参議院 行政改革特別委員会 2006年5月25日
◆簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律案、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律案、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び競争の導入による公共サービスの改革に関する法律案、以上五案に対する審議
◆共謀罪について◆
◆教育基本法改正・愛国心◆
◆米軍再編について◆
◆保育の民営化について◆
◆重要法案の強行採決について◆
○福島みずほ君 社民党の福島みずほです。
会期末まであと一か月を切っています。医療制度改悪法案、共謀罪、教育基本法改悪法案が審議中です。そして、明日、国民投票法案も上程されると言われています。拙速に、また横暴にこのような法案を強行採決されないように望みます。
話し合っただけで罪に問われる共謀罪が先日強行採決されなかったことは、本当に良かったと思います。共謀罪について国民的な懸念が高まっています。いったん中断をして、外国の適用例も含めて調査をすべきです。総理、強行採決をすべきではないと考えますが、いかがですか。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 強行採決というのはどういうのか分かりませんけれども、審議は十分にされて、そして議員が、委員も参加され、採決をしたんですよ、あの、まあ強行採決と言っている厚生労働委員会の。あれは、その後、整然と本会議も行われて賛否の討論までしたじゃないですか。審議を重ねて賛否の討論をして、どうして強行採決なんですか。
○福島みずほ君 共謀罪ですよ。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) あっ、共謀罪か。共謀罪は、これは、これから今話し合っているところでしょう。強行採決、強行採決、してないんですよ。
○福島みずほ君 すべきでないと……
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それで、共謀というとちょっと言葉は悪いけれども、話し合えば罪になるという法案じゃありませんから、国際社会の中でテロ対策とか組織犯罪とか、そういうものを国際連携の上においてこの犯罪を防止しようという条約ですから、それを日本としては国内でもきちんと整理して、そのような国際社会の結論に沿った法整備をする義務があるんです。
ですから、その中で今、与野党相談しながら、お互いの修正点を探りながら今協議中ですから、それを私は委員会にああやれこうやれと言う立場じゃありませんけれども、十分話し合って、結論は、やっぱり最後は意見が違った場合は賛否で問わなきゃいけないでしょう。私は、十分審議して、そして最終的には結論を出していただきたいと思っております。
○福島みずほ君 現代版治安維持法とも言われている共謀罪を成立させた首相として小泉総理が歴史に名を残さないようにしてください、いかがですか。というか、じゃそれはよろしくお願いします。あっ、じゃできれば。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) いや、これ基の法案には自民党と公明党と民主党と共産党が賛成しているんですよ。その趣旨に沿って国内の法整備をしようとするんですから、そんな無実の、ただ相談しただけで逮捕する、そんな法案じゃありませんよ。
○福島みずほ君 政府が出した法案は二度与党によって修正をされています。問題がある法案で、とても成立はできない、そう思います。
小泉首相が政権を終わられるときに、現代版治安維持法を作った総理、この男、凶暴につきと国会を終わった総理として終わらないように強く要望をいたします。
◆教育基本法改正・愛国心◆
○福島みずほ君
教育基本法が特別委員会で議論されています。五月二十四日付けの毎日新聞の投稿を御紹介します。
この国には四季があり、美しい山河は人々の営みに恵みを与える瑞穂の国だった。だが、山々は開発の波と外国産木材に押され荒れ放題になっている。共同体が維持できず、集団移転を余儀なくされる集落が数多くある。また、慣れ親しんだ商店街は寂れている。愛すべき郷土は今ここにありますか。教育の憲法とまで言われる法を論議するよりも、愛されるべき郷土をどう取り戻すか、真剣に取り組むべきことが重要ではありませんか。
そういう投稿です。これはそのとおりです。
愛情表現の仕方はいろいろあります。今の日本の現状をそのまま褒めそやすという愛情もあるかもしれません。しかし、国が間違った方向に行こうとするときに、そのことをいさめるのも愛情でしょう。愛情は人の心に自然にわいてくるものです。一つのタイプの愛国心を強制することは間違っています。おれを愛せと愛国心を法律に明記すべきではないと考えますが、いかがですか。いや、総理、お願いします。総理。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは今、国会で審議している点でしょう。自由民主党、公明党、民主党も対案を出された。そして、政府は、郷土に対する愛、日本国に対する愛、そういう態度を養う。民主党は、愛国心を涵養する、愛する心を養うと。それは、郷土に対する愛着、国家に対する愛着、いわゆる愛国心というのは自然な感情であると。
こういう点についてはそれぞれの考え方あると思いますけれども、国会でよく審議して、教育の重要性を国民にも理解をしていただき、家庭教育、学校教育、社会教育、多くの国民が教育の重要性を認識して、立派な人材を育てると。その基本的な法案ですから、是非とも審議していただいて、しかるべき結論を出していただきたいと期待しております。
○福島みずほ君 与党案では教育の目標の中に入っています。法律に書けば、これは評価の対象になります。小泉首相の愛国心と私の愛国心と、どっちがAかBか、そんな議論はできません。国の愛し方は人様々です。密室の中で子供に教え、評価する、これは間違っていると。評価ができない。それは教育基本法に書くことによって強制になったり評価につながる、この点はいかがですか。──いや、いいです。総理です。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 教育基本法に人にどの程度愛国心があるか評価せよなんというのは一言も書いてありません。
○福島みずほ君 現に、指導要領に書いてある現在で、多くの学校で愛国心を通知表にきちっと評価をすることが盛り込まれました。日の丸・君が代、国旗・国歌法が国会で成立をするときに、強制をしませんとあれだけ繰り返し答弁がありました。しかし、法律に規定をされれば、実際には強制、評価が起きています。だからこそ書くべきではない。書くことによって強制や評価が起きると。それは小泉さんが、自由人である小泉さんが最も嫌うことだと思います。このような教育基本法を、改悪法案を成立させないように、問題があるということを申し上げます。
◆米軍再編について◆
○福島みずほ君
次に、米軍再編問題について質問をいたします。
グアムへの移転費について、七千百億円で日米合意をしています。外国の軍隊が外国に基地を造るのになぜ日本の国民の税金を使わなければならないのか。税金を使うことは明確に間違っています。在日米軍再編全般について日本が負担する経費について、大まかで結構です、試算がありますか。総理。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 日本の安全をどのように確保するか。日本は他国から侵略されないように、ふだんから攻撃を受けないように準備をしておかなきゃならないと。自らの国は自らの力で守っていかなきゃならない。その際に、アメリカと協力しながら日本の安全を確保しようと。
いかなる政策も、福祉も教育も、平和が確保されないうちにその施策は展開できません。そういうことから、日本政府としては、日本とアメリカとの間に日米安保条約を締結して、侵略しようとする意図を持っている国に対して抑止力を維持しなきゃいかぬ。もしも日本を攻撃するんだったらば、日本はアメリカと一緒になって日本を防衛すると。そういう中で、アメリカと日本におきましては、日本がもし攻撃されたならばアメリカ政府はアメリカを攻撃されたと思うという、日米安保条約を締結して日本の安全確保を図っているわけであります。
その際に、アメリカが攻撃されても日本はアメリカと一緒になって戦う義務は負っていませんけれども、アメリカが日本防衛のために基地を、その基地を円滑に運営するために基地を提供する、そのための適切な負担はするということであります。
試算については、まだ実際に額としてどのぐらいになるか分かりません。抑止力維持と沖縄の基地負担の軽減のために、今まで沖縄に基地を置いていた米軍基地も返還、一部返還されます。人員も八千人グアムに移転いたします。人も土地も、米軍再編、これは日本の安全を考えながら、今考えて協議をしておりますし、今後地元の理解を得ていかなきゃなりません。
そういう中にあって、私は、安全を確保するためには代価を払う必要がある。その代価がどの程度かというのはこれからよく精査して、国民に理解を求めながら、日本の安全を確保しながら様々な政策を展開していく、それが政府の責任だと思っております。
○福島みずほ君 非常に問題です。在日米軍基地のことについて日米で合意をした、しかし大まかであっても試算はない。ということは、五兆円になるかもしれない、八兆円になるかもしれない、十兆円になるかもしれない、底なしです。分からない、今計算していない、だったら一体幾らになるんですか。
今、行政改革推進法案について議論をしています。けちけちけちけちして公務員の数を減らすとやっています。しかし、幾ら掛かるか今の段階で試算すら言えない、大まかにも言えない、だったら底なしですよ。国民の税金をどう使うか、幾らになるか分からない、こういうことを今政府が言うことは無責任です。
ローレス国防副次官、守屋防衛事務次官は、グアム移転費を除き二兆円掛かると言っています。これはイメージだというふうに国会で答弁していますが、イメージで人の税金、国民の税金を使っていいのか。国会に対して説明はありません、まだ何の閣議決定も何の説明もありません。試算は分からない、していない、こんなことに納得がいくわけはありません。守屋さんとローレスさんは同じく、グアム移転費を除いて二兆円ということで一致しています。恐らく二兆円か三兆円掛かるんでしょう。これは巨額のお金で、問題です。
次に、思いやり予算について示します。
駐留米軍の兵力と受入れ国負担ですが、現在で日本は五十億ドル、大体六千億以上を思いやり予算を払っています。ドイツと比べてみてください。日本は、米軍は少ないのに思いやり予算が断トツ、ほかのすべての国を合わせた金額よりも高い金額になっています。なぜ日本がこのような思いやり予算を負担し続けているのでしょうか。一四年に移動するということになっていますから、思いやり予算を払いつつ在日米軍基地で三兆円の負担をしていく。巨額のお金を日本は税金で負担することになります。
小泉さんの政権下で、医療制度の改悪法案、今議論中ですが、介護保険、特養老人ホーム、ホテル代払え、光熱費払え、食費を払え、そうなりました。障害者自立支援法案で一割負担せよと、そうなりました。医療制度改悪法案では、高齢者、病院に入ったらホテル代払え、光熱費払え、そうなります。
米軍に対しては、ホテル代もそして光熱費も負担し続けている。でも、特養老人ホームに入っている人、高齢者で病院に入る人、三万から五万の負担、ホテル代払え、光熱費払え、これはおかしいです。福祉を切り捨て、国民の福祉を切り捨てて負担増にしながら、なぜ大金持ちのところに思いやり予算を払うのでしょうか。これは納得がいきません。
グアムの移転費についても、この金額で二十五・五億ドル、住宅建設費で、額賀防衛庁長官は上限八千百六十万円、住宅建設費だけで八千百六十万円、額賀防衛庁長官はこれは上限額だと答弁をしました。でも、上限でもこんな金額を負担して本当にいいのでしょうか。四つぐらいベッドルームがあるような豪邸になるのではないかという試算もあります。
国民には負担を強いて福祉の切捨てをして、なぜこんな多額の負担をやるのでしょうか。子供の文房具代を払わないと言いながら、お父さんが友人にごちそうをする、豪遊するようなものではないでしょうか。
次に、官から民へ、民営化の問題について質問をします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 答弁しなくていいの。
○福島みずほ君 いいです。──じゃどうぞ、答弁、はい。短くお願いします。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 福祉切捨てなんていうのは曲解ですよ、誤解です。非武装中立の社民党とは違うんです、政府は。何にも自衛力を持たなくていいと。
しかし、日本は今、十八年度予算でも、国民の税金を一番使っている分野は社会保障ですよ、二十兆円を超えているんですよ。国民の税金二十兆円、最大のお金を福祉分野に置いているんです、社会保障分野に。防衛費は五兆円行っていません。いかに日本の政府は福祉に重点的に国民の税金を使っているかお分かりでしょう。
それは、全部防衛力は、アメリカの基地も要らない、自衛隊も要らない、それでどうして安全確保できるんですか、いざというときに。そういう立場の人と、勝手に福祉切捨て、福祉切捨て。それは防衛を、安全保障確保しなかったら福祉もやっていけないんですよ、教育もやっていけないんですよ。その辺をよく考えてくださいよ。
ドイツにしてもフランスにしても中国にしても、防衛には熱心に力を注いでいるじゃないですか。日本だけ非武装中立というわけにはいかないんです。
○福島みずほ君 総理、よく聞いてください。私が議論をしたのは、思いやり予算の金額が外国と全く違うこと、グアムの移転費で七千百億円使うこと、どうも試算として全部合わせて三兆円ぐらいの試算があるのではないか、それはおかしいぞと。現に国会で、あなたの政権下で成立した法案で負担増になっていることは事実です。それは違うだろうということを申し上げたのです。
◆保育の民営化について◆
○福島みずほ君
官から民へ、民営化の問題についてお聞きをします。
五月二十二日、横浜地方裁判所で、横浜市立の四つの保育園の廃止について違法であるという判決が出ました。その理由は、利用している、サービスを受けている子供たちと親に着目をしたものです。
これについては、子供と親の特定の保育所で保育の実施を受ける利益を尊重する必要があると。その同意が得られない場合には、その利益侵害を正当化し得るだけの合理的理由とそれを補うべき代替的な措置が講じられることが必要であるというふうに言っています。
つまり、サービスを利用する側の国民が必要だと。官から民へで公立保育園を廃止して、あっという間に民営化をした。子供たちは、先生が全取っ替えになって、ショックを受けてチック症状になったり、非常に困ってしまった。そのことは違法だと裁判所は断定し、慰謝料請求を認めました。
この判決を総理がどう受け止められますか。慎重にやることが必要、民営化を見直すということが必要だというふうに考えます。官から民へ、そして民営化の中の視点で一番欠落しているのはそれを受ける国民の視点です。医療、保育、教育、受ける側にとって公共サービスは人間関係、信頼関係です。それをずたずたに切っていくわけで、現場は悲鳴を上げています。
行政改革推進法案に社民党は反対です。なぜならば、国民にとって必要な公共サービスとは何か、どんな公共サービスが生きていくのに必要か、そのことについての考慮がないからです。命を殺すことにお金を使うのではなく、命を生かすことにもお金を使うべきです。
この横浜地方裁判所の判決を、総理はどう受け止められますか。
○委員長(尾辻秀久君) 申合せの時間が迫っております。端的にお答えください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 私、横浜市長じゃないんですよ。今の出来事は横浜市のことでしょう。その判決もまだ読んでいませんし……
○福島みずほ君 いや、質問通告しています。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) それは横浜市長に聞いてください。
○福島みずほ君 そうではなくて、これ、官から民へ、民営化の中で起きていることについて裁判所が、受け手側の子供、受け手側の同意とか、同意が取れない場合は、その人たちが、民営化することの合理性が必要だと、慎重にやらないと問題だということにポイントがあるわけです。
官から民へという、民営化できるものは民営化で明らかに欠落している視点がある。政治は人が涙を流さないことにあると。公共サービスを必要としている人はたくさんいます。公共サービスを受ける側の視点が、この官から民へ、民営化できるものは民営化に欠落して問題であると。涙の分かる政治を政治家がやらなくてどうするということを申し上げ、私の質問を終わります。
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