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2006/10/04 10月4日本会議での原稿です


■10月4日本会議での質疑内容です


私は社民党・護憲連合を代表して安倍総理に質問します。
総理は、「美しい国」と繰り返します。確かに、日本の自然は美しい。しかし、よく見れば、山や田は荒れ、そこに暮らす国民の生活は疲弊しきっています。


まず、その疲弊の一因でもある、格差拡大についてお聞きします。
格差の拡大や貧困層の増加は、税の不公平、労働法制の規制緩和、福祉の切り捨てから起きています。今、日本には「ワーキングプア」と呼ばれる人たちがいます。非正規社員で、手取りは毎月15万円前後。アパートの家賃を払うのがやっとで、健康保険や年金の保険料を払えない人たちが大勢いることを総理はご存知でしょうか。正社員の人たちもサービス残業が多く、うつになる人たちが増えています。またハローワークに職を捜しに行っても、40歳以上という年齢を理由に就職ができない状況です。高齢者は、増税と福祉の切り捨てに苦しんでいます。


私は、先日、現場に行ってお話を聞きましたが、障害者自立支援法によってサービスが1割負担となり、外出をあきらめたり、給食費が負担できなくて昼ごはんを食べない人まで出ていました。また診療報酬の改定で、リハビリが一律に最高180日で打ち切られ、絶望している患者さんや家族が出ています。総理の答弁は、今までの政府見解をただ繰り返しているだけで、現実に生じている痛みを全く見ていません。
「美しい国」は総理の頭のなかのイメージでしかなく、人々の厳しい現実と生活とは無縁です。総理は、なぜ格差を是正すると言わないのですか。格差が生じてきた原因は何で、それを具体的に、どのように解決すると、なぜ言わないのでしょうか。総理の再チャレンジビジョンで、人々は救われるでしょうか。再チャレンジできる人はわずかです。チャレンジできない人はどうなるのでしょうか。必要なことは、総理大臣による表彰などではなく、人を蹴落としていく社会、人を切り捨てていく社会をやめていくことです。


 総理、あなたは、なぜ法人税を軽くすることばかり提案しようとしているのですか。なぜパートなどの非正規雇用の均等待遇をうちださないのですか。なぜ労働時間の規制や最低賃金の充実を言わないのですか。なぜ障害者自立支援法による一割負担の見直しや年金、介護保険、医療などにおける福祉の切り捨ての見直しを語らないのですか。これらの施策こそが必要ではありませんか。ご答弁願います。
 社民党は、法人税率や所得税の累進課税率をせめて、それぞれ1998年、1999年の改正以前に戻すなど、格差是正のための税制改革や均等待遇の実現、労働時間の規制と最低賃金の充実、福祉の切り捨ての見直しなど、具体的に提案し、その実現を求めていきます。


 次に教育について、お聞きします。
 総理は、イギリスのサッチャー元首相が行なった教育改革を絶賛し、演説でも学校の外部評価の導入をとなえています。しかし、なぜ今、自由競争原理の強化であるサッチャー教育改革なのでしょうか。今、サッチャー教育改革が大きく批判され、見直されていることをご存知でしょうか。イギリスでは、学校のランク付けによって、底辺校は廃校に追いこまれ、学校が障害を持つ子どもを受けいれることを嫌がるという事態が起きました。底辺校だとランク付けされ、廃校に追い込まれる学校に通う子どもたちの心の傷をあなたはわかっていません。行き場のない若者による犯罪も増えたと言われています。絶望が社会のなかに広がっていくことは、社会にとってもいいことではありません。総理の教育政策は、切り捨てられる子どもたちを大量につくるものであり、公教育の破壊に他なりません。


 先日、東京地裁は、日の丸・君が代の学校現場での強制は、内心の自由を侵害し、違憲であるという画期的な判決を出しました。教育の現場で強制が起きていることをどう考えるのですか。戦前、国家が教育を支配し、「国家のために命を投げ出すことは大事なことで、美しいことなのだ」という教育が、いったい何を生んだのでしょうか。このような愛国心の強制は、自由を奪い、人の魂を殺します。国家のために命を投げ出せという教育をしてはなりません。このことこそ、私たちが戦前の反省から学び、教育基本法に込めた思いなのではないですか。総理、いかがですか。


 次に、男女平等についてお聞きします。
 私たちは、戦後、日本国憲法の下で男女平等を積み重ねてきました。しかし、総理の所信演説の中には、男女平等政策についての言及が一切ありません。総理、男女平等政策について、具体的にどのような施策を実現するのか、説明して下さい。


ところで、私は総理より1歳年下、戦後生まれの同世代です。九州のサラリーマンの家庭に育ち、幼稚園から大学まで、男女共学の国公立学校に学びました。戦後の日本国憲法の平和と平等の恩恵を一身に浴びて育ったのです。総理は、総裁選で「戦後レジームからの脱却」を訴えました。その「戦後レジームからの脱却」とは一体何をさすのでしょうか。そして、総理は5年以内に憲法を変えるとも述べています。なぜ、そして憲法のどの部分を改正するのですか。また今国会には、憲法改悪の前提として、教育基本法改悪法案、改憲手続きのための国民投票法案、共謀罪、防衛庁の省昇格法案が継続審議となっています。これら四法案は、廃案にすべき法案であるということを強く述べておきます。


 さて、総理は雑誌の中で「日本国憲法のもとで、集団的自衛権の行使ができる」とさえ述べています。政府見解は、「憲法上集団的自衛権の行使はできない」というものです。戦争しない、戦争できない、交戦権の行使を認めない日本国憲法のもとでは、集団的自衛権の行使が認められるわけがありません。総理の発言は、憲法99条の国務大臣の憲法尊重擁護義務に反すると考えますが、いかがですか。また所信表明で、集団的自衛権の行使の研究をすると述べていますが、できないことの研究など必要ありません。


次に、戦後日本の重要な施策である武器輸出三原則ですが、これを緩めないと、ここではっきりと断言して下さい。また非核三原則も維持すると断言してください。また日本は、小型核兵器も持たないということでよろしいですね。ご答弁願います。


昨日、1993年のいわゆる慰安婦に関する河野談話を受け継ぐと答弁しました。これは、この談話が安倍内閣の歴史認識であるという理解でよろしいですね。また、1995年の村山談話についても、安倍内閣の歴史認識であるという理解でよろしいですね。ご答弁願います。
今年の2月16日衆議院予算委員会で、総理は「いわゆる侵略戦争という定義が定かでない」と述べていますが、これは今国会での総理の答弁と矛盾しています。どちらの発言が総理の本当の考えなのか、ご答弁ください。
またA級戦犯についても、今年2月14日の衆議院予算委員会では「日本において彼らが犯罪人であるかといえば、それはそうではない」と答弁しています。しかし、今国会では「A級戦犯の国家指導者としての責任については、具体的に判断するのは適切ではない」と答弁しています。なぜはっきりと明言できないのでしょうか。東京裁判については、日本がサンフランシスコ講和条約を受諾する条件でもありました。総理は、この東京裁判の判決を否定するのですか。また、総理として、戦争を指導した人間の責任をどう考えているのですか。ご答弁願います。


 総理は、「美しい国へ」の中で「たしかに自分のいのちは大切なものである。しかしときにはそれをなげうっても守るべき価値が存在するのだ」と書いています。戦前、政治の決定によって、多くの人たちの命が奪われていきました。もう2度と「国家による死」を繰り返さないということが戦後の日本の出発点であったはずです。少なくとも戦後、日本の若者が、戦争によって人を殺したり、殺されたりするということはありませんでした。私は、戦後みんなで獲得してきた平和と平等の60年間を誇りに思っています。多くの国民のみなさんも同じ思いなのではないでしょうか。
 総理の「戦後レジームからの脱却」とは、憲法を変え、「国家による死」を肯定し、アメリカに付き従って、世界の戦場で自衛隊が戦争できる国づくりをするということではないですか。今、自衛隊と米軍の共同訓練が進められ、その一体化がすすんでいます。なぜ米軍基地のグアム移転に伴って、普天間基地をグアムに移転できないのですか。はっきりとアメリカに求めたらどうですか。ご答弁願います。


アメリカでは、議会がイラクに大量破壊兵器はなかったこと、アルカイーダとフセイン元大統領との関係はなかったこと、そしてイラク戦争によってテロリズムが悪化したことが報告されています。そしてアメリカ大統領は国民に正式に謝罪しました。日本はどうでしょう。国連による査察を打ち切らせ、イラク攻撃に至った経緯についての日本政府の判断、アメリカを直ちに支持した政府の決定に至る経緯について、今こそ検証し、国民に対して明らかにすべきと考えますが、いかがですか。


 わたしは総理に問いたい。アメリカとともに世界で戦争をする日本は、「美しい国」ですか。命を犠牲にさせられるのは、国民であり、国の指導者たちではありません。総理の「戦後レジームからの脱却」は、自由と民主主義を否定し、戦争へと道を開くものです。社民党は、安倍内閣が、日本を「戦争をする国」につくり変えたと後世において言われないように、国民のみなさんと共に、憲法を否定し、戦後を否定する内閣と全面的に対決し、政治を変えていくという決意を述べて、私の質問といたします。


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