆

       ◆安倍首相からの答弁◆


 

○副議長(今泉昭君)
 福島みずほ君。    〔福島みずほ君登壇、拍手〕

◆格差問題◆

○福島みずほ君
 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、安倍総理に対して質問をいたします。  社民党は、今国会をストップ・ザ・格差社会国会、ストップ・ザ・憲法改悪国会と名付けて、政府・与党の格差社会を拡大する政策と憲法改悪の動きを全力で変えていく決意をまず申し上げます。  まず、ストップ・ザ・格差社会国会についてです。  総理の施政方針演説は、政府・与党の政策そのものが格差をつくり、拡大をさせている張本人であるということを全く無視しています。不平等な税制をつくり、労働法制を規制緩和し、福祉や公共サービスや地域を切り捨てていっていることこそが格差を生み出し、拡大をさせているのです。政治の根本が間違っているのですから、それを変えていく以外に格差をなくしていくことはできません。  再チャレンジはまやかしです。まず、雇用の再生が必要です。  日本版エグゼンプションは、一日の時間規制をなくす残業代不払法案、過労死促進法案です。総理は、家で過ごす時間は少子化対策にとっても必要だ、そう述べました。これは、現実が全く分かっていない発言です。会社員で帰りたいときに帰れる人がいるでしょうか。三十代の子育て世代の四分の一は月の残業時間は八十七時間です。働く人の現状が全く分かっていない総理に政治を任せるわけにはいきません。日本版エグゼンプションは、今国会はもちろんのこと、参議院議員選挙後も上程しないということでよろしいですね。  パート労働法にも問題があります。正社員的パートのみを対象とするもので、ほとんどすべてのパート労働者の人々は切り捨てられてしまいます。パート労働者の待遇改善には全く役立たず、パート差別野放し法案です。総理、いかがですか。  社民党は、どこでどんな仕事をしていようと最低時給千円以上を保障するような法制度を提言しています。しかし、この提言を実現しても、年に二千時間以上働いても年収二百万円です。少なくとも年収二百万円以下の人をなくしていくことが今の社会に求められているのです。総理はこのような提言を実行していく考えをお持ちですか。  経済財政諮問会議は労働ビッグバンを提唱し、労働者派遣法の改悪などを提言しています。女性が産む機械でないように、労働者も働く機械や商品ではありません。労働ビッグバンは働く人々を不幸にします。やめるべきです。総理、いかがですか。  

◆生活再生◆

 第二に、生活の再生が必要です。  安倍政権初の税制改正は、二〇〇七年度に実施される減税の九八%が減価償却制度見直しなど、企業ばかりを向いています。他方、個人に対しては、労働分配率が低下し、定率減税が全廃されました。正に企業栄えて個人が滅ぶという状況です。  上げ潮政策は全くのまやかしです。個人の生活が滅んで、一体どこに社会の未来があるでしょうか。美しい国とは冷たい国ですか。  再チャレンジ再チャレンジと言いながら、なぜ生活保護における母子加算を三年で廃止し、児童扶養手当を減額しようとしているのですか。これはシングルマザーと子供の命綱を断ち切っていくもので、断固反対です。  障害者自立支援法についても、現場から悲鳴が上がり、自殺者すら出ています。この法律の廃止が必要だと考えますが、いかがですか。また、国連で障害者差別禁止条約が合意をされました。日本はこれを早急に批准をすべきです。また、国内法的には障害者差別禁止法が必要だと考えますが、いかがですか。  

◆地域再生◆

 第三に、地域の再生が必要です。  全国で自治体の崩壊が進んでいます。先日、雪降る夕張市に行ってきました。ナショナルミニマムの確保すら難しくなっています。夕張市が財政破綻の自治体のシンボルであるとするならば、それを地域再生のシンボル、希望のシンボルとなるようにしなければなりません。国に責任はないのでしょうか。北海道に責任はないのでしょうか。総理、いかがですか。  

◆憲法改正◆

 総理は今度の参議院選挙は憲法が争点であると述べています。社民党はこれを受けて立ち、とことん対決をしていきます。  自民党新憲法草案は、海外で自衛隊が米軍とともに戦闘行為をすることを可能にします。そのために集団的自衛権の行使を研究し、憲法を変えようとしているとしか言いようがありません。そうではないですか。「硫黄島からの手紙」という映画を見ました。あのような惨状こそが、二度と戦争はしたくないという戦後日本の決意を生み出したのです。そして、総理の憲法改正への決意と行動は正にその決意を否定し覆すことであり、日本の平和と民主主義を正に破壊するものです。  ところで、ブッシュ大統領は、イラク戦争について大量破壊兵器があるとしたことは間違いだったことを認め、自ら責任を認めました。なぜ日本政府は間違いだったことを認めず、責任も認めないのですか。明確にその責任を認めてください。  沖縄では米軍再編の名の下に北部に新たな基地を造ろうとしています。明確な基地の強化です。絶対に許されません。  また、改憲手続のための国民投票法案の成立も認めることはできません。  

◆共謀罪とゲートキーパー法◆

 共謀罪とゲートキーパー法についてお聞きします。  条約を批准した国で新たに共謀罪をつくった国はノルウェー以外にないと聞いていますが、事実ですか。密告義務法案は市民が弁護士などに相談する権利を侵害すると考えますが、いかがですか。このような重要な法案を日切れ扱いにして、三月末までに拙速に成立させようとすることは大問題です。  今国会では学校教育法案などの教育関連法案が改悪されようとしています。学校の先生の免許更新制は物言わぬ教師をつくっていくでしょう。そのような中で子供たちが伸び伸び育っていくでしょうか。子供たちは先生を尊敬できるでしょうか。国家が教育をいじってろくなことはありません。  格差社会と憲法改悪はコインの表と裏です。  アメリカでは、格差社会の中で雇用のない貧しい地域の若者がイラクへ出兵しています。日本でも、格差が拡大し、戦争ができる憲法に変えられれば、アメリカと同じ状況になるでしょう。そして、物言えぬ社会づくりも国家の教育への介入も戦争ができる憲法改正もつながっているのです。  

◆男女平等◆

   次に、男女平等についてお聞きをします。  柳澤大臣は女性を産む機械と発言をしました。これは最低の言ってはならない発言です。このような発言をする厚生労働大臣の下で審議をすることはできません。辞任をすべきです。また、安倍総理にも任命責任があります。柳澤大臣を罷免すべきです。総理、いかがですか。  

◆民法改正◆

次に、民法改正についてお聞きをします。  民法の規定に、結婚後二百日、離婚後三百日以内に生まれた子供は結婚中に妊娠したものと推定する、このような規定があります。しかし、これが現実に合わず、子供やお母さんに対して非常に負担を掛けております。見直しの必要があると考えますが、いかがですか。  

◆政治とお金の問題◆

 政治とお金の問題についてですが、総理の演説は「李下に冠を正さず」というもので、全くの他人事です。事実は明らかにされるべきです。政治資金規正法を改正し、事務所費について領収書の添付を義務付けるべきだと考えますが、いかがですか。  官製談合や天下りを禁止し、政官業癒着や税金の無駄遣いをなくすことは当然だと国民は考えています。どうですか、できますか。  

◆美しい国について◆

 総理の言う美しい国とは、働く人、パートや派遣で働く人、シングルマザー、子供たち、障害者、高齢者の人たちをたたき落としています。国民の暮らしを見ず、自治体を崩壊させ、田や森は荒れたまま。日本を物言わぬ社会にし、憲法を改悪し、自衛隊が海外で米軍とともに戦争できる社会にしようとし、一人で美しい国と悦に入っているにすぎません。  社民党は、美しい国ではなく、温かい国をつくります。そのことを申し上げ、私の質問といたします。(拍手) 

   〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇、拍手〕


◆安倍首相からの答弁◆

○内閣総理大臣(安倍晋三君)
 福島みずほ議員にお答えをいたします。  労働時間法制についてお尋ねがありました。  労働時間については、長時間労働の抑制を図り、仕事と生活の調和を実現することが必要と考えており、御指摘の発言はこうした趣旨を申し上げたものであります。  働き方の問題については、働く人たち、国民の理解を得ることが不可欠であります。労働時間法制の在り方については、現在、検討をしているところであり、様々な議論を踏まえた上で適切に判断してまいります。  労働契約法についてお尋ねがありました。  労働契約法制は、労働契約の内容が労使合意に基づいて自主的に決定され、円滑に継続するための基本的なルールを明確化するものであり、紛争の迅速な解決や未然防止に役立つものと考えております。具体的内容については、御指摘のようなものではなく、労使双方が安心、納得して働ける内容となるよう検討しております。  パート労働法についてのお尋ねがありました。  パート労働者の方々にも様々な形態があります。会社の中で管理職としての役割を担いあるいは担い得るような正社員と同一な就業実態の方から、短い時間補助的な仕事をする方まで千差万別であります。  他方、労働法制は罰則を伴う強行規定から努力義務規定まで様々あり得るわけであります。法制的にどのような対応をすべきかは、パート労働者の就労の実態に応じ検討をすべきものと考えます。  このため、政府としては、差別的取扱いの禁止と均衡待遇の確保の組合せにより、すべてのパートタイム労働者を対象として、きめ細かく待遇を改善するパートタイム労働法の改正案を今国会に提出してまいります。  また、パート労働法に基づき事業主が講ずべき措置については、努力義務を含めてすべて都道府県労働局長による助言、指導、監督の対象として法の実効性を確保いたします。  最低賃金についてのお尋ねがありました。  今国会に提出する改正法案においては、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分機能するよう、地域別最低賃金について生活保護との整合性も考慮することを明確にしております。  最低賃金額を御指摘のように抜本的に大幅に引き上げることについては、中小企業を中心として、労働コスト増により事業経営が圧迫される結果、かえって雇用が失われる面もあり、非現実的であると考えます。  労働市場改革についてのお尋ねがありました。  人口が減少する中で、高い成長を維持しつつ、国民の生活の質を高めることが重要であります。このため、複線型でフェアな働き方を実現させ、働く人一人一人が働くことへの誇りや生きがいを感じられるよう、ワーク・ライフ・バランスや再チャレンジ支援の観点から、今までの働き方を見直すことに加え、経済の活力を維持できるような環境の整備を図ることが重要と考えております。  生活保護や児童扶養手当についてのお尋ねがありました。  現行の母子加算を含めた生活保護の基準額は、母子世帯全体の平均的な所得層の消費水準を上回っています。今回の見直しは、この生活保護を受けている母子世帯と受けていない母子世帯との公平性の確保という観点に立って行うものであります。また、激変緩和についても留意をしながら段階的に行ってまいります。  また、平成十四年の改正による児童扶養手当の見直しについては、母子家庭の母に対する自立支援に主眼を置いた改革の一環として、子育てや生活支援策、就労支援策、養育費の確保策の充実と併せて実施したものであります。  障害者自立支援法についてのお尋ねがありました。  本制度は、就労支援の強化や地域移行の推進など、障害者の方々が安心して暮らすことのできる地域社会の実現を目指すものであります。また、制度を皆で支えるため、国の負担を義務化する一方、利用者の方に原則一割の負担をお願いをしていますが、所得に応じた負担上限の設定など、きめ細かな軽減措置を講じております。  さらに、今般、法の円滑な運用を図るため、現場の声を十分に踏まえ、もう一段の負担軽減措置など、三年間で千二百億円規模の特別対策を実施することとしており、引き続き法の定着に万全を尽くしてまいります。  次に、障害者権利条約についてお尋ねがありました。  本条約は、昨年十二月十三日、第六十一回国連総会の本会議において採択されました。我が国は本条約の起草段階から交渉に積極的に参加してきたことから、本条約の署名、さらには締結に向けて、国内法制度による実施措置を含め、必要な検討を行ってまいります。  いわゆる障害者差別禁止法についてのお尋ねがありました。  障害の有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重し、支え合う社会をつくっていくことは重要な課題です。平成十六年の障害者基本法の改正において、既に障害による差別禁止が障害者基本法の基本的理念等に明示されております。差別禁止法制の在り方については、今後、条約の締結に向けて必要な検討を行う中、慎重に検討してまいります。  夕張市の財政再建についてお尋ねがありました。  地方自治の財政運営はそれぞれの責任において行われるものであり、財政再建も夕張市の責任において行うことが基本であります。もちろん、財政再建に当たっては、住民に対する基礎的な行政サービスの提供を続けていくことがその前提となります。夕張市があらゆる分野で徹底した歳入歳出の見直しをする中にあっても、私は、高齢者と子供には特段の配慮を行うことが必要であると考えています。  市民生活にも長期にわたり大きな影響が生じることから、一定の行政サービスの維持、財政再建の早期かつ確実な推進のため、北海道とも緊密に連携し、地域の再生に向け必要な支援を行ってまいります。  憲法改正についてお尋ねがありました。  国の理想、形を物語る憲法は、日本が占領されている時代に制定され、六十年が経過しました。私たちは、二十一世紀にふさわしい日本の姿や理想を反映した新しい憲法を自らの手で書き上げるべきと考えています。  こうした中、急激に変化する国際情勢の現実を直視しつつ、我が国が世界の平和と安定に積極的に貢献をし、国際社会の信頼を得ることは、正に今後の日本にふさわしい姿であり、追求すべき価値であると考えます。憲法改正を論ずる際にこの視点を避けることができないのは当然のことであります。  いずれにせよ、新しい時代にふさわしい憲法の在り方について、今後、与野党において議論が一層深められ、方向性がしっかりと出てくることを願っております。  イラクと大量破壊兵器に関してのお尋ねがありました。  イラクが過去、実際に大量破壊兵器を使用した事実や国連査察団が数々の未解決の問題を指摘したこと等にかんがみれば、対イラク武力行使が開始された当時、イラクに大量破壊兵器が存在すると信ずるに足る理由があったと考えます。  当時、イラクは十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識の下で、政府としては、安保理決議に基づき取られた行動を支持したものであります。  国際組織犯罪防止条約を締結するに伴い、新たに共謀罪を作った国についてお尋ねがありました。  本条約を締結するに伴い共謀罪に関して新たに国内法を整備した国として、現時点で把握しているところでは、ノルウェー以外にブルガリアがあると承知をしています。ただし、そもそも、米、英、独、仏等の主要国は、本条約の採択前から既に共謀罪又は参加罪を有していたと承知をいたしております。  マネーロンダリング防止のための新たな法整備についてお尋ねがありました。  マネーロンダリング防止のための新たな法整備は、我が国におけるマネーロンダリング対策及びテロ資金対策上重要であるばかりでなく、国際社会との連携した取組という観点からも必要不可欠なものであります。政府としては、御指摘の弁護士等と依頼者との関係にも十分に配慮した内容とし、今国会に早期に法案を提出いたします。  教員免許更新制についてお尋ねがありました。  教員免許更新制は、教員が時代の変化や要請に合わせた教育を行える能力や資質を確保し、教員の質の向上を図るための制度であります。これにより、自信を持って教壇に立てるようになり、教員が更に子供たちから尊敬と信頼を得られるようになるものと考えております。  厚生労働大臣の発言についてお尋ねがありました。  私は、厚生労働大臣の当該発言は極めて不適切な発言だと思います。厚生労働大臣に対し厳重に注意をいたしました。  閣僚の発言は重く、今回の発言によって多くの女性の心を痛めたことに対し、私も深くおわびを申し上げます。柳澤大臣も深刻に反省をしており、今後、常に国民の立場に立った厚生労働行政を進めることにより国民の信頼を得られるよう、全身全霊を傾けて職務を全うしてもらいたいと考えております。  国民の皆様に改めて深くおわびを申し上げまして、御理解を賜りますようお願いを申し上げます。  離婚後三百日以内に出生した子を前の夫の子と推定する民法の規定についてお尋ねがありました。  御指摘の民法の規定及びその運用については、現在各方面でなされている様々な議論の状況等も視野に置きながら、見直しの要否を含め、慎重に検討を行ってまいります。  政治資金規正法の事務所費についてお尋ねがありました。  御指摘の事務所費を含む政治資金の在り方の問題について、私は、自由民主党総裁として党改革実行本部において検討を進めるよう指示をし、既に、政治資金規正法の改正を含め、議論が行われています。この問題は、政治活動の自由、政治資金の透明性等の観点から、各党各会派においても同様に十分御議論をいただきたいと考えております。  官製談合や天下りの問題についてお尋ねがありました。  国や地方における官製談合問題の頻発は極めて遺憾であります。官製談合を根絶するためには、まず、さきの国会で改正され、三月十四日に施行される官製談合防止法を徹底して厳正に執行してまいります。また、一般競争方式の拡大と総合評価方式の拡充を行い、入札契約の改善に全力で取り組みます。  天下り問題については、予算や権限を背景とした押し付け的なあっせんによる再就職を根絶するため、厳格な行為規制を導入いたします。(拍手)


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