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2006年

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参議院 予算委員会 2006年3月7日

◆平成十七年度予算案


◆構造改革が生み出した問題(格差拡大・所得税)◆
◆米軍基地再編問題について◆


 

◆構造改革が生み出した問題(格差拡大・所得税)◆

○福島みずほ君
 社民党の福島みずほです。
 まず、税制についてお聞きをいたします。
 竹中平蔵大臣が二〇〇二年に出版された本に「経済ってそういうことだったのか会議」という本があります。その中にこういうのがあります。人頭税、みんなに等しい金額を掛ける人頭税が理想だと書いています。税による所得の再配分はずるいと書いています。
 例えば、子供たちが砂場で遊んでいるんです。ある子はおもちゃをたくさん持っている。その子はお金持ちの家の子なんですよ。もう一人の子は家が貧しいからおもちゃを一個しか持っていないんです。しかし、だからといって、自分の子に向かって、だれだれちゃん、あの子はおもちゃをたくさん持っているから取ってきなさいなどと言う親がいるかというわけです。ところがそんなことが、国の中では税という形で実際に行われているという言い方をしているんですね。
 税による所得の再配分はずるいのでしょうか。この考えは今も維持されていますか。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 御答弁の前に、その本はもっと前に出された本が文庫版化されたことだというふうに思っております。
 そこで、多分対談形式でいろいろ話していると思うんですけれども……

○福島みずほ君
 短くて結構です。維持されているかどうかで結構です。

○国務大臣(竹中平蔵君)
 ええ。それに対して私は、その中でも、人頭税というのは一つの形であるけれども、現実にはそういう、そういうふうに社会はいかないんだと。  私は、理念としていろんな考え方の整理をお話しするための本ですから、その中ではそのように書いておりますけれども、同時に、社会というのは現実的な方法で考えなければいけないので、行き過ぎた再配分というのは私はいかがなものかというふうに思っておりますけれども、再配分は必要だということは、その本もそうだと思いますけれども、その他の場でも重ねて申し上げているつもりでございます。

○福島みずほ君
 税による所得の再配分はずるいとはっきり書いています。
 一月一日に住民票をアメリカに移せば日本では住民税が掛かりません。そのようなことをした人がいるということを聞いたことがありますけれど、こちらの方がずるいんじゃないでしょうか。税による所得再配分はずるいのでしょうか。
 ところで、定率減税は中低所得者層に手厚い減税措置であり、所得税額は二十五万円、個人住民税は四万円を限度としたものです。つまり、低所得者であればあるほど廃止の影響は大きく、高所得者ほどその影響は小さいです。
 一方、定率減税の実施と同時に所得税の最高税率が五〇%から三七%、個人住民税の最高税率が一五%から一三%にまで引き下げられ、高所得者が優遇されてきました。
 これをちょっと見てください。所得税の税率構造の推移です。(資料提示)
 一九七四年は十九段階、一九九九年から四段階になっています。所得税の最高税率は、七五、七〇、六〇、五〇、三七。現在は三七が所得税の最高税率の一番、三七%です。このように、所得税の最高税率はどんどん下げながら、で、これを今回、定率減税は廃止をしながら、法人税の引上げはやりません。
 政府は、これまで格差を容認してきたばかりか、今後更に拡大させようとしております。到底容認できません。せめて所得税の最高税率を一九九九年の前の段階まで持ってくる、五〇%にし、この段階に法人税を戻すだけで二・三兆円増収になるということを社民党は計算をしています。なぜ今回、高所得者には優遇、しかし低所得者には負担、これを取るのでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 所得税、それは三七%と書いてございますが、地方税、個人住民税ですね、合わせると、今所得課税の最高税率は五〇%になっております。
 それで、四段階にしてきた、こういうことはなぜかといいますと、国際的に所得課税をフラット化する流れであるとか、あるいは最高税率を高くし過ぎると個人の勤労意欲や何かにやはり影響があるのではないかという議論の流れの中から、地方住民税と、個人住民税と所得税合わせて五〇%と。これは、まあ世界的に見ても大体こんなもんですから、これを動かす必要は特別今あるとは私は思っておりません。
 それから、法人税についてもお触れになりました。これはやはり国際的な競争との関係がございますので、これはなかなか高くするというのもしにくいところがございますので。今定率減税のことをお触れになりましたけれども、これは小渕内閣のときのあの景気、底が抜けるような景気を何とか税の面から下支えをしようということでやったものでございます。ですから、当時に比べて経済状態が良くなってきた現在、これを廃止するというのは自然ではないかと私は考えております。

○福島みずほ君
 冒頭、税による所得の再分配機能に関して、竹中大臣がかつてよりフラット化にする方がいいという旨言ってらっしゃることを御紹介しました。私がそのことを今日冒頭質問したのは、今の税制の考え方がやはりよりフラット化になっている。法人税は引き上げない、定率減税は廃止をして、これは明らかに低所得者に負担になる、そして最高税率に関しては維持していくという、この方向が所得の再分配機能、税の所得再分配機能をやはり害しているというふうに考えます。貧しい人たち、今所得の格差が拡大している中で、より貧しい層にやはり負担になっています。
 次に、三位一体改革に伴う税源移譲についてお聞きをいたします。
 平成十九年より所得税から住民税へ税源が移譲され、税率構造が改正されます。政府税調で議論された資料を見ますと、夫婦、子供二人の世帯の所得税と個人住民税の増減額試算では、大多数の納税者が従来と変わらない負担となる一方、年収一千二百万円を超える高所得者が逆に減税となっています。これは一体どういうことでしょうか。このような改正案では低所得者の納得を絶対に得られません。なぜこのようなことをするのか、説明をお願いします。

○国務大臣(谷垣禎一君)
 今回の税源移譲は、その前後でそれぞれの税負担をできるだけ変えないという方針でやりました。ですから、今度のあの案は、今それは全部を完全に、個人住民税の方はフラット化いたしましたし、所得税の方は、あるいはこれは福島委員の御主張にかなうことかもしれませんが、もう少し税率を立てる方向にいたしました。それで、なかなか調整できないところがあって若干そういう面が現れておりますが、全体としては税負担が一番変わらない仕組みを選んだわけでございます。

○福島みずほ君
 いや、納得できません。さっき申し上げたとおり、普通は一千二百万以下の人たちにとっては変わらない、しかし一千二百万円以上の人にとっては減税となるのです。やはり、高所得者には優遇、低所得者には困るという状況が続いていて、そのことには納得ができません。
 格差拡大社会、このことが今国会では大変問題となっています。これは、格差がなぜ拡大をしているか。これは、経済構造、経済政策、そして大きいことは雇用の規制緩和だと思います。小泉さんの政権下で労働法制の規制緩和、労働者派遣事業法の改悪が行われ、非正規雇用、パート、派遣、契約社員の人たちが五百万人増えました。
 実態としても、ユニオンなどに寄せられる現場の実態はひどいものです。仕事内容は正社員と全く同じだが賃金は正社員の三分の一。三分の一の賃金で正社員以上の仕事をさせられる。社員と同じ仕事をしているのに社員と格差がある、退職金もない、有休もない、ボーナスの格差が一番頭にくる。パートで十年、半年更新で働いてきたが、会社から、次回は更新しない、期間満了で終了と言われた、五十代女性。息子は正社員になりたいがハローワークに行っても派遣の仕事ばかり、母親からの相談、三十九歳男性、派遣。上司から営業所が赤字なので社員からパートになってほしいと言われた、女性、正社員、事務職、勤続十三年。このような相談が非常に多いです。
 ジョブカフェの話を聞きますと、なりたい職業、正社員なんというのが出てくる。月収がせめて十五万円あるいは十七万円あったらいい。二十万円以上なんて望まない。そんな相談例をたくさん見てきました。若い雇用、特に若い人たちの雇用を壊して、このことが今本当に問題です。  タクシーの規制緩和の問題も、タクシーの運転手さんたちの労働条件の悪化を明らかに生みました。ヨーロッパなども、グローバリゼーションは、波は受けましたけれども、労働法制に関しては制度、仕組みをちゃんとやっています。差別禁止と均等待遇、この二つの柱が必要ですが、日本はこのことに着手をしておりません。労働法制の規制をちゃんとやっていくべきだと考えます。
 つまり、今起きていることは、格差拡大社会の中で所得の再分配機能である税と社会保障が金持ちに有利であり、そして福祉の切捨ての結果、一般の人たちが本当に困っているという状況が起きています。去年、障害者自立支援法が成立をいたしました。現実に障害者の皆さんが今困っているということを現場からたくさん聞いております。
 格差拡大社会がなぜ問題なのかということを総理はおっしゃいます。しかし、格差が拡大をすれば、小さな政府で格差拡大であれば、社会は大きなコストを払わなければなりません。貧しい人ほど病気になりやすい、健康格差社会ということも言われています。アメリカでは格差が拡大している州ほど殺人率が高いというデータがあります。社会の中で絶望が広がっていくということが社会の中でいろんな負の問題を起こす、あるいは社会が大きな負担を強いられる。生活保護受給者が今増えています。
 こういう政策の結果、天然現象ではない、政策の結果生じている格差拡大と、所得の再分配機能が壊れていっているということ、これが今の日本の社会の最大の問題の一つだというふうに考えております。
 この点で、例えば教育のことですが、この委員会の中で子供たちの就学援助の割合が高くなってきていることを申し上げました。
 今日は大学のことをお聞きをいたします。各国における大学生の援助を調べたところ、授業料は、日本とアメリカ、まあアメリカは高いです。ただ、アメリカの場合は奨学金や貧しい人たちに対する援助がやはり充実をしています。スウェーデンやノルウェーは大学の学費無料ですし、生活ローンも組んでおります。日本においてこの教育の場面における教育ローンを例えば導入するなど、日本として教育における機会平等をもっと保障する必要があると考えますが、いかがですか。

○国務大臣(小坂憲次君)
 教育格差を是正するためには奨学金の制度を充実するということでございますけれども、そのために我が国においては、十八年度の具体的に予算からまず入ってまいりますが、事業費として七千九百九十九億円。これは対前年比でいいますと、十七年度が四百八十九億円でしたから大幅増でございますが、奨学金事業の充実を図るためにこのように予算を増強しております。
 この日本学生支援機構が行っております奨学金事業でございますけれども、学生に利子の負担を求めない無利子貸付事業、利子は国が負担するわけでございます。また、長期、二十年以内で低利である、十八年三月でこれは変動いたしますが、〇・七%から、今この時点で、三月で考えますと一%になると思いますが、在学中は無利子であるというこの有利子奨学金、この二種類がございます。
 この両事業を合わせると、貸与基準を満たす希望者のほぼ全員に貸与をすることができておるわけでございます。ちなみに、十八年度の、先ほど申し上げた七千九百九十九億円で貸与人数を計算いたしますと、百九・二万人に相当するようになります。
 今日、大学、短大への進学率を、最近変化を見てみますと、平成十二年で四九・一%、十六年が四九・九%、平成十七年が五一・五%と、若干、わずかではありますが、上昇してまいっております。
 今後とも、意欲のある、意欲と能力のある学生生徒が教育を受ける機会をしっかり確保できますように、奨学金事業による支援を続けてまいりたいと存じます。

○福島みずほ君
 年収二百万円以下の世帯が今五分の一、日本の貧困率はOECDで三番目となっています。しかし、国立大学の授業料は今五十四万円、お金がなければ本当に大学に行けないという状況が広がっています。奨学金だけでは不十分です。諸外国の制度に比べて、例えば生活費ローンなどもう少し抜本的にしなければ、親の財布の大きさが子供の未来を決めるということになってしまいます。
 子供たちにどういう社会をプレゼントするかということを正に政治が決めていきます。私たちが子供たちにプレゼントしたい未来は、それは教育、そして信頼、で、平和ということです。希望のある社会を今の政治がつくっていない、そのことこそ小泉構造改革の最大の欠陥であるというふうに考えております。

◆米軍基地再編問題について◆

○福島みずほ君
 次に、基地の問題についてお聞きをいたします。
 五日の日に岩国へ行ってまいりました。十二日に住民投票が行われます。米軍陸軍司令部がやってくると言われている座間キャンプでは、毎週のように行動が提起をされています。そして沖縄では、先ほどもありました頭越しにやることに反対、三万五千人の人たちの大集会が開かれました。
 地元の人たちが納得しないことがうまくいくわけがありません。私は、全国を駆け回って全国の首長さんたちと話をしてきました。大分県知事、神奈川県知事、玖珠町長、北海道副知事、千歳市長、先日は岩国市長に要請をいたしました。すべての首長さん、首長さんたちはやはり基地の強化に非常に不安を感じています。事前に説明がなかったこと、事後についても判断をする材料すら十分与えられていない。皆さん、大変不安を持っています。地元の人たちはみんな反対です。こんな状況で最終報告書を出すことができない、そう思います。しかし、安倍官房長官は昨日、地元との合意が得られなくても日米両政府で最終報告をまとめる考え方を示しました。
 小泉首相、地元の合意が取れなくても最終合意をまとめるのでしょうか。地元が反対をしていても、基地問題について強引に最終報告を出すのですか。

○内閣総理大臣(小泉純一郎君)
 随分一方的に話されましたね。
 税金も五〇%、今、最高税率ですよ。五〇%以上取るのは税金じゃなくて罰金だと言う人もいるし、ヨーロッパの国では今全部、持てる者、持たざるもフラット税率になっている国ありますね。そして、法人税も所得税も課税最低、下げると。どんどん企業ももうける企業は町にやってくる、富める者もやってきて、ひいては住民全体が潤うから歓迎だという一部のところもあるぐらい、税というのは、ただただ上位者に課税を強化すればその国が繁栄するというものとは限らないんです。
 それと、正社員なりたい。この三年間連続してパート労働者は減ってきています。連続して正社員が増えています。失業者も、私が就任してから今や減ってきておりますし、就業者数が増えてきております。採用する企業も増えております。有効求人倍率も〇・五から一に戻りました。こういうふうにだんだんだんだん明るい兆しも見えております。
 そこで基地の問題でありますが、これについては、日本の安全を確保する上において日本としては日米安保条約は必要だと。日本一国では安全は確保できない。であるから、アメリカと協力して日本を攻撃させないような抑止力を持たなきゃいけないと。日本を攻撃する、侵略する場合はアメリカと一緒に戦うということを覚悟して日本を攻撃しなきゃならないという、抑止力を持たないから、日本とアメリカは安保条約を結んで、そして日本はアメリカに基地を提供しております。その代わりアメリカは、日本が攻撃されたら、それはアメリカへの攻撃とみなすといって日本と共同体制を取ると。これが今、日米再編、米軍基地の問題であります。
 住民の皆さん方はなかなか御苦労が多いと思います。その住民の皆さんの御理解と御協力を得るような形で今、誠心誠意努力しているところでございます。

○福島みずほ君
 非正規雇用が拡大をしていること、大学を卒業した時点で、学校を卒業した時点でかつてよりも特に女性は非正規の人たちが増えていること、そして貧困層が増えていること、格差が拡大をしていること、これは事実です。それはやはり労働法制の規制緩和の結果生まれていて、実態がやっぱりそれは分かっていない、そう思います。
 そのことについては、今現実に、じゃ、ジョブカフェやいろんなところにどういう相談が来ているのか。女性のパートの問題も極めて深刻です、自分たちで食べていけないんですから。そういう問題について政治がきちっと取り組むべきだということを改めて言います。格差拡大して、いい社会ではありません。
 基地の問題です。
 住民がなぜ反対をしているのか。これについては、住民の反対のことで、そして住民が反対をし続けている中で、これだけ反対が起きている中で強行するというのはやっぱり地元の意思を無視している。私は最終的には民主主義を無視しているというふうに思います。
 小泉首相の靖国参拝と心の問題について聞きたかったのですが、政教分離は権力者こそ縛るものであると。憲法の政教分離の規定は権力者こそ縛るものであると。国民の思想、良心の自由、信教の自由を保障するために権力者の政教分離こそ制限されているということを申し上げ、私の質問を終わります。

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