参議院 厚生労働委員会 2006年3月29日
◆国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案及び児童手当法の一部を改正する法律案 参考人質疑
◆参考人への質疑◆
◆参考人への質疑◆
○福島みずほ君
社民党の福島みずほです。
今日は本当にありがとうございます。
三位一体のことについて、浅野参考人がずばずばずばっと、こう言っていただきました。私自身も、厚生労働委員会で議論しているから特に痛感するのかもしれませんが、出てきたテーマが、例えば児童虐待等DVの予算、これは一般財源化をしないという方向になりましたが、こうするためにかなり頑張らなくちゃいけなかった。今回出てきたのが、生活保護、あるいは児童手当、児童扶養手当、どっちだということが最後になったわけです。
弱い部分というと何を弱いと見るかは別として、なかなか声が上げにくい人たちの部分から一般財源化をしたり、あるいは地方の方に負担を多くする、そうすると必然的にどうしても削られていくんじゃないかという不安をとても思います。もっと違うところから削減をすべきなのに、あるいはもっと違う形でやるべきなのになぜかというふうに思います。
そこのところ、特に浅野参考人には、今回の三位一体が地方の自立性を高めるという方向であったのかどうかという点について一言。
そして、中野参考人に、弱いというと何をもって弱いかというのは議論あるかもしれませんが、そういう部分に実はターゲットを絞っているんじゃないか、声を上げないと自分のところがそのターゲットになってしまうというような部分についてというか、私はそう思いますが、どうお考えかをお聞きします。
○参考人(浅野史郎君)
今回の三位一体改革というのが今の、ここまでのところの結論として、地方の自立を促したことになったのかといえば、こちらはもちろん否です、ノーです。このままで終わってしまったら、こんなことを言わなきゃよかったと、やらなきゃよかったというぐらいにまでなってしまうというぐらいにひどい、今の状況では決着だと思います。
我々は、第二幕これから開くと思っていますけれども、どうでしょうか。霞が関の受け止め方は、もういい加減にしてくれと、ここまで苦しめられてこれでもう一回幕を開けるなんてやめてほしいということで、これからは、第二幕を開けるかどうかということの攻防から始めなければならないというぐらいまで今追い込まれているんではないかというふうに思っています。
我々という言い方をすれば、まだ地方側と思っていますから、地方側から言えば、今回のここまでの総括の中で、今言ったような敗北感と同時にですね、こんなんだったらやんなきゃ良かったというのが広がるのを大変心配をしています。したがって、やっぱり今回のようなことにまたなりますけどね、これが三位一体改革ということを契機に出てきたんだよというふうに言われるのは大変迷惑なんですね。ということも含めて、私は全くに近く評価できないということを繰り返したいと思います。
○参考人(中野冬美君)
確かにおっしゃるとおりだと思います。母子家庭の多くは死別、離婚を問わず、非常にその支援の場に行くまでにもう力を尽きている場合があるんですね。ようやく行った支援の場で、例えば心ない言葉掛けをされたり、心ない対応をされたりすることによって、先ほど申し上げた児童扶養手当の窓口での対応でもそうなんですけど、生活保護の対応でもそうなんですけれども、そういうふうに対応されると、本当にもう力尽きている上に完全に力尽きてしまうということになってしまうし、その上で、なお声を上げろ、発言をしろ、そのことによって自治体を変えていくことになるのだというふうに、それは確かに理想的ではあるんですけれども、そのことができるだけの力、パワーを付けるだけの支援がそうしたらあるかというと、今の時点では全くない状態であると。
だから、少なくとも母子家庭に発言できる力を、発言できるという、少なくとも発言できる力を、そういうふうな支援をいただきたいというふうに思っております。
○福島みずほ君
先ほど中野参考人は、二〇〇八年には、五年後の受給後には半分を限度として減額されることになっていて、この児童扶養手当制度改正の施行については母子家庭の不安が非常に強くなっているというふうにおっしゃいましたけれど、その点についてもう少し言っていただけますか。
○参考人(中野冬美君)
これは去年のホットラインでも何人もの方から質問を受けました。一体どうなるのかということです。児童扶養手当は、前回の改悪のときにも非常に問題だと思ったんですけれども、十八歳までとにかく何とか何万円かのお金が月々いただけるということで、母子家庭の将来設計にとって非常に重要なものだったんですね。それが、少しその収入が増えたらもう減らされるということで、その点でもう既に大きなダメージを受けました。
今回のその二〇〇八年というのは、本当に受給後五年ですから、子供に掛かるお金というのは子供が小さいうちは余り掛からないわけですよね。子供が大きくなるごとに掛かっていくということですので、五年たった後に収入は増えないわ、子供が大きくなって例えば高校生になったらお下がりの服は着られないようになるわ、食べ物だってたくさん食べるようになるわ、制服だって必要になるわということになって、必要経費はどんどん増えていくのにそこで削られるということで、将来設計が全く立たなくなっているというところの不安があります。
そうしたら、生活保護は受けられるのかというと、もちろんそういう形ではなかなか受けられない。窓口でシャットアウトされてしまったりする例も幾つも聞いておりますので、将来の不安という形ではもう本当に多くの方から聞いておりますし、また逆に知らない方も多いんですね、この二〇〇八年からというか、受給後五年で半額になるかもしれないというふうなことが。
それをどういう形で減額になるか、あるいは減額がストップできるのかということ、ストップできるとしたら本当に有り難いことなんですけれども、そういう情報さえ手に入らない。なぜかといいますと、新聞を取るのをやめておられる方が随分多いわけです、児童扶養手当減額の中でね。そうすると情報が全く入らないわけです。ですから、本当に必要な、情報を必要としている人に情報が入らないような状態になってきて、声は上げられない、情報は入らないというないない尽くしの中に母子家庭が置かれているということです。
○福島みずほ君
中野参考人にまたお聞きをいたします。
しんぐるまざあず・ふぉーらむなどのシングルマザーのことを扱っているNPOなどのアンケート結果を見させていただくと、元夫が、やはり収入が少ない人はなかなかやっぱり養育費を払っていないと。払わないのはもちろん問題なんですが、元夫の年収そのものもやはり正直低くなっている。まあ高い人は払うけれども、本当に年収が二百万、三百万だとなかなか元夫が払えないという現状も非常にこうアンケートの中から出てきております。
ですから、どうやって養育費を払ってもらうか、払わせるか、それを社会のコンセンサスにするのかということも重要ですけれども、やはり反面、そのアンケート結果から出てきたのは、児童扶養手当などの重要性だというふうにも思うんですが、そういう実態から踏まえて、そこはどうお思いでしょうか。
○参考人(中野冬美君)
おっしゃるとおりだと思います。確かに、別れた父親も養育費を払うべきだというふうな社会的なコンセンサスが日本では余り取れていないのが現実です。
それと、もう一つは、その養育費についても諸外国の中ではその養育費を先払いして、後から国なり自治体なり、何かセンターなりが取り立てるというふうな方式も考えているところが、実行しているところが多いんですけれども、そういう形がまだまだ日本では考えられていないということ。で、養育費に関しては、本当にいろんな別れるときの事情なり、それからDVなりいろんなことがありますので、その母親自身が個別に養育費を父親に対して取り立てるということ自体が非常に難しい場合も多いわけです。そのときに、やはりそういうふうな形の代替払いをして後から行政なりが取り立ててくれるという制度があれば本当に一番有り難いんですが、それがない。それがない状態では本当に、養育費は入らない、就労収入が増えないという中では、本当に児童扶養手当の重要性はますます増すばかりだというふうに感じております。
○福島みずほ君
今回、市町村又は都道府県による知的障害児施設等の施設整備に要する費用について国庫負担の対象外としているのですが、この点について、浅野参考人、どう評価をされますか。
○参考人(浅野史郎君)
評価します。前向きに評価します。前向きに評価します。
○福島みずほ君
理由を簡単に教えてください。
○参考人(浅野史郎君)
これは、この問題だけではなくて、いわゆる施設整備費の補助について地方側は基本的に、全面的にもうやめなさいと、そういう補助は、全部地方側の負担でやりますと、その代わりその見合う分の税源を移譲してくださいと。それに対して財務省、それから関係省は、いや、これは財源になっているのは建設国債なんだからそれはできませんということでぶつかり合っていたんですけども、若干こういうふうに風穴が空いたわけです。
ですから、まあこの事業自体が選ばれたのがどうかということは別ですよ。ですけども、基本的な地方側の主張から言えば、そういうふうなところに、ゼロ回答じゃなくて、この部分が、国庫補助がなくなったというのは、これからの展望ということでいけばいい方向だということで評価をするという意味です。
○福島みずほ君
三位一体改革が第二幕が上がるのか上がらないのかという問題もありますが、生活保護のことについてちょっとお聞きをします。
今回は対象には入っておりませんが、地方が担う生活保護事務などについて、地方財政にとって大きな負担になっているとか、いろんな意見が聞かれます。
浅野参考人に、生活保護制度の改革について、あるいは今の問題点などについて、あるいはもしこれが国庫負担率の引下げなどが将来行われるとしたらどう思われるかについて教えてください。
○参考人(浅野史郎君)
生活保護の制度の中身、運用についていろいろ問題があるというのは、これは国も地方も共通問題として持っているんですね。それについてはやっぱり今のままで全く問題ないということではないんですが、三位一体改革で国庫負担を減らすとかなんとかという議論の中に入れ込まれてやるというのは甚だ迷惑な話だと思います、制度にとっても。もっと地に足が付いた、生活保護制度をどうするかということでじっくりやっていかなければ、どうせまたどっかで変えなくちゃいけないという話になるんで、今回の流れは、まあ結果的には生活保護については手付かずになりましたけども、ちょっと途中段階では大きな問題だと思います。
ただ、生活保護の場合、今回の提案でも、あれ、二分の一以下にするという話じゃなかったと思うんですけどね。今回、ちょっと聞かれていませんけども、児童扶養手当、児童手当、三分の一になりましたよね。これ、たしか法定受託事務ですよね、昔の機関委任事務です。だから、首長は国の機関としてやっていた。もしこれに、ちゃんとやらなければ高等裁判所に訴えられて施行を促されるという事務なんですね、昔の。その法定受託事務で国の負担が地方の半分だというのは、これ法制上許されるのかどうかということもちょっと大きな問題なんですけども、ちょっと今聞かれなかったんですが。
というふうに、やっぱり制度は、その制度の成り立ちからしっかりとその範囲で考えていかなければならないと。生活保護も同じです。ですから、三位一体改革ということを奇貨としてみたいな形でこうやって見直しされるのは本当に制度にとっては迷惑な話、制度に人格があるとすれば迷惑な話だと思います。
○福島みずほ君
中野参考人にお聞きをします。
ちょっと変な質問かもしれませんが、児童扶養手当って父子家庭はもらえないんですよね。一般的に男の人の方が賃金は高いのですが、でも、もちろん貧困の問題も出てきていると。ちょっと変な質問かもしれませんが、父子家庭で苦労している人も今出てきていると思うんですが、児童扶養手当を、例えばある程度、年収のことは問題ですが、父子家庭というのがどうもいつも落ちてしまうんではないかというふうに思うんですが、それについての御意見をお聞かせください。
○参考人(中野冬美君)
最近では自治体の方も、母子家庭等支援という形ではなくて、一人親家庭等支援という形に名前を変えまして、その中に幾つかは父子家庭対象の支援を入れています。ただ、その児童扶養手当に準じるような支援をしている自治体は非常に少ないのは事実です。
私たちの中にも父子家庭が何家族かいるんですけれども、確かに就労収入という意味では母子家庭よりかはまだましではありますが、子供を育てる中でそれなりに出ていくお金も増えてきますので、裕福ではないということは事実です。児童扶養手当のようなものがあれば、少なくとも収入に応じた手当制度があれば有り難いというふうな話も聞いておりますし、ただ、それよりも、父子家庭の場合は家事援助なり子育て援助なりというふうなことを非常に必要としています。だけど、それをやっているところは本当に少ない、その声を吸い上げる場というのもまだまだ全然ないというところですので、多分これからどんどん父子家庭は増えていくだろうと思いますので、その必要性というのは重要になってくるんじゃないかと思います。
○福島みずほ君
就労支援というのがどうしたらうまくいくのだろうかとおっしゃった、均等待遇という、そもそも雇用における安定性や同一価値労働同一賃金というのをやらなければどうしようもないというふうに思うのですが、ちょっとほかの委員も質問されましたが、どういう就労支援を本当のところ望むかというか、どういうのがあればもっと改善されるかについて、中野参考人、御意見をお聞かせください。
○参考人(中野冬美君)
先ほども申し上げましたように、本当に就労に入るまでの差のない、就労、仕事が得られる時点で、何というか、切られない形の、差別のない形の就労支援といいますか、就労の場の保障、それはやっぱり一番大きいと思います。それと、均等待遇あるいは男女の賃金格差、これは本当に日本では物すごく大きいですので、男女の賃金格差さえなければ本当にもっと安定した生活ができるのにという声は随分聞きますので、そういうふうなことですね。
それと、あとは、今は就労支援として自治体なりセンターなりが行っている支援は、例えばパソコンの講習でありますとかヘルパーの講習でありますとか、それから調理師の講習なんかも若干行っていたりするんですが、そういういわゆる事務系の仕事あるいは介助系の仕事といいますか、いわゆる女性向けの仕事というふうな形だけではなくって、もっとジェンダーを外したといいますか、いろんな、運転手でありますとかクレーンでありますとか、そういうふうな訓練の職種の開拓というふうなものも必要ではないかと思います。
○福島みずほ君
森参考人にお聞きをします。
具体的に、首長さんとして仕事をしていらして、言いにくいかもしれない、三位一体改革の評価をお聞かせください。
○参考人(森貞述君)
私は、ある面で一歩前進をしたと先ほど申し上げました。今まで、いわゆる国、県、市町村というそういう中で、私どもは、俗に言いますと補助金を取ってくるというようなそういう考え方であったものが、そうではなくて、私どもがこういうようなふうにすればという工夫をすること、そういうことを一つずつやっていく、その一つの私は一里塚が今回の三位一体改革であったと。
そういう点と併せて、先ほど申し上げましたけれども、やはり国と地方が対等であって、協議の場を、そこでこれから、いろんな意味でまだ摩擦はあると思います、しかしそういうことをいわゆる経験をしていくこと、それは私は、ある面で私どもも住民と対峙をして緊張関係の下でやっていく、同じことがこれから、ある面では地方と国、地方六団体と国とがそういう意味で切磋琢磨できれば私はいいというふうに考えております。
○福島みずほ君
終わります。
どうもありがとうございました。
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