|
◆ 介護保険法等の一部を改正する法律案審議
○福島みずほ君
社民党の福島みずほです。
初めに、介護保険制度が二〇〇〇年にスタートしてから初めての大きな改正を行うことになりました。法改正の目的は、制度の持続可能性の確保、給付の重点化、効率化となっております。軽度の要介護者と施設入所者について極めて厳しい内容であり、貴重な財源をどのように使うのか、どこに給付の重点化を置くかは大きな課題です。五年間の介護保険制度を点検し、どうこの制度を成熟させていくかが課題です。
まず初めに、現在の課題としてお聞きをいたします。要介護四、要介護五の人たちに対する給付は十分であるとの認識でしょうか。
○政府参考人(中村秀一君)
要介護四、要介護の五の方、この方々は重度の方でございます。要介護認定該当者の約四分の一弱、二三%を占めておられます。要介護四及び五の方々の過半の方は介護三施設に入所されているということで、要介護五の方は六割程度、要介護四の方も五割を超えて介護施設に入所されております。そういった意味では、過半の方々については施設給付がなされているというふうに認識いたしております。
それから、少数の方でございますが、要介護四、五の方につきましては、在宅サービスで頑張っておられるわけでございますが、この在宅サービスについては支給限度額が設定されておりますが、要介護四、五の方々の支給限度額は平均いたしますと四、五〇%と、利用状況であるということでございますので、全額使い切っておられるということではないというふうに考えております。
そういった意味で、制度的に申し上げますと、介護保険制度の提供しております要介護四、五の方々のサービスにつきましては、例外的なケースはあるかもしれませんが、介護保険で十分行き届いているというふうに考えております。
○福島みずほ君
要介護四、五で自宅生活の人たちは、一日に三回の巡回ヘルパーと週に二回の訪問看護を利用しただけで給付上限に達してしまい、自己負担で夜間の安否確認などを頼んでいるのが現状です。独居の認知症の利用者の問題も同様です。
現行のサービスを使っても在宅生活を支えられていない実態や、その結果として施設入所が増えているということがありますが、厚生労働省はもちろんこのような実態を承知していらっしゃいますね。
○政府参考人(中村秀一君)
要介護四、五の方のお話でございましたけれども、例えば訪問介護の利用状況で申し上げますと、要介護五の方の訪問介護の利用状況は月に二十九回ということで、今委員御指摘の例は、一日三回という例をお出しになりましたけれども、全国平均では月に二十九回でございますとか、それから、要介護四、五の方の四割程度の方が通所介護、通所看護に、通所リハビリテーションに通っておられますけれども、そういった方々の利用状況を見ますと月に八回程度とか、そういうサービスの組合せによってその方々が在宅生活を送っておられ、その平均の額が、介護保険で設定しております支給限度額の四割ないし五割が平均であるということでございますので、大部分の重度の方々はこの介護保険の給付によって在宅生活が支えられていると考えております。
○福島みずほ君
利用率が約五割ということで、また給付が不十分である点も現状では否めないと考えております。第二号被保険者に対する給付は十分であるという認識でしょうか。
○政府参考人(中村秀一君)
第二号被保険者の方、これは四十歳から六十四歳の方でございます。この給付につきましては、介護保険制度が正に議論になっているところでございますが、原則、高齢者の介護保険制度ということになっておりますので、四十から六十四歳の方が受けられる場合は十五の特定疾病に該当する必要がございます。
そういったことから、利用者の方は〇・二%、介護保険の利用者の〇・二%となっております。これは正に介護保険制度が原則六十五歳以上、高齢者の介護保険制度として組み立てられている結果でございまして、この点につきましては制度創設時から議論があり、今回の制度改正でも法律附則第二条の規定に基づきまして被保険者、受給者の範囲については課題になっていたわけでございますが、今回の改正では御提案できず、附則で引き続きこの点については検討をし、二十一年の制度改正を目指して合意が得られれば所要の措置をとるというふうになっているところでございます。
したがって、給付が十分であるかどうかということにつきましては、制度の立て方がそうなっているというお答えにならざるを得ないと考えております。
○福島みずほ君
利用者は〇・二%にすぎないわけですから、千人のうち二人しか利用しておりません。十五疾病の限定があるために末期がんの人は、もちろん医療を受けていらっしゃるわけですが、介護が必要、介護保険で、まあでも介護を受けられないという実態があります。この意味で、保険料ではなく目的税になっているという面があるというふうに考えております。この点はきちっと、二号被保険者の問題ということもこれからきちっと解決すべきだと考えております。
ところで、今日は保険と税の関係、負担と給付の関係について、峻別について質問をいたします。
保険制度として保険料の使途は厳格にすべきだと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(中村秀一君)
御指摘のとおりだと思います。
ただ、失礼いたしますが、保険料ではなく目的税となっていないかということでございますが、そういう制度として、保険料として充てられているわけでございまして、そういう制度として介護保険がスタートし、この是非につきましては正に介護保険制度の見直しの検討材料になっている、検討事項になっているということは繰り返し申し上げさせていただきたいと思います。
○福島みずほ君
がんになる人は今非常に多く、末期がんの場合に十五疾病の限定があるために受けられないという点は見直すべきだというふうに考えております。二号被保険者の人たちについては検討が必要だということを申し上げます。
で、保険制度として保険料の使途は厳格にすべきだということの答弁でした。
〔委員長退席、理事武見敬三君着席〕
ところで、法案では地域支援事業において要支援、要介護になるおそれの高い高齢者、つまり要介護認定非該当者に保険料を投入するとしております。保険制度は、交通事故の場合も労働災害の場合もその発生したもの、事後的に支払うことを基本としております。事故、事件があって保険制度がスタートすると。非該当者に行う事業に保険料を使うことは妥当でしょうか。
○政府参考人(中村秀一君)
御説明申し上げます。
現行制度におきましても、介護保険法に基づきまして保健福祉事業という制度がございまして、市町村は要介護被保険者の予防等のために第一号保険料を使って保健福祉事業を実施することが認められておりました。そういった意味では、保険事故の発生、今委員から御指摘がありました事後的なものに限るべきではないかという点につきましては、現在の介護保険法は既にそういうことを踏み越えてやっているところでございます。
○福島みずほ君
しかし、今回は、はっきり地域支援事業ということで三つの市町村事業を再編をするわけです。他の保険制度、医療保険、年金保険、労災保険、雇用保険で保険の非該当者に給付している場合はありますか。イエスかノーで答えてください。
○政府参考人(中村秀一君)
ちょっとその保険の非該当者という意味がよく分かりませんが、いずれにしても被保険者に対するサービスとして実施するものであります。雇用保険によりましては、様々な訓練給付とかそういうものが行われていると思いますし、労災などでも予防的な事業も多少行われているというふうに承知しておりますけれども、それはそれとして、介護保険におきましては、繰り返しになりますが、被保険者のための事業というのは保険料で行うことができるということが既に定められておりました。
〔理事武見敬三君退席、委員長着席〕
今回は、保険料だけではなく、国の公費それから都道府県、市町村の公費も使ってその事業ができるようにし、しかもそれは被保険者の予防やそういったことに関して使われるということでございますので、私どもは、そういう制度ということは十分成り立ち得るのではないかと考えております。
○福島みずほ君
保険と税金の関係がきちっとした定義あるいはきちっとした原理によらずに、ずぶずぶにこれからなっていくのではないかという懸念を持っております。地域支援事業に保険料を入れた場合、費用の膨張のおそれはないのでしょうか。
○政府参考人(中村秀一君)
地域支援事業は、ただいま事業の性格といたしましては、従来の保健福祉事業、これは保険料だけでやるとされていた事業の中から市町村が必須に行うべき事業ということを取り出して実施しようとするものでございます。
しかしながら、今委員御指摘のとおり、介護保険財政に対する影響も考えなければならないということで、一定の歯止めということを考えたいと思っております。
○福島みずほ君
今回の改正法案、社民党はこの法案に反対ですので改悪法案というふうに呼ばせていただきますが、この保険と税の関係、保険制度とは何かということが今回非常に壊れてしまうという懸念を持っております。これが今衆議院で議論になっている障害者自立支援法案、来年の医療制度の議論にやはり関係をしております。保険の原理からおかしいと、今の介護保険制度は要介護四、五の人たちに対する給付が不十分であったり、様々な問題点があります。
ですから、費用の抑制を介護保険の充実ということに使うのであれば納得がいきます。しかし、非常に地域支援事業といったようなこと、非該当者、実際に介護保険がスタートして、必要でないところにも保険料からお金を使っていく、このことは、要するに不特定多数に対する健康診断や、非常にお金が掛かる場合があるわけですから、介護保険のお金の使い道としておかしいのではないか。年金のときもさんざんそれ以外のことには使うなということで議論をしてきたわけですが、極めて問題があると。
局長、どうやって歯止め掛けるんですか。
○政府参考人(中村秀一君)
今度の介護保険の改革の中でやはり給付の重点化、効率化が最大の課題になっております。介護保険制度スタートしてから、費用は一・九倍に膨らみました。これからも高齢者が増加していく中で、委員御指摘のとおり、大事な介護保険を持続可能なものにしていくことは最大の課題でございます。
その際、今回の重点化は、一つは施設の給付の在り方を見直しさせていただくこと、それから、増えている要因の一つとして非常に軽度の方の増加の問題がございます。高齢者人口十人に一人でスタートした要介護認定該当者が、今日六人に一人までなっているということもございますので、この軽度の人たちに対しますやはり介護予防が大事だと。この介護予防を充実することによりまして、ひいては長期的に介護保険財政のプラスになると、こういう考え方でやっておりますので、正に介護保険のためのある意味で先行投資的なところがございますので、そういったことで介護保険制度を充実させていく。
御指摘の、重度の方あるいは認知症の方、そういった方々、それから独り暮らしの高齢者、そういった方々のこれから給付というものは相当な資源を投入しなければならないというふうに考えておりますので、そういう重点化、効率化する中でニーズの非常に重要なものについては充実をさせていくというのはこれからの介護保険制度の方向ではないかと考えております。
○福島みずほ君
保険の原理から広がるのではないかということについてきちっと答えていただいておりません。保険と税の関係についてきちっとした仕切りをしないまま、ぐじゅぐじゅスタートをさせていく、これは本当に問題であるというように思っております。
地域支援事業なんですが、これについて、内容は老人保健事業、老人福祉事業にも及びます。利用料を請求できるものとするというふうに条文でなっておりますが、これまで無料だったものが有料になる可能性もあるのでしょうか。
○政府参考人(中村秀一君)
一つは、まず老人保健事業、老人福祉事業に及ぶと、こういうことでございますが、今回の地域支援事業は、地域包括支援ということで四つの種類の事業を行うということ、それから非該当の方に対する予防サービスが行われるということでございますが、必ずしも老人保健事業や従来の老人福祉事業と入れ替わると、そういうものではないわけでございますので、その点はまず御理解していただかなければならないというふうに思います。
それから、仮に老人保健事業の一部が変わるといたしましても、今、老人保健事業等、無料で行っているわけではございませんので、そういった意味で有料化されるという点はちょっと私ども、と申しますのは、老人保健事業の健診などにつきましても実費をいただいておるというのが現行制度でございますので、地域支援事業になることが有料化になるという御指摘はちょっと当たらないのではないかと思っております。
○福島みずほ君
老人保健事業は、現在、九百億円のうち、国が三三%、都道府県が三三%、市町村が三三%税を負担をしております。介護予防・地域支え合い事業も八百億円負担、在宅介護支援センター運営事業も税負担四百億円でやっております。これの再編で介護保険に吸収をしていく。本来、このような事業は税としてやるべきではないでしょうか。
介護予防・地域支え合い事業の中には権利擁護に関する事業というものがあります。権利擁護に関する事業などは国や都道府県が税金で責任を持ってやるべきところではないか。これがなぜ介護保険になっていくのでしょうか。
○政府参考人(中村秀一君)
今、老人保健事業等のお話がございました。
幾つか御説明を申し上げたいと思いますが、まずは老人保健事業につきましては、御指摘のような財源構成で、事業費規模九百億円でやっておりますが、老人保健事業は四十歳以上の方々の健診等の事業になっております。今度の介護予防は六十五歳以上の方でございますので、老人保健事業はその意味でいっても全部が介護予防の事業、特に地域支援事業に引っ越すわけではないと、こういうことがございます。
それから、介護予防・地域支え合い事業等につきましては市町村に対する補助事業としてやっておりましたけれども、老人保健事業、介護予防・地域支え合い事業それから介護保険の予防給付と、それらの連携がきちんとされておらず、重複があったり穴が空いていたり、そういった点で、軽度者の予防、それから要介護になる状態の防止という点で弱体であると、こういう観点から、地域支援事業として、要介護になる前からハイリスクの方々に対する対応をしていこうと、こういうものでございます。
なお、今の権利擁護事業につきましては、現在の介護保険の中の保健福祉事業でも位置付けられておりました。したがいまして、今度、地域支援事業を創設する中で、この権利擁護事業のところを任意事業として位置付けていたところでございますが、むしろこれからの成年後見制度始め、権利擁護事業については市町村の必須事業としてすべきだと、こういう衆議院の委員会での議論を踏まえ、修正が行われたということでございます。
○福島みずほ君
老人保健事業のうち六十五歳以上を移行する、そういう中身については分かっております。
私の質問は、こういう形で今まである程度税負担でやってきたことを介護保険として一部吸収し再編をしていく、そうすると、その中に非該当の人たちの部分もたくさんあるわけですから、介護保険のポケットの中から地域支援事業など不特定多数の健康診断やいろんなところに流れ込んでいく、これは保険制度の保険料の使い方としておかしいのではないかということです。
例えば、保険料が払えない人は支給制限を受けることになるのでしょうか。
○政府参考人(中村秀一君)
地域支援事業は、保険料やそれから税金の財源で行われますが、言わばその個人に対する給付ではなく、保険者の事業として構成されております。被保険者に対しますサービス事業として構成されているわけでございまして、そういった意味で、被保険者の中で保険料を払っておられない方々について、考え方としてその利用者から外すという考え方はあるのかもしれませんが、今回の御提案ではそういう給付制限という、給付という概念ではございませんので、利用制限を掛けるというのも考え方かもしれませんが、今回はそういう考え方は取っておりません。
○福島みずほ君
今回は、居住費、食費を介護保険の対象外と位置付けました。このことには反対ですけれども、私の質問は、保険外であるのに、なぜ保険で補足的給付をするのでしょうか。
○政府参考人(中村秀一君)
お答えを申し上げます。
今度の施設の給付の見直しに当たりまして、居住費、食費は原則給付の対象外とすると。言わば、皆さんの保険料それから皆さんの税金で支え合う部分からは、基本的には給付外にするということを提案させていただいております。
ただ、実際問題、低所得の方で給付外になった場合に施設の利用ができないことが生ずるということもございますので、低所得の方々に対しては言わばその負担の上限が設けられるように、正にそこで本来的には給付がないんでありますけれども、低所得であるということに着目して、介護保険で補足的給付として構成をしている点で、させていただいております。
この点は一割負担が利用料原則でございますが、低所得の方々に対しましてある程度軽減した高額介護療養費の上限を付けているということで、ある程度その被保険者の中で所得に応じまして保険給付の多寡があるということの発展上で整理できるのではないかと考えた次第でございます。
○福島みずほ君
全く納得がいきません。つまり、居住費や食費は対象外で、その保険の対象外であると。保険外であるのに保険で、例えば保険で補足的給付をすると。これは保険ではなく、税金でやるべきであると。
私は、厚生労働省は財務省に頭を下げるのが面倒くさい、まあそんなことはないかもしれませんが、その代わりに、要するに保険でやろうと。ですから、介護保険のポケットの中でいろんなことをやろうとする。だから、一方で食費や居住費は保険外として、みんなの負担が非常に増えるわけです。にもかかわらず、みんなから取った保険料を今度は補足的給付をすると。ですから、保険でやるのか税でやるのかということが、ここでも混乱が生じているわけです。
在宅で低所得の要介護者については補足的給付はありません。グループホームや有料老人ホームという施設に入所している人についても補足的給付はありません。たまたま介護保険施設に入った人たちだけに補足的給付が行われるというのは公平性に欠けるのではないでしょうか。
○政府参考人(中村秀一君)
繰り返しになりますが、先ほど申し上げましたように、在宅サービスを受けておられる方でも一割負担の利用料が高くなりますと高額介護療養費が給付されると。その高額介護療養費は所得に応じまして、高額介護療養費の額、負担の上限があるという点では、これはグループホームなどにもその一割負担につきましてはそういう高額介護療養費の規定がございますので、所得の多寡に応じまして、保険制度ではございますけれども、給付の厚さが違うということは、やはり介護保険も社会保険の一種であり、ある程度所得の再分配も保険制度の中でも講じているという考え方ではないかと理解いたしております。
○福島みずほ君
私の、不公平ではないかという質問に全く答えていません。
現行、要介護一で特養老人ホームに入所している人は、要支援になれば三年で施設を出なければなりません。しかし、特養老人ホームに入所している低所得者負担軽減では五年間の経過措置となっております。
私が思うには、初め、措置から契約へということで五年前に介護保険制度ができたときは、契約に基づいてきちっと特養老人ホームに入ったわけです。その人に何の落ち度もなければ何も問題はない。にもかかわらず、制度が変わって、ずるで入ったのではないにもかかわらず、今度は制度が変わりました、ですから今度は要支援にあなたはなったので三年で出なさいとなります。契約は合意ですから、契約は守らなければならないというのは近代契約の大原則です。契約が一方的に変わったことで不利益になってしまう。不利益変更なわけですね。
保険制度とは何か。負担と給付がきちっとあり、保険料は保険以外にはお金を使わない。これをずぶずぶに今回壊していってしまう。そのことについても、税金と保険の関係が非常に極めて不透明になっていく。このような保険料の使い道については介護保険の信頼性を失わせてしまう、問題であるということを申し上げ、本日の私の質問を終わります。
|